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娯楽の国とエルフの暇  作者: ヒロミネ
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飲みますわ!

「最近飲んでないですわね」

「何を」


 いつも通りの休日、夕方頃まで楽しくダラダラしていると、シュエリアが唐突に言い出した言葉。

 飲んでないって何を。


「何ってお酒ですわ。最近飲んでないですわ」

「いいじゃないか健康的で」


 お酒を飲むのが不健康と言わないが飲まないなら健康的だとは思う俺である。


「作者も最近めっきりですわ。この作品を書き始めた頃なんてブックマーク一つ増えるごとに祝杯を挙げていたというのに。お金がないって切実ですわよね」

「そんな悲しい現実をここに綴るのはやめろ」


 そんな作者の近況なんて知りたくなかった。


「で、わたくし達が代わりに飲みますわ」

「いや、代わりにの意味が分からん」


 なんで代わりに飲む必要があるのかとか、それ以前に代わりにってなんだ。


「ブックマーク70を記念して飲み明かしますわよ!」

「中途半端な数字を記念するなあ……」


 どうせなら100辺りでやればいいのに。まあコイツの場合飲んで騒ぐ口実が欲しいだけな気がするが。

 まあ口実無くてもやりたきゃ勝手にやる奴だが。


「そんなわけで皆呼びますわよ」

「はいはい」


 皆この時間なら各々の部屋で自由に過ごしているだろうから、呼べばすぐに集まるだろう。

 グループに連絡を入れて待つこと数分。


「お酒~が~飲めると~聞いて~?」

「来てやったわよ」

「来ちゃいましたっ」

「お姉ちゃんも仕事任せて来ちゃった」

「いやそれは駄目だろう」


 なんか一人酒の為に仕事押し付けて来てる阿保がいるんだが。

 理由が理由だけにクズい。


「たまにはいいの! いつも仕事ばっかりなんだから」

「そうか……?」


 割と頻繁に遊んでる気がするのだが、気のせいだろうか。


「まあまあ、酒の席で野暮なことは言うもんじゃないですわ」

「わかってるねシュエちゃん!」

「ところでなんでシュキも居るんですの?」

「え、お酒飲みたいから」

「優等生のシュキが未成年飲酒ですの……?」

「私150歳だからね? 未成年じゃないよ??」


 そういえばそうだ、エルフの未成年って何歳までなんだろう。

 よくわからんけどまあ、150歳……俺より年上なだけに駄目と言いずらい。


「仕方ないですわねぇ。正直エルフ的感覚で言えばまだまだ子供だけれど、この国の法的にはOKだしいいですわよ」

「やった」

「ただし飲み過ぎない事ですわ」

「お前が言うのか?」


 コイツ等酔うとめんどくさい上に絶対酔うまで飲むクセに言うか?

 いやまあ、トモリさんだけは酔っても影響少ないし、かなりザルなほうだからいいんだけど。


「それじゃあ、全員にお酒を回して……」

「お酒~」

「ふふん、この時を待っていたわ」

「別に私はそこまで好きじゃないですが付き合いって大事だと思いますっ」

「お姉ちゃんはゆう君に甘えるチャンスだからしこたま飲むよー」

「いや、ウザ絡みされんのは勘弁」

「お父さんと飲めるのはなんだか嬉しい」

「そりゃなによりで」


 なんだか皆酒好きなんだな……ちなみに俺はそうでもない。

 アイネもか。


「さて、それでは杯を乾すと書いて……」

『乾杯!!』

「ですわ」


 そんなこんなで始まってしまった飲み会。

 因みに主な酒はストロングである。今回は阿保みたいに度数の高い酒は……あ。


「トモリさん何してんですか」

「お酒を飲んでます」

「もう既に素に戻ってる」


 酔うと素に戻るトモリさん。既に酔っているようだ。


「で、その手の物は?」

「お酒ですが?」

「まあ、そうですけど」


 そうなんだけど、そうじゃない。


「なんでスピリタスを瓶ごといってんですか」

「なんでって、お酒好きですから?」


 あ、駄目だ。この人とは話が合わない気がしてきた。

 天然っていうか、酒豪過ぎて話が合わない。


「ま、まあいいか……」

「そんなことよりユウキ、シュキが凄いですわ」

「ん?」


 凄いって何が凄いのだろうか。


「お酒ってあんまり美味しくないね」

「そうか、口に合わなかったか」

「でもつまみは美味しい」

「それはよかった」

「んくんく。お酒ってあんまり美味しくないね」

「うん? おう」

「でもつまみは美味しい」

「あれ、この話ループする?」

「ね、凄いでしょう」


 うちの娘は飲むと同じ話をするタイプのようだ、というか美味しくないって言う割にもう既に三缶目なんだが。


「あんまり飲み過ぎるなよ?」

「大丈夫、二日酔いならお母さんと同じで魔法で治せるから」

「そうか、でも無理はするなよ?」


 魔法で治せるとは言ってもだ、その魔法を使うまでは二日酔いなわけで辛いことに変わりはないので、無理はしないで欲しい。


「アイネとシオンはどうですの?」

「にゃ?」

「うん?」


 声を掛けられた二人が直ぐに反応する。

 アイネはなんか駄目そうだけど。


「にゃんともないですよっ」

「お姉ちゃんとアイちゃんは平気だよ?」

「いや、酔ってるだろ」


 どう考えてもアイネは酔ってる。そしてそれに気づかない義姉さんも多分酔ってる。

 まあ酔っててもいいけどさ、飲んでるんだし。


「にゃんともにゃいですにゃっ」

「より一層酔ってるじゃん」


 言いながら酒を飲むアイネ。いや、酔ってるよね。


「ほどほどにな?」

「はいっ、程々に飲みますっ」

「大丈夫かな……」


 なんか色々心配だけど、まあいいか。


「で、アシェは……」

「ん? 何よ」


 どうやら酔ってはいない様子だ。

 また酔ってるのを見たいがために飲んでいないとかだろうか。


「また酔ってるシュエリアとかを見たくて飲んでないのか?」

「違うわよ、今日は飲んでるけど酔ってないだけよ」

「マジか」


 どうやらアシェも酔わない程度に飲むことを覚えたようだ。

 酒は飲んでも飲まれるなという奴だな。


「それはよかった、悪酔いしないようにな?」

「分かってるわよ。いつも飲んだ後って酷いものね」

「そうだな」


 主にトモリさんが酒豪な所為もあるが、まあ大体飲んだ後は酷い有様になる。


「相変わらず皆飲むと様子が面白いことになるな」

「そうですわねえ、わたくしは今日は毒素を全部魔法で分解しているからなんともないけれど」

「飲もうって言ったのお前だよな?」


 言った本人、酔う気無しとかどうなんだろう。


「いやあ、楽しい風景を眺めたくてつい、ですわ」

「そうかあ」


 まあ確かに、酔ってる人をみるのは若干面白い。


「それで、夕食はどうする?」

「あ、もうそんな時間ですの?」


 時間を見ると、もう夕食の時間だった。


「食べますわ。なんなら食べながら飲みますわ」

「そうだな、作って来るか」


 まあシュエリアは毒素を分解してしまうのだろうが、他の酔ってる連中にも食事はとらせた方が良い。

 そんな思いから俺は、夕食を作りにシュエリアの部屋を出るのであった。


ご読了ありがとうございました!

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次回更新は翌週の土曜日21:00までを予定しております。

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