忘れてましたわ
「エイプリルフールネタをやるのを忘れてましたわ」
「エブリデイフールが何か言ってるな」
いつも通り、シュエリアの部屋を訪れ、皆でだらだらしているとシュエリアが思い出したように発言したのはなんともメタな話だった。
「ザ・フールと呼んでくれてもいいですわよ」
「まさか自称し始めるとは。良いのかそれで」
俺の嫁はフールという称号がお気に入りの様だ。わけわからん奴である。
「そんなわけでエイプリルフールをやりますわ」
「さよで」
言い出したら聞かない嫁だ、もう慣れっこである。
「でもただ嘘をついても仕方ないから、ここは一つゲームをしようと思いますわ」
「ほう」
嘘を吐くのとゲームと、どういうルールにするのだろうか。
「これからの会話でわたくしが嘘を吐くからそれを見破るというものですわ」
「ふむ、嘘は何個吐くか決めてるのか?」
「特にその辺は制限無いですわ」
「なるほど、メモでも用意しておくか」
「乗り気でいいことですわ。それじゃあ。嘘吐きゲームスタートですわ」
そんなこんなで始まった嘘吐きゲーム、さて、どんな会話になるのやら。
「さて、それじゃあ……こほん。実はシオンはシュキの面倒を見てくれたりしてましたわ」
「そうなのか」
それってシュキと義姉さんには嘘かホントか直ぐにわかるものだけど……。
まあ俺も一人で産んで、育ててしてたとは思ってないので、なんか納得である。
「驚かないですわね?」
「まあ、可能性の一つとしてあるかなあとは思ってた」
「そう、じゃあ次は……わたくし、これでもFカップありますわ」
「なるほど」
まあこれも本当だろう。シュエリアはこう見えて着やせするタイプだ。
「それと、わたくし、ユウキの事好きですわ」
「嘘だったら怖い事言うじゃん」
これが嘘だったら俺悲しいんだけど?
「後、シュキは新世界の学校に通わせてますわ」
「へぇ」
学生だとは聞いてたけど、こっちの学校では無かったのか……。
「後、シュキはわたくしより魔力ありますわよ」
「え」
これは流石に嘘だろう。シュエリアが魔力が多く、阿保みたいに何でもできるのは嫌なほど知っている。
「それとシュキはEカップですわ」
「お母さん!?」
「お前なあ……」
シュキのプロフィールを赤裸々にするのは止めてあげて欲しい、本人かなり動揺しているし。嘘だったら悲しい嘘かもしれない。
「後は……トモリはバスト100超えてますわ」
「マジか」
大きいとは思ってたけど、そこまであるのか。いつ測ったんだろう。
「そして動揺しないトモリにビックリしてますわ」
「まあ~かまいま~せ~んから~?」
「マジか、トモリさん心広いな」
普通そんなん暴露されたら怒ってもいいもんだ。
「とまあアレですわね、なんか思い付かないから後は適当に」
「お前ホント自由な」
思い付かないとか言っちゃったよ。
「えーっと、アシェは魔眼、まだいくつか所有してますわ」
「本当に適当だな」
千里眼と錬成の魔眼以外にも魔眼を所有しているってことだろうけど、そんなレアな能力いくつもあるものだろうか。
「後、最近シオンは子供出来たみたいですわよ」
「はあ?」
また適当な事を……コイツ大丈夫だろうか。
そこまで無理して嘘吐く必要はないと思う。
「後はー……無いですわね」
「無いんかい」
適当に言ってももうないのか。
ま、いいけどさ。
「それじゃあ結果発表ですわね」
「その前に皆の回答を聞いておこう」
そんなわけで皆思い思いにこれが嘘だったのではないかと述べていく。
皆大体自分に関しての話はおおむね認めているようで……ん?
「まてよ、そうなると殆ど本当の話じゃ……」
これってもしかして。あれか?
「それじゃあ答えは出揃ったかしら?」
「ああ、なんとなく展開は読めたわ」
多分読者の皆様も一部展開が読めたのではないかと思う。
「それでは答えは……『嘘吐きゲームスタート』が嘘ですわ」
「やっぱりか……」
つまりコイツ、さっきまでの会話は全部本当の事という事だ。
「アシェは魔眼をまだ複数持ってて、娘はEカップと」
「そしてお姉ちゃんは子供が出来ているということだよゆう君」
「うん、あんまり触れたくない話題だからスルーしたんだけど」
いや、だって嫌な予感しかしないじゃん?
「大丈夫、シュエちゃんと違ってちゃんと育てたから」
「それだと私がちゃんと育ってないように聞こえませんか?」
「確かに。シュキはちゃんとしているよ」
にしてもこのパターンはやはりそういう事なのだろうか。
「ということで本日お披露目の愛娘、式でーす!」
「凄い長い前振りだったね母さん」
そう言いながら扉を開けて入って来たのは短髪の忠誠的な顔立ちの少女だった。
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