流石にもう……ですわ
「流石に季節ネタやり過ぎてそろそろ地味~にそうめんでも流し出しそうだから今日は季節感のないネタで行こうと思いますわ!」
「このクソ暑い時期に季節感無くとはよく言ったもんだ」
とは言えここは自宅なのでエアコンが効いていて涼しいのだが。
それにしたって季節ネタ無しって。どうでもいいがまた妙な事言い出したな。
「という訳で何か無いんですの?」
「丸投げかよ。ビックリだよ」
最近はちょくちょくやりたいことをコイツが言い出す流れが来てたから忘れがちだがコイツは基本こうだ。「暇ですわ、なんか面白いことないんですの?」だ。
「じゃあ加減の話でもしようか」
「加減?」
俺は自分で話題振っといてなんて地味な話題だろうと思ってしまう。
「例えば、M男が居たとして、何処までが悦ぶ境界線なのか、とか」
「そういえばマゾって睾丸潰されても悦ぶんですの?」
「そういうことだよ。それこそ加減の問題だろ。流石にそこまで行ったら悦ばないだろ」
「分からないですわよ、ちょっと聞いてみますわ」
「誰に」
「ユウキに」
「……俺マゾ認定されてんの?」
「違うんですの?!」
「違うわ! なんでそんなことになってんだ!!」
驚愕の事実に驚く二人。片方は阿保なだけだが俺は真剣に驚愕した。
「だってユウキの周りの女子の性格を考えるに、マゾだから耐えうるとしか……」
「そういうことならその中にお前も入ってるからな?!」
「わたくしはほら、可愛いから」
「可愛けりゃいいってか。可愛ければ性格悪くてもいいと」
「まあ平たく言えば、可愛いだけで正義ですわ」
「それも加減があると思うけどな……」
俺の言葉にシュエリアがムッとする。
「それはわたくしの可愛さが性格をカバーできてないと言う意味ですの?」
「いや、お前は顔も性格も良いよ」
「え」
「え?」
俺の言葉が予想外だったのか、なんだか鳩が豆鉄砲を食らったような顔した後に急激に赤くなるシュエリア。
「い、今のはそういう流れじゃないハズですわ!」
「いやでも、事実は事実でハッキリしないと」
「それは……そうですわ。でも……もうっ」
何か言いたいようだが言葉に出来ないようで俺をグイグイとただただ押してくるシュエリアに意味が分からない俺が居た。
「とりあえず俺はマゾじゃないし、周りの皆の性格だって性悪とかサドとか居ないから」
「トモリとアイネはああ見えてSっぽいですわよ」
「あの二人が? いやいや、無いだろう」
百歩譲って魔王のトモリさんは「実は……」とかあってもアイネは無いだろう。
「って言うか加減の話だろ、SMじゃなくて」
「あ、そうでしたわね」
俺の周りの人間のSM診断なんかしててもしゃあないことだ。まあ、加減の話を話題にしてそれが有意義な話題かと言われたらノーだが。
「他にどんな加減があるかしら」
「そうだな、マヨラーってどこからがマヨラー?」
「食べる物全部に掛け始めたらじゃないんですの?」
「それだと意外と少なくなるんじゃないか?」
「でも速水も〇みちも何にでもオリーブオイルを使うオイラーですわ。アレくらいじゃないと」
「オイラーだと何か別の物に聞こえる」
油まみれと言うか、そういうのを想像してしまった。
「じゃあほとんどの食事……半分以上ならマヨラーでどうですの」
「まあそれくらいなら結構居そうだよな」
「じゃあ次の議題ですわね」
「お、おう」
ついに議題とか言い出しやがった。ノリノリである。
「次はそうですわねぇ……力加減とかどうですの」
「力加減?」
ふむ、力加減なあ……。
「どういった話になって来るんだそれは?」
「わたくしって絶妙に手加減上手いですわよね」
「まあ確かに、世界まるっと宇宙ごと滅ぼしかねない力持ってんのにツッコミとかは非常に絶妙に痛いよな」
「でしょう?」
ふふんっ、と自信満々と言った風に胸を張るシュエリア。ちょっとウザい。
「とまあ、こんな感じになりますわ」
「お前自分の手加減の上手さ自慢したかっただけじゃねぇか」
コイツに任せてるとロクな話題にならなそうだ。次行こう次。
「まったく。したら次は~……どこからがセクハラかとか」
「興味ない異性に声かけられたらセクハラですわ」
「こわっ!」
そんなレベルでセクハラ成立してしまったら世の中の男性は生きて行けるだろうか。
「まあ流石に今のは冗談ですわ。でもまあ、基本興味ない異性からジロジロ見られたり触られたりしたらセクハラですわね」
「こえぇな世の中……下手に人と目を合わせたらセクハラ案件とかありそうで怖すぎるわ」
「そうですわね、本当に怖い世の中なんですのよ?」
シュエリアがなんだか心配そうに俺を見ているんだが。俺ってそんなにやらかしそうですかね。
「まあ俺は大丈夫だな、健全だし」
「そうですわね、健全に変態ですものね。今更ですわ」
「健全に変態って何?! 俺の何処がおかしい!」
「美少女囲って義姉の金で遊ぶ辺りですわね」
「言い方悪いな! 確かに美少女には囲まれてるし、義姉さんが金持ちで色々融通して貰ってるけど義姉さんの金で遊んでるとかじゃないからな?!」
「などと供述しており」
「なんでちょっと犯罪者扱いになってんの?」
「いつか絶対セクハラで逮捕されると思ってましたわ」
「凄いぞ、もし仮にモザイクとボイチェン入ってても言ったのお前だってわかるわ俺」
俺の周りでこの喋り方コイツしかいないからすぐわかるわ。
「ま、セクハラには気を付けろって話ですわ。受け手の気分の問題とかいう鬼門だから」
「鬼門過ぎるわ」
まあ要は相手の気持ちを考えましょうって話なんだけど、怖いもんは怖いなあ。
「さて次の議題は……料理ですわ」
「料理、か」
料理で加減っていうとやっぱり。
「火加減か?」
「それもだけれど、調味料とかもですわね」
「なるほど。調味料の加減と言えば少々だな」
「少々ですわね」
少々ってどのくらいだよってツッコみたくなる加減の分からないワードだ。
「あれって実際どのくらいなんですの?」
「知らんよ。少々は少々だろ……?」
いやもう、言ってて意味わからないんだけどさ。少々ってなにさ。
「ユウキは料理は目分量ですわよね?」
「まあ大体はな? 量るのもあるけどほとんどは目分量だな」
「つまりユウキの匙加減という訳ですわね」
「まあ、そうだな」
そう言う意味で言えば料理なんてのは加減の難しいものかもしれない。
何から何まで加減、加減、加減の連続だ。
「火加減に調味料の加減に、焼き加減、茹で加減、なんでも加減だな」
「料理こそナンバーワン加減オブザイヤーですわね」
「なんだそれは」
なんかみょうちくりんな事を言い出したぞコイツ。
「加減を多分に含み、また加減を重視する物事に与える称号ですわ」
「さいですか」
「さいですわ」
まあ、別にいいけど、なんでも。
「さて、ユウキ、ここらで一言いいかしら」
「何だシュエリア」
もう大体言いたいことは分ってるんだが、一応聞いておく。
「料理の話してたらお腹すきましたわ。流石にもうネタも尽きて来たしお昼にしたいですわ」
「まだ十一時だけどな……」
とは言えまあ、準備の時間も考えれば丁度いい……か?
これもまた加減と言ったところだろうか。
「ささ、早くお昼にするんですわ」
「はいはい、さて、昼は何にしようかね……」
そんなこんなで、俺達の昼飯前の暇は潰れたのであった。
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