新世界ですわ
「それで、他に隠して育てた子が居る奴は居ないだろうな」
突如現れた隠し子にまたもこのパターンかと思い、つい他を疑ってしまう俺。
正直シュエリアと義姉さんに娘が居るなら他に居てもおかしくはない。
「兄様に隠し事なんてしませんがっ」
「子育て~大変そ~うですから~?」
「シュエリアの阿保と一緒にされてもねぇ」
三者三葉、違った理由ではあるがどうやら三人とも隠していることは無さそうだ。
いやまあ、これがまだエイプリルフールネタの延長で嘘という可能性もあるが。
「疑いは晴れたんですの? そしたら式の事をちゃんと紹介しないとですわね?」
俺の三人への疑いが晴れた(?)ところで本題だ。
俺も二人目の娘がどういう子か気になるところだ。
「それじゃあお姉ちゃんが紹介するね。この子は式。お姉ちゃんとゆう君の娘だよ」
「式です。よろしくお願いします」
挨拶の後にペコっと頭を下げる式に、育ちは良さそうだなと感じる。
「あぁ、よろしくな、シキ」
「お父さんには早く会ってみたかった。憧れてる」
「お、おお?」
どうやら俺は知らぬ間に憧れのお父さんになっていたようだ。
義姉さんは俺についてどう話していたんだろう……。
「猫に愛されてるって聞いた。私ももふもふに愛されたい」
「すげぇ複雑な気分」
憧れてる理由が理由過ぎてあんまり嬉しくない。
なんとも微妙な気持ちだ。
「というかシキは猫とか好きなんだな」
「好き。もふいの全般好き」
中性的な見た目でカッコいい系の女子な為、そう言うのは趣味じゃないのかと思っていたが、思ったより趣味にあっていたようだ。女の子らしいところがあるものだ。
「他にもシキの事知りたいんだけど……そうだな、年齢はとか、学校は?」
「今15,シュキと同じ学校」
「シュキと同じっていうと異世界の学校か」
なるほどなあ、そうかあ、異世界かあ。
「というかシキって名前は義姉さんと俺から取ってるのか?」
多分シオンのシとユウキのキだと思うんだけど。
「そうだよー。名前で悩んでたらシュエちゃんが付けてくれたんだー」
「名付け親お前か」
「ユウキが好きそうな名前でしょう?」
俺がというより作者が好きそうな名前だ。
「でもシキか……直〇の魔眼とか使えそうな名前だよな。魔眼といえばアシェだから、やるならアシェの子でそのネタ飛んできそうなもんだけど」
「お父さんがオタクなのは本当だったんだね」
「このネタでオタクだってわかる娘もまたオタクなんだなあと思ってしまう父だよ」
子は親を見て育つというが、親を見てなくても親に似る様だ。
「さて、そんなわけで、娘のシキも紹介できたし、ゆう君も行ってみたいんじゃない?」
「何の話だ?」
行ってみたいって、何処にだ?
「もちろん、シキとシュキが育った新世界にだよ」
「確かに、興味はあるな」
「あら、そうなんですの?」
シュエリアは意外そうな顔をしているが、いや、気になるだろやっぱり。
「それじゃあ行く?」
「行きたいな」
「いいですわよ。じゃあどうせだから全員で行きますわよ」
そんなわけで、部屋に居る全員で異世界……新世界に行くことになった。
「はい、ここが新世界『アルター』ですわ」
「アルターねえ」
なんかどこぞかのフィギュアの購買会社みたいだ。
「で、その中の大陸、アスキーのレイルという街にある我が家ですわ」
「アスキーにレイルね」
情報量が多くなってきそうなので覚えるのは後でよさそうだが、まあなんというか、広い世界の大陸の一つ、そこの自宅らしい。
ちなみに自宅はビックリするぐらい我が家に似ている。何せ転移したのに気づかないくらいだ。完全にシュエリアの部屋である。
「なんで家に似てるんだ?」
「環境が変わってストレスになっても嫌でしょう? だったらほぼ同じ環境から移れば負荷無く済むと思っただけですわ」
「なるほどなあ」
意外と娘達のことを考えての配慮だったようだ。
決して作者が考えるのメンドクサイとかではなかったらしい。
「というわけで、アルターにせっかく来たのだから、そうですわね……時間はまだ昼間だし、ちょっと学園でも見に行ってみるのはどうですの?」
「ほう、学園か」
それはまた、面白そうだな。
「ゆう君も興味あるみたいだし、皆、どうかな?」
「私は兄様のいくところならどこへでも行きますがっ」
「暇~なので~?」
「この流れで行かないなんて言わないでしょ」
「お父さんに私達の通ってる学校見て欲しいかも」
「同じく」
どうやら全員OKのようだ。
「それじゃ、行きますわよ」
「転移でか?」
「徒歩でですわ」
そんなわけで、俺達は新世界アルターにある、シュキとシキが通う学校に行くことになったのだった。
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