ツッコミどころですわ
「いやこれ茹でそばですわ!」
「何を突然」
いつも通りの昼。昼飯にカップ焼きそばを食べているとシュエリアが急に叫び出した。
「これ焼きそばっていうか茹でてますわよね?!」
「まあ、そう言えなくもないが」
茹でると言うか浸けるというか……どちらにしてもそこはツッコんではいけないところだと思う。
「世の中ツッコミたいところ、一杯あると思いますわ」
「今日はそういう話でもしたいのか?」
「ですわね」
つまりまあいつも通り暇なのだ。飯食ってるけど。
「まず飯食ってからな」
「ですわね。もぐっ……」
という訳で食べる事数分、両者完食したところでアイネとトモリさんもやってきて会話に混ざることに。
「で、例えばこのカップ焼きそば。焼きそばと言いつつやってることは茹でてますわよね」
「なるほどっ、そういう趣旨の話ですねっ」
とりあえず、やって来たばかりの二人に大まかに話の流れを説明しておく。
「で、何か無いんですの?」
「お前だろ、一杯ありそうなこと言ってたの」
「言ってもパッと思い浮かばないものですわねえ」
「お前なぁ……」
呆れてものも言えない。自分から言い出しておいてなんてことだ。
「例えば緑信号を青信号って言うようなものですよねっ?」
「そう、それですわ! それ青じゃなくて緑ですわ! みたいな」
「なるほ~ど~」
とりあえずトモリさんにも伝わったようで、なるほど確かにツッコミどころという奴だろう。
「実際なんで青って言うんですの? どうせ青っていうなら最初から青にすればいいんじゃないんですの?」
「教えてグー〇ル先生」
「まあ知らないですわよねぇ」
調べてみると直ぐに出て来た。
「あー、なるほど。つまり日本独自の風習で、語呂がいいから青信号って認識でよさそうだぞ。海外じゃ緑で通ってるみたいだし」
「そうだったんですのね」
「語呂が良ければなんでもいいのですかっ」
「ごろごろ~」
なんか妹が語呂の部分に大分食いついているんだけどなんかあったんだろうか。
まさか自分の名前が語呂悪いとか思って?
「アイネは結城愛音で語呂良いよな」
「にゃっ? そうですかっ?」
「うん、可愛い」
「ふにゃっ。ありがどうございますっ」
なんか嬉しそうにニコニコしてるのでこれは好感触でいいだろう。
緑信号が青とか呼ばれてる謎については忘れたようだ。
「で、他に無いんですの?」
「そうだなあ」
言われても中々サクサクとは出てこないものだ。
「あ、シーチキンってチキンではないだろ、とか?」
「あー。なんであれシーチキンって言うんですの?」
「教えてグーグ〇先生」
「なんでも聞きますわね」
ふむ、なるほど?
「原材料が白くて柔らかくて鶏肉の様だから、だそうだ」
「へぇ、案外なんてことのない、普通な理由ですわね」
「まあ、そうだな」
特段これと言ったエピソード性もないなんでもない理由だった。
「まあでも美味しいですわよね、シーチキン」
「ツナ缶と似てんだよなぁ」
「た、確かにそうですわね」
っていうか同じなんじゃないかと思う。
「グー〇ル……お。同じじゃん。ツナ缶の中でもは〇ろもフーズが商標登録してるものがシーチキンなんだそうだ」
「へぇ、そうなんですのねぇ」
「どっちも同じですねっ」
「似てる~わけです~」
どっちも同じというとわざわざ商標登録してるシーチキンに失礼な感はあるが、まあ似た者同士ではあるようだ。
「さあて、他には何か無いんですの?」
「そう~ですねぇ~」
皆で一様にうんうんと唸って考える。
「ラーメンと中華そ~ば、どっちも同~じ~とか~」
「あぁ、紛らわしいですわよね。呼び方違うけど本来同じ物とか」
今までのとはちょっと違うけど、確かにツッコミたいところではある。
「マルち〇ん製麵なんて醤油ラーメンと中華そば別々に出してるしな」
「余計に分かりづらいですわね……」
まあ別にマルち〇んに非は無いが。紛らわしいもんは紛らわしい。
「さあさあ、次は何ですの?」
「そうだな。じゃあスピリタスってもうほとんど消毒液じゃね?」
「まあ希釈すると消毒にも使えるらしいですわね」
「あれを飲むって相当の度胸が必要だよ」
まあどっかの阿保はあれを用意してきたことがあった気がするが、さてあの時飲んだのは誰だったか……。
「ショットで飲むものでは無いですわね」
「そうだな。多分」
世の酒豪は飲むのかもしれないが、普通は割るんだと思う。思いたい。
「ふう、中々有意義な話ですわね?」
「そんなことは無いと思うが……」
有意義どころか安定の無駄話だ。
「他にツッコミどころ満載な何か無いんですの?」
「って言われてもな。一応一周回ってんだよな」
「あら、そうでしたわね」
いつもの流れだと一周したら大抵コイツが他の事し出す頃合いだ。
「……冷凍の唐揚げとかの揚げ物も揚げてない感そこそこありますわよね」
「まあ、無くはないけど、元々揚げてあるのを温めてるわけだからいいんじゃないか?」
「ですわね」
という訳でもうそろそろネタも尽きて来たようなので俺はシュエリアに向かって言った。
「無駄話はこの辺にしてゲームでもやろうぜ」
「スプラト〇ーンですの?」
「新作出たしなあ」
「四人でゲームですわね」
「だな」
「ですねっ」
「はい~」
ということで今回のツッコミどころの多い無駄話はいつも通り無駄に終わった。
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