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娯楽の国とエルフの暇  作者: ヒロミネ
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好きな物ですわ

久し振りにちょっと長めになりました。(最近の二倍くらい)

ある朝、俺は新世界にあるシュエリアの部屋を訪ねる。

 最近はシュキやシキと時間の流れを合わせて暮らすために必要な時以外はこちらの屋敷で過ごしている。

 で、そんな俺を迎えた部屋の主は開口一番言い放つ。


「ユウキ、好きな物ってなんですの?」

「シュエリア」


 唐突に聞かれた言葉に俺は即答した。

 そして抓られた。


「いって。何すんだよ」

「ユウキ、ホントそう言うとこですわよ」

「はあ?」


 なんか一人顔を赤くして……照れている様子のシュエリア。


「朝から何イチャついてんのよ」

「お、アシェ」


 俺らが楽しく(?)会話しているように見えたのか、イチャ付いているの一言で済まされてしまった。


「いや、シュエリアが好きなものは何かって聞くからさ」

「どうせシュエリアって即答したんでしょ。はいはいラブいラブい」

「的確な指摘の後にぞんざいな対応」


 いかにどうでもいいと思われているかが分かるという物だ。


「それで? 今日は何が好きかって話でもして暇潰そうってわけ?」

「そうですわ。だから全員集まってから皆でお喋りですわ」

「なるほどなあ」


 そんなわけで待つこと30分程。別に呼んでも無いのに皆集まった。


「それでは、今回は皆で好きな物について語り合いますわ」

「好きなものですかっ兄さまですっ!」

「言うと思ってましたわ」


 流石我が妹。考えが似ている。


「今回は好きな人禁止ですわ」

「まあそれ言い出したらここのメンバー殆どユウキっていうしね」

「まあ~そ~ですね~」

「もし話振られたら間違いなくゆう君って答えてたね」

「でしょう。だからそれは無しですわ」


 とまあ、そんなルールが決まったところで、さっそく本題に入る。


「最初は言い出したわたくしからにしますわね?」

「おう、お手本になるようなのを頼むぞ」


 じゃないと他のメンツがふざけかねないからな。


「わたくしが好きな物はお笑いですわ」

「ふむ」


 確かにシュエリアはお笑い好きだ。

 しょっちゅう動画とかテレビでお笑い芸人のネタを見ては爆笑している。

 アニメ漫画ゲームとも好きだろうが。まあ今回はお笑いにフォーカスをあてるということだろうか。


「ノンスタイルとかサンドウィッチマンとか好きですわね」

「中川家どこ行った」


 以前コイツがコントをやりたいと言い出した時あやかるとか言ってたのに、好きな芸人のラインナップからは外れていたようだ。


「怪奇!YesどんぐりRPGとかもすきですわよ」

「また絶妙なラインを攻めて来たな……」


 確かに面白いけどな、あれ。


「わたくしもまたコントとかやってみたいですわ」

「俺は嫌だけどな」

「あら、相方不在じゃあピン芸人になってしまいますわ」


 そう言って困り顔をするシュエリア。本気でやるつもりだったのか。


「コン~ビ~候補な~ら~いくらで~も~?」

「まあ確かにここのメンバーから見繕うのもありですわね」


 やるとしたらシュエリアとアシェだろうか。

 義姉さんはネタのセンス無いしアイネはシュエリアとの相性がいいと思えない。

 トモリさんはテンポ遅すぎてネタがぐだる。

 となるとアシェくらいか?


「私でもいいと思うよ」

「お、シュキか」


 真面目なシュキならツッコミとしても機能するだろうし、なるほど適材かもしれない。


「私もできる」

「シキもよさそうだな」


 娘二人はしっかりしているので大丈夫そうだ。

 しいていうなら実の娘とのコンビっていうのが目新しくて面白いかも知れない。


「さて、わたくしの好きな事は語ったから次ですわ」

「このペースで全員分周る気か……」


 一体今回は何ページになるんだろうな。まあ作者の指が痛いだけだからしらんけど。


「次は私がお話ししたいでうっ」

「噛んだな」

「噛みましたわね」


 決して作者の打ち間違いではない。噛んでいる。


「私の好きな物はチャオチ〇ールですっ」

「猫じゃん」


 まんま猫じゃん。俺の妹まんま猫。


「猫ですがっ」

「いや、そうなんだけど」

「人の姿で訊くと違和感凄いわね」

「アイにゃん~なので~?」


 でも実際どうなんだろう。人が食っても美味いのかな。チャ〇チュール。


「たまに猫っぽい事言わないと忘れられそうなのでっ!」

「そういうメタい理由もあったか」


 確かに最近人姿のアイネと一緒の事が多いから猫だって忘れそうになる。


「もういっそ人前以外では猫耳だしててもいいんじゃないんですの?」

「なるほどっその手がありましたかっ」

「なんか話脱線してね?」


 好きな物の話からアイネに対する猫という意識改善に話が切り替わっている。


「おっとそうでした。ではチャオ〇ュールではなくスタバドリンクとしておきますっ」

「そういや好きだったな」


 これはトモリさんと共通の好みだから、トモリさんも言い出しそうだなあ。


「トモリさんはどうですか? やっぱりスタバですか」

「わた~しはで~ですね~。和服~です~」

「あぁ、和服」


 確かにトモリさんはいつも和服だ。

 今日も大正ロマンな感じの袴姿だ。


「最近~は~動きやす~さも~気にし~て~ます~」

「それでその格好なんですね」


 いつもの高級そうな和服ではなく、もっとシンプルで動きやすそうな袴姿なのはそういうことか。


「いいですね、似合ってますよ」

「ありがと~う~ござい~ます~」


 さて、トモリさんの好きは聞けたし、後は……。


「シュキはどうだ?」

「私? 私は……勉強かな」

「うっわ真面目ですわねぇ」

「母親のセリフとは思えねぇな」


 娘が勉強好きって言って「うっわ」とかいう母親いるだろうか。


「勉強は頭が良くなる。思考力が身につく」

「いいことだな」


 勉強の仕方も、この前勉強見て上げたらかなり効率的でとても勉強が好きで、得意なのが感じられた。


「シキはどうだ?」

「私。私は、剣術」

「剣術」


 流石異世界生まれ異世界育ち。

 剣道とかじゃなくて剣術ってうのがもう、ああ、ガチの奴なんだなってのが。


「剣術得意なのか?」

「ん、得意」

「お姉ちゃんに似て何でも得意だけど、一番は剣術みたい」

「へぇ」


 それはスゴイ、今度見せてもらいたいものだ。


「シュキは勉強、シキは剣術か……うんうん、健全でなによりだ」


 さて、後聞いてないのは……。


「アシェはどうだ」

「私はあれよ、研究」

「あぁ、そういう設定あったな」

「設定言うな」


 アシェに理不尽なチョップをくらいながらも俺は続ける。


「アシェの研究ってなんの役に立つんだ?」

「主に私以外の人が錬金術で薬を作成する手本とかになってるわね」

「ほう」


 そういやコイツには便利な魔眼がある。だから本人には錬金術の研究は必要ないようだ。


「wiki更新するようなもんか」

「変な例え止めてくれる……?」


 あながち間違ってない気もするんだけどな。違うかな。


「さて、これで無事に全員聞きおわ……」

「ってないよ! お姉ちゃんも聞いてよ!」

「後ユウキも言ってねぇですわよ」


 クソ、俺はまだしも義姉さんは碌な事言わないだろうと思って回避したかったのに。


「はあ……じゃあ義姉さんは、好きな物はなんだ」

「本当はゆう君って言いたいところだけど……今回はコスプレだね」

「は?」


 今なんと? コスプレ??


「義姉さんが?」

「そうだよ?」


 知らなかった、そんな趣味があったとは。


「これ本当ですわよ。うちのコスプレ喫茶のコスとか全部シオンの私物だもの」

「マジかよ」


 それは驚きの事実だ。我が義姉にそんな趣味があったとは。


「さ、お姉ちゃんも趣味を暴露したし、後はゆう君だよ」

「俺かあ」


 このまま行くと俺がオチ担当なわけだが……。


「ゲームかな……」

「あぁ好きですわよね、ユウキって」


 シュエリアがうんうんと頷きながら答える。

 それに周りも賛同している様子で頷く。


「初対面の時もゲームを渡されて一緒にやりましたわね?」

「お前が暇だから自決するっていうからな」


 あの時はなんて頭のオカシイ奴だと思った。

 いまでもおかしな奴なのはかわらないが、でもそれが今じゃ俺の本妻だ。


「人生何があるか分かんねぇなあ……」

「なーに遠い眼してんですの」


 俺がシュエリアとの交際について考えていると、シュエリアに小突かれた。


「まあ、とりあえず俺はゲーム好きだよ。初対面の人間に貸すゲーム機持ち歩いているくらいには」

「それもそれで結構異常ですわよね……」


 まあそうかもしれない。悲しい拗らせソロプレイヤーという奴だ。


「さて、それでどう決着付けるんだ?」

「この話にですの?」

「おう」


 特にオチらしいオチも付かなかったのだが、どうする気なのか。


「そうですわねぇ……まだまだご飯時でも無いし……好きな人の何処が好きかについて語り合いますわ」

「それ俺が聞いてて恥ずかしい奴では」


 いや、場合によってはシュキとシキも見てて恥ずかしくなる可能性はあるが。


「いいんですわよ、さ、話し合いますわよ」

「「おーっ!」」

「なんで全員乗り気なんだよ」


 どうやら好きな人の話解禁とあって、皆(シュキとシキ以外)はテンションが上がったようだ。


俺はといえば、恥ずかしい目に合うのは目に見えているので……。


「朝食の仕込みしてくるわ……」

「いてらですわー」


 朝食の仕込みという名の避難場所に退避するのであった。


ご読了ありがとうございました!

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次回更新は次回日曜日の21:00までを予定しております。

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