よくあることですわ
「暇ですわ」
「暇になってしまったか」
ついさっきまでゲームをしていたのだが、一区切りついたところでやめたらこれである。
まあ、いつも通りだ。
「何か無いですの?」
「うーん」
なんか無いかか……なんか、無いか、あるか、お。
「じゃああれだ、ゲームとか漫画でありそうな、あるある設定の話でもするか」
「乗りますわ」
「乗ってくれた」
コイツこういう無駄話好きだよなぁ。とか思いつつ。俺も俺で話題のチョイスが微妙だったなと思うが、まあいいか。どうせ暇つぶしだ。
「という訳であるある話をしますわ」
「はいはい」
さっきから部屋に一緒に居たアシェが返事をし、膝上のアイネ、向かいのソファで寝ていたトモリさんが起きる。
「トンガ~ある~ある~はや~く~言いた~い~?」
「それですわ」
「そうでもないだろ……」
アレは某芸人のネタである。まああるあるは言うけども、トモリさんがやると余計に長くなりそうなので割愛して欲しいものだ。
「バナナ~焼きがち~」
「もう言っちゃうのか」
思ったより早かった。トモリさんも長いと思ってるのかな、アレ。
「ちなみにあるある探検隊でもないですわよ」
「それじゃあ一体何を話すんですかっ」
「それしか話すこと無いかのようなツッコミだな」
他にも色々あるだろうと思うけど。
「そこはほら、発案者のユウキから何かありますわよ。ねえ?」
「え、お、おう」
特に何も考えていなかったのだが、うーん、どうしたものか。
「じゃあお題を出すからそれに答える形式はどうだろう」
「例えば?」
「……バトル漫画にありがちな設定とか」
「友情努力勝利ですわ」
「それジャ〇プ」
「ゴム人間ですかっ」
「それワンピ限定じゃないかな」
「ツェ〇リ~魂~?」
「何、全員バトル漫画=ジ〇ンプなのか?」
この流れだとアシェもまた、ジャ〇プ作品でボケて来るのだろうか。
「主人公に逆補正が掛かっている」
「それバ〇だから。ジャ〇プじゃねぇから」
「ジャ〇プ限定じゃないんでしょ……なんでツッコまれるのよ」
「バ〇限定だし」
「そんなことも無いかも知れないでしょ」
主人公に逆補正掛かってる作品ってあんまないだろ……。
「まあ例えばのお題はいいとして。他に何かいいお題無いんですの?」
「良いお題なあ」
この場合の『良いお題』ってのはボケやすい物ってことなんだろうなぁ。
「じゃあエ〇ゲにありそうな設定で」
「安直ですわねぇ」
「お前なあ……」
呆れるように見て来るシュエリアに俺は思う。
こっちだってお題考えるのはしんどいのだ、安直だろうが気にしないで欲しい。と。
「それより、無いのか? 何か」
「感度倍増の淫紋は定番ですわね?」
「それヌ〇ゲーの定番だから」
エ〇ゲ全体で見たらあるあるかと言われると、微妙な部分ではある。まああながち間違ってないけど。
「他は無いか?」
俺が問いかけるとスッと手を挙げる奴がいた。アシェだ。
もうコイツが来た段階でなんか嫌な予感しかしない。
「勃〇が収まらなくて一日に百回射〇しないとチ〇コが死ぬほど爆発する呪いでしょ」
「そんな設定ねぇよ!!」
なんつう奇特な。どんな設定だよ。
「えー。じゃあ思い付かないわね」
「お前完全に想像だけで口にしただろ……」
コイツはエ〇ゲやった事無いんだろうか。そんなことあるかな、コイツが。
「アイネ……は良いとして、トモリさん何かありますか?」
「私~ですか~」
「ちょっと待ってくださいっ!」
トモリさんが考え始めるのと同時に、アイネから待ったが掛かる。
「なんで私は飛ばされたんですかっ」
「いや、アイネの見た目でしかも妹からそういうのはな……」
「じゃあなんでお題にしたんですかっ!!」
確かにその通りだ。妹も参加できるお題にすべきだったな。
「すまんアイネ、次からはアイネにも考慮したお題に――」
「感度三千倍は定番じゃないですかっ!!」
「それは対〇忍だけだから!」
ていうか、何で知って……俺の所為か。
「アクション〇魔忍でトレンド入りしてましたっ」
「あぁそういう」
でもエ〇ゲの設定の話で出してくる辺り、やっぱり俺の所為なんだろうなぁ。って言うか微妙にシュエリアの回答と被ってるし。
「それで、トモリさんはどうですか?」
「そうで~すね~。レ〇プ合法化~?」
「ありそうだけど。駄目ですからね」
とんでもないこと口にするな、この人。流石淫魔。
「次のお題はなんですの」
「え。うーん」
そうほいほいお題をと言われてもな……。
「じゃあソウルシリーズあるあるとかどうかな!」
「義姉さん居たのか」
急に会話に入って来て、というか部屋に入って来てお題を出してくる義姉さんに、もういっそ驚きもせずに返す俺が居た。なんかもう、いつ居ても、来てもおかしくない。
「お姉ちゃんがお手洗い言ってる間になにやら面白そうな話をしてるなぁって」
「手洗い言ってたのになんで聞こえてるんだよ……」
いつもの事だけど、この義姉はまだストーカーまがいの事してそうで困ったものだ。
「まあでも、それならいっぱいありますわね」
「普通にいっぱいありますねっ」
「作者の好み丸わかりだけど」
「メタいのやめい」
アシェの言葉にはとりあえずツッコミをかましといて、それでもとりあえず義姉さんの振ったお題に答える流れのようだ。
「毒沼ステージは鉄板ですわね」
「毎回あるよねー、探索するだけでしんどいステージ」
「あるなー」
そしてそういう場所は大抵速度低下とか付いてて更にしんどいんだよなあ。
「後他に比べて異常に暗いステージとかな」
「ありますわねぇ。不意打ちとか落下死を明らかに狙ってるステージ」
俺とシュエリアからネタが出て来ると後はもうひたすら皆からやれ「明らかな初見殺し」とか「NPCイベントが分かりづらい」とか色々出てきて散々盛り上がったものの、このままだとソウルシリーズの話だけで一日終わる勢いだったので途中で中断とした。
「永遠に話せるな」
「作者が好きなシリーズだからしゃあないですわ」
「ACとかも話始めたら止まらないだろうな」
「好きなシリーズだから仕方ないですわ」
「そればっかだな……」
まあ好きな物について語るって、結構こういうもんかもしれないけど。
「他にあるあるだと、何だろうな」
「じゃあバイト先あるあるとかどうですの」
「俺のバイト経験は無いんだが」
「じゃあ異世界ファンタジーあるあるですわ」
「なるほど、それにしよう」
異世界ファンタジーあるあるね。よし。
「やっぱチート能力はあるあるだろ」
「ユウキは無いけれどね」
「いや不老不死は結構なチートだと思うけどな?」
「それアシェに貰ったようなもんでしょう」
「異世界ファンタジーのチート能力は大抵貰いもんだよ……」
転生特典と呼ばれるような貰い物の力が大半のハズだ。まあそもそも俺は異世界で暮らしてすらいないのだが。
「シュエリアはもとからチートだしな」
「まあ天才だから仕方ないですわ」
「本当の事だけどいつも思う。お前はもうちょっと謙遜しろ」
謙虚さという物がコイツには欠片もない。もう本当に無い。
「謙虚に生きてるからこんなもんなんですわ。力を行使するタイプだったら大変ですわよ」
「まあ、そうとも言えるんだけどな……ああいえばこう言いやがる」
「天才だからですわ」
「さよで」
「さよですわ」
もういいか、コイツが天才なのは認めて諦めよう。色々、うん。
「他にあるあるって言うと、何だろうな」
「現代知識チートじゃないでしょうかっ」
「あぁ、確かにな。戦闘に生活にと文明レベルの違いが活きて来る場面はあるな」
まあそう言うのが無い作品も無くはないけど。定番だからOKだ。
「魔王~とか~?」
「魔王が言うと、何でしょうね。違うと言えない説得力がある」
必ずしも魔王は居ないが、居ることは非常に多いのでこれもあるだろう。
「他にあるあると言えばやっぱり美少女ヒロインよね、それも異世界限定な姫騎士とかエルフとか」
「そうだな、シュエリアとかな」
「そうですわね。わたくしとかですわね」
「二人して美少女ヒロイン=シュエリアって認識なの何なのよ……」
いや、だってコイツより美少女って造形的に無理があるだろう。これ以上ってどうなるのか想像できないレベルだからな……。
「まあいいけど、私も美少女だからね?」
「そうだな、シュエリア以外も勿論美少女だ、間違いなく」
シュエリアが尋常じゃない美少女なだけで皆だって可愛いし、綺麗だ。間違いなく美少女だ、うん。
ここで下手な事言うと全員にボコられそうだからシュエリアが~とかは言わないが。
「後はあれだよね、主人公が兎に角モテる」
「それですわ」
「確かにそうね」
「ですねっ」
「確か~に~?」
「何故全員俺を見る」
そこで見られるとなんかアレだ、なんだ。凄く照れ臭い? 違う、居た堪れないのかもしれない。
「俺、異世界ファンタジー関係ないけどな」
「まあ、異世界来ているのわたくし達ですものね」
「そういえばそうね」
シュエリアからすれば異世界だが俺からしたら全然現代日本だ。バリバリの現実である。
「さてそこでユウキ」
「何だシュエリア」
なんかもう、そろそろ時間経過と雰囲気から何を言うか分かっているが、とりあえず聞いてみる。
どうせ、アレだろうけど。
「お腹すきましたわ」
「だろうね」
ソウルシリーズの件が長かった所為で結構な時間が経っていたのでシュエリアがそろそろ腹が減ったと言い出す頃だろうとは思っていた。
「じゃあ、この話は」
「ここまでですわ」
「はいよ」
という事で。
俺達の駄弁りはいつも通り無駄話で。
これもまた、俺達あるあるであった。
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次回更新は来週金曜日18:00までを予定しております。




