下着の話ですわ
「ユウキってどういう下着が好みなんですの?」
「急にぶっこんで来たな」
いつも通りの昼下がり。俺が茶を飲んでいるタイミングでシュエリアが下ネタを投下してきた。
「今ので吹き出さないとはやりますわね」
「今くらいの下ネタなら慣れて来た感あるからな」
どっかの下ネタ製造機なんかはもっと連射してくるし。芸も細かい。
「で、どうなんですの?」
「清純派」
「黒より白と」
「そうなるな」
とりあえず俺の要望(?)を伝えてみれば、シュエリアの阿保はメモを取ってやがる。
「それ何に使う気だ」
「皆でシェア?」
「とんでもない情報シェアしようとすんな!」
って言うかコイツ頭いいんだからメモなんかしなくても覚えきれるだろ。
「それで、布面積も清純、それなりにあった方がいいんですの?」
「むしろ着衣がいいまであるかもしれない」
「なるほど、コスプレS〇Xが好み……ですわね」
「誰がそんなこと言ったよ……」
真顔でメモを取るシュエリアに呆れるしかない俺。
「なあ、何がしたいんだお前」
「何って何ですの?」
「どうせあれだろ? いつも通り暇なんだろ?」
「まあ、暇ですわね」
「で、なんで俺の下着の好みの話になるわけよ」
「妻として知っておいて損はないと思いますわ?」
「まあ、そうだが」
しかし何で今かな。真昼間から下着の話、室内だからまだしも公然性が入ったら大変だ。
って言うかこんな会話前にもした記憶がある。
「他に何か無いんですの? 下着こういうのがいいよとか」
「フリルとか好きかな」
「なるほどフリル……っていうか何だかんだ素直に答えてますわよね、ユウキ」
「だって答えないと魔法使ってでも吐かせるだろお前」
「そんなことは…………しないですわよ。多分」
「その長い間と多分って言葉で信頼ゼロだよ」
どう考えても魔法で心を覗かれるか喋らされる。なら素直に言ってしまった方が気持ちがいいという物だ。
「それに別に隠すことでも無いしな。嫁相手にさ」
「それもそうですわね」
まあ、敢えていう事でもないけどな。訊かれたからには答えるくらいは別に、というだけで。
「他に無いんですの?」
「真っ白よりは水色とかの方が好きかもしれない」
「空色とかも好きそうですわね」
「まあ、そんな感じ」
水色、スカイブルー、両方好きな色で間違いない。
「好きな色って意味で言えば若草色もいいな」
「わたくしの髪の色、ですの?」
「そうそう」
好きな色と言えばという感じだが、悪くない気がする。
「ユウキって本当にわたくし好きですわよねぇ」
「そのニヨニヨした顔やめい」
俺が髪色が好みと言ったのが余程嬉しいのかニヨニヨが止まらないシュエリア。
「まあそこまで言うなら、若草色の下着にしますわ」
「なんだろう、下着についての会話にデジャヴュを感じたんだけど」
「気のせいですわよ、多分」
「だよな」
作者が下着の話ばっかり書いてる阿保出ない限りは、大丈夫だろう。
「ちなみにネグリジェはありですの?」
「うーん、個人的にはあんまり?」
「なるほどですわ」
ネグリジェと言えばアシェがそうだったなぁと思い出す。
ちなみに淫魔で着てそうなイメージのあるトモリさんは大体浴衣で寝てる。
「それじゃあそろそろアレですわね」
「うん?」
アレとは何だろう。飯は食ったばかりなのだが。
「皆を呼んで下着パーティーですわ」
「何その変態の集まり」
パジャマパーティーならぬ下着パーティー、もはや変態の集まりと言わざるを得ない。
「大丈夫ですわよ、身内でやるんだから」
「まあ、そうかも知れんが」
俺の居場所がなあ、困るんだよな。どうせ強制参加だし。
これで女子だけで楽しくどうぞで済めば別に構わないのだが。
「たまにはハーレムの主らしく甲斐性見せるんですわね」
「はいはい……」
そう言われてしまっては仕方がない。そういう関係になったのはシュエリア発とはいえ俺の決めた道でもある、やるしかないだろう。
「でも恥ずかしいから参加しないっていうのは許してやれよ?」
「いいけれど、多分そんなん居ないですわよ」
「そうか?」
「そうですわよ」
そう言うとシュエリアは魔法で皆に連絡を取ったようだった。文明の力もコイツの魔法には敵わない。
ちなみに魔法でやるかスマホでやるかは気分らしいので今回は魔法だっただけだ。
それから三十分後。
「おじゃましますっ」
「ます~」
「入るわよ、ってホントに皆下着なのね」
「そうだよアーちゃん、イケナイ気分だね!」
「私はこういうの色んな意味で慣れてるから別に……」
そういえば一緒に寝るとき唯一下着……ネグリジェのアシェからすればこれはいつも通りなのかもしれないな。
それにしても圧巻である。
トモリさんの黒を基調とした布面積狭めな下着姿も相当ヤバいが、アイネの幼児体系もそれはそれでヤバイ。
そしてシンプルに俺の好みに合わせてるスタイルのいい義姉もまた破壊力抜群だった。
「むぅ……これはなかなか」
「楽しんでますわね、ユウキ」
「うん? おお」
まあ楽しんでいると言えば楽しいかも知れない。目の保養にはなってる。
「ところでユウキ」
「ん?」
「ユウキも脱ぐんですのよ?」
「え、俺も?」
そんな、何の意味が。
「意味とかじゃなくて、趣旨がほら、下着パーティーなのだから。ね?」
「……お、おう」
なぜだか優しく諭すように言われ、俺は渋々だがパンツ以外を脱いだ。
「ひゃぁっ!」
「いい体してますっ」
「おいしそ~です~」
「うんうん、我が弟ながらいい体付きだね」
「はいはい、どうもありがとう」
なんか最初に悲鳴みたいに喜んだ声が聞こえた気がするが無視しよう。
アシェの阿保は怖いからな。うん。いやマジで。
「ぐへへ、ユウキ、ちょっと、ちょっとだけ触ってもいい?」
「その代わり俺も触るが?」
「乗った!!」
「乗られた!」
まさか乗って来るとは思わなかったので困ったことになった。
「それじゃ早速……じゅるり」
「こわっ」
何この変態、怖いんだけど。
「ユウキも遠慮なく触っていいからね」
「うーんまあ、そう、だな」
言われてから思ったけどアシェってこの中で一番凹凸が無いので触ろうにも何処を触ったものか。
…………あ、一カ所あった。
「ひゃあああああああっ?!」
「そんな声出すなよ! 変な事したみたいだろ!」
「実際いきなりお尻揉まれたら変な声でるわよ!」
唯一凹凸のありそうなお尻にしてみたのだが、駄目だったようだ。
「うぅ、筋肉を堪能する代わりに何か大きな代償を払った気がするわ……」
「さよで……」
まあ、その辺はギブ&テイクの精神で乗り切って欲しいものだ。
「他に何かこの場でしたいことある人っていないんですの?」
「兄様に撫でられたいですがっ!」
「うん? いいけど」
俺はそう言うと、いつも通りアイネの頭を撫でる。
「兄様、頭だけでなく体全体を撫でてくださいっ!」
「アイネもかよっ」
まさかの俺の妹まで変態の仲間入りをしてしまっていた。
「ま、まあいいや……じゃあ、こことか、ここを」
胸、お腹を中心に撫でる俺。完全に変態である。
「にゃっ、くすぐったいでうっ」
「噛んだな」
「噛みましたわね」
でもまあ、なんか満足してくれたようなので、これで次に行ける。
後は……。
「義姉さんとトモリさんか」
「お姉ちゃんは後で良いよー」
「じゃあトモリさんから」
「では~私は~ハグを~」
「ハグですか」
なるほど、一番マトモそうな意見だ。
「では、どうぞ」
「はい~」
合図と同時にトモリさんとハグをする俺。そして気づいた。
トモリさんの胸の圧迫感と弾力に。
この破壊力はヤバイ、ヤバすぎる。
「ちょっ、ちょっと一回離れましょうか」
「は~い~」
素直に引いてくれたトモリさんに感謝しながら俺は息を整えた。
「トモリさん、凄いですね」
「う~ん~?」
本人無自覚か、なんて恐ろしいんだ、これが無自覚無双という奴か。
「さ、さて、後は義姉さんだな」
「まあ何だかんだシュエちゃんも残ってるけどね? お姉ちゃんから行かせてもらうよ」
さて、どんな無茶ぶりが飛んでくるのやら。
「この格好でー、膝枕してあげたい」
「え、普通」
思ったよりえぐいのでなかったので拍子抜けだ。
「普通だよー、ほらほらカモカモーン」
「お、おう」
俺は言われたままに膝枕を受ける。
するとどうだろう、いつもなら布越しの感触が来るところが地肌のもちっとした感触を感じるでは無いか。
「あー、これはいいなー」
「でしょう。お姉ちゃん大勝利―」
なるほどと感心するしかない。
流石ちょっとアレでも有能な義姉である、良いところを突いてくる。
「後は言い出しっぺのシュエリアかー。何がしたいんだ?」
俺は義姉さんに膝枕を続けてもらいながら問いかける。これは人を駄目にする枕だ。
「わたくしは別に特に無いのだけれど……」
「言い出したのお前なのに?」
「いえ、各々の反応が見れれば十分暇つぶしになるなあ、と思っただけですわ」
「お前全力で自分の暇を潰すことしか考えてねぇな」
まったく、良い性格をしている。こういう所が楽しい奴だ。
「とはいえ、せっかくだし何か無いか?」
「じゃあとりあえず……乱交?」
「とりあえずから出て来る言葉じゃねぇ!」
「それくらいしか思いつかないですわ」
「お前の頭本当にどうなってんの?!」
天才なんだかただの変態なんだか……全く困った奴である。
「まあ、シュエリアがしたいならいいか」
「アンタシュエリアにホント甘いわよね」
俺が意見を飲んだもんだからアシェに窘められてしまったが、しかしまあ、悪くもない提案だったので乗ってしまった部分もある。
「さてそれでは――」
「いただき~ます~」
「なんか今聞いちゃいけない単語が聞こえたけど、やるか」
俺は精力をトモリさんに食われるんだろうなぁと思いながら、その後シュエリアが夕飯の催促をしてくるまでハーレム生活を堪能したのだった。
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