本当にやるんですの?
ちょっとだけ短いです。
「本当に野球やるんですの? 人死にが出ますわよ」
「というか、そもそもこのパターンはどっかで見た気がする」
いつも通りシュエリアの部屋で遊んでいると、以前のゲームの話からそんな話の流れにになった。
「他にスポーツとかどうですの?」
「冬だし、スキーとかか」
「もうほぼ春ですわよ……」
そういや桜の開花が始まったと誰かに聞いた気がする。もう春か。
「花見?」
「それ前にやりましたわ」
「前にやった事をしちゃいかんという事もないだろ?」
「でもやらないですわ」
「そうかあ」
じゃあ何するよ。作者、何かいい案無い?
「エルデ〇リングをやりま……」
「下手したら先週と同じ流れだからそれ」
この阿保は何を学んで生きているのだろうか。
「そうだ、デートしようぜ」
「デートですの?」
こんな時はデートだ、うん。
「でも、外雨ですわよ」
「オンラインデートだよ」
「オンラインデート……?」
所謂オンゲでのデートとか、そんな感じだ。
「何かのオンゲをやるんですの?」
「この前義姉さんが創ったゆるい系のゲームで結婚とかクラフトが出来る自由度高いゲームがあるんだよ。それやろうぜ」
「いいですわよ」
ということで、義姉さんに集ることになったのだが。
「ゲームでくらいお姉ちゃんがお嫁さんじゃダメ?」
「駄目だろ」
「殺しますわよ」
「シュエちゃん怖っ」
「ユウキを」
「シュエリア怖っ!」
そこは義姉さんじゃないんだな。いや、義姉さんだと、嫌だから俺の方が良いけどさ。
「二人して同じツッコミ、仲良しですわね?」
「別にそういう訳じゃない、ただ同じツッコミなら天丼風になると思っただけだ」
「つまり似てないと」
「似てない」
「似てるもん!!」
何が「もん」だこの義姉。自分を何歳だと思ってんだ。
「俺と義姉さんが似てるわけないだろ。アイネならまだしも」
「猫と似てる方がおかしくない?」
「ほら出た。猫じゃねぇから、アイネだから、妹だから。そういう見解の相違含めて似てないってんだよ」
「むむむむ!」
「何やってんですの……」
俺と義姉さんの口論を見て呆れた様子で、しかし止めもしないシュエリア。
「ならこういうのはどうですの? アイネも含めて結城家姉弟の似ているか似ていないかクイズですわ」
「やってやろう」
「やったるもん」
「なんでちょっと上からなんですの」
というわけで、結局ゲームの話までお流れになって始まったのはロクでもないクイズ大会だった。
「兄さまと似ているかをクイズの回答で決めるんですね?」
「そうだよ」
「アイネしか勝たんっ。勝ち確ですありがとうございます!!」
「なんでそんな自信満々なんだ妹よ」
義姉さんにはああいったが、アイネと俺が似てる気なんて全くしない。
方やテンション低めなツッコミ担当。方やテンション高めな愛嬌ボケ担当である。
「クイズの出題はわたくし達が順番に行いますわ」
そう言って並んでいるのはシュエリア、アシェ、トモリさんだった。
「わたくし達が出す問題にフリップで答えて貰いますわ。よろしい?」
「オッケーだ」
なるほど、それなら口裏合わせとか、ハモリみたいな真似もできないか。
「それでは第一問ですわ。道に一万円が落ちていました。拾いました。それをどうする?」
なんだこの問題。常識過ぎて一致する未来しか見えない。
そう思っていた時期が、俺にもあった。
「回答オープンですわ!」
『交番に届ける』
『兄さまに献上する』
『誰のモノか調べて恩を売れる相手か考えてから選択肢を変える』
なんだ最後の回答。義姉さんあの人、え、そんなことして生きてんの?
「見事に割れましたわね」
「あり得ない程にな」
俺以外一般人居ないのかよ。
「正解とか特に決めてないけれど、ユウキが一番正解ですわね」
「そうだろうな」
「にゃんでですかっ」
「なんでって、俺に渡しても仕方ないだろ」
「そうしたらきっと兄さまは交番に届けますよ! 結果は同じですっ」
「賢いな、正解」
「こら妹バカ。ホントに賢いならそこまでわかっててユウキに持っていかないですわよ」
そう言われてみればそうだ。どうやら俺は相変わらずアイネに甘いようだ。
「次の~問題を~?」
「あ、はい」
どうやら出題したくてうずうずしている様子のトモリさんに急かされ、話が戻る。
「問題~……魔王と勇者の初対面、この時の勇者、また魔王のセリフを答えよ」
「知るか!!」
おっと、ついツッコんでしまった。これが回答と思われたら困るな。
「ゆっ君~その答えは~ちょっと傷つき~ます~」
「いや。今の回答じゃないですから」
天然ボケのトモリさんには今のツッコミが回答だと思われたようだ。そして何故か傷ついたらしい。魔王的にはもっと丁寧な扱いがお好みか?
「それでは~回答を~」
そう言われて、全員がフリップを出す。
『死ね魔王っ! ふはははは、ぐはははははは、ぐふぁあああああああ!!』
『お前が魔王か……。私が魔王だ』
『世界の半分を担保に和平を結びませんか? 乗った!』
「まったく合わないですわね」
「合う訳ねぇだろ……」
ちなみに、最初の回答がアイネ、次が俺、そして最後が阿保だ。
「義姉さんに至っては世界を切り売りしているし」
「だってその方が話纏まりそうじゃない?」
「気持ちはわからんでもないが戦えよ」
「でもアイちゃんみたいなのもどうかと思うよ?」
「それは俺もそう思うが」
「にゃっ?!」
今の驚いた様子を見ると、アイネ的にはさっきの回答、かなり自信ありだったようだ。
「実際はあんな感じでしたよっ?」
「これそもそも俺ら姉弟の回答が揃うかどうかって言うゲームだからな?」
「にゃんっ、そうでしたっ」
まあ敢えて揃えに行ってないだけにほぼほぼボケだからシュエリア的には楽しそうだが。
「次の問題、行くわよ」
「おう」
さて次はアシェか、どうしたもんだか。変な問題来そうだし。
「問題、自分の好きな人にくっ付く女共が大勢います。コイツ等をどうしますか」
「お前、その問題この環境でよく口にできたな?」
って言うか、俺この問題どの立場で答えれば。
「では、回答を」
「はいよ」
アシェに急かされ、皆でフリップに書き込んだ答えを出す。
『皆で仲良くする』
『全員幸せにする』
『とりあえずキープされつつ、略奪を狙う』
「おい義姉」
「てへぺりんこっ☆」
「盛大に人のネタパクるなよ」
ったくこの義姉は……。
「アイネとユウキは似たようなものですわね。シオンは……クズですわね」
「だって! やっぱり一番が良くない?!」
「それは~……」
「まあ、ねえ……」
「うっ……」
どうやらシュエリア以外の全員に思い当たる節があるようだ。
む、むう。これは俺の甲斐性の問題……だよな。
「すまん、全員一番とは言えない。シュエリアが一番だ。そのくせ皆も幸せにしたくて、一緒に居たくて……いや、そうじゃない。皆で幸せになりたくて、一緒に居て欲しいんだ。だから、その」
俺がそこまで言うと、義姉さんが手を挙げて止めた。
「わかってるよ。さっきのは冗談だから。ごめんねゆう君。ちゃんと、わかってるよ」
「はいっ。私は兄さまに一生付いて行きますっ!」
「ま、まあ。私も、一緒が幸せよ?」
「わたし~もです~」
「皆、ありがとう」
なんてこった、皆素晴らし女性ばかりだ。
「僕にはハーレムがある……こんなにうれしいことはない!」
「おいシュエリア、お前ホント空気読めないな」
「読んだうえでぶっ壊しましたわ」
「さいですか」
「さいですわ」
まったく、この野郎……。ふう。
「それで、結城家クイズは終わりか?」
「そうですわね、そろそろ昼飯にしたいですわ」
「はいよ」
という事でいつも通り俺らのおふざけはご飯の時間と共にいったん終わる。
でも今日の無駄な話は無駄とも言い切れず。皆の愛を感じた、そんな日だった。
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