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娯楽の国とエルフの暇  作者: ヒロミネ
133/266

バレンタインデーですわ

「今日はバレンタインデーですわ!」

 いつも通りシュエリアの部屋でくつろいでいると、ちょっとトイレにと出て行ったシュエリアが戻って来るなり叫んだ。

「確かにそうだったな」

 まあ、本当は今日じゃないが。その辺はもうシュエリアも気にしないのか。

「ブ~バレ~?」

「トモリさん、それ一部の人にしかわからないです」

「あらぁ~」

 何故か「そうで~すか~?」と首をかしげるトモリさんだが、普通知らないと思う。っていうかなんでトモリさんが知ってるんだろう。あのカードゲーム終了したの大分前だけど。

「せめて血バレならわかるんじゃない?」

「いやアシェ、それもそれで一部の人向けだって」

 大半の人はそんなもん知らないと思う。某アニメを見たことあっても血バレの部分を覚えている様なのはファンの方々だけだろう。なんとなくで見てた人なんて覚えてないと思われる。

「それで、バレンタインデーですわ」

「あ、あぁ。そうだな」

 なんか話が逸れまくっていたので軌道修正したシュエリアだが、バレンタインだからどうしたと言うのか。

「そこで、今日はユウキにプレゼントするチョコを用意したから、皆で揃ってユウキに渡して行こうと思いますわ」

「なんでまたそんなことを……」

 こういうのって普通さ、ほら、チョコを上げる行為にドキドキしたりして中々渡せなくて云々、甘酸っぱい恋愛イベントが起きる場所なのでは?

 そう思ったのだが。

「なんで? こういう名目が無いと渡すのちょっと照れるからですわ!!」

「それを何の恥じらいも無く言い切る度胸があるのに?!」

 何かシュエリアの奴がドヤ顔なんだけど、いっそ今の発言の方が恥ずかしくないか?

「それにほら、なんか抜け駆けとかされたら嫌でしょう」

「何のだよ。抜けるとか駆けるとか以前に、お前もう俺の嫁じゃん。そういう意味じゃ既にゴール済みじゃん」

 今更抜ける道も駆ける余裕も無いと思うけどなぁ。

「まだこの機に乗じてユウキを篭絡して不倫、愛人を狙ってる輩が居るかも知れないでしょう!」

「居るかな、そんな奴」

 義姉さんが手を回してその内全員嫁とか言う大分アレな環境を目指しているのに、今更そんなことを?

「特にアイネが!!」

「アイネが??」

 それは一番無いのでは……あの可愛らしいアイネがそんな、まさか。

「そんなこと無いよな、アイネ」

「そうですねっ、この機に乗じる必要もないのでっ!」

「否定している部分おかしくね?」

 今の感じだと、この機に乗じなくても愛人枠を狙っていることにならないか?

「大丈夫ですよ兄さまっ、愛人だって妻になれますっ」

「そう、かも知れないけど……」

「行きつく先は同じですよ兄さまっ」

「論破されてしまった」

「ユウキってたまにアイネに洗脳されてる感ありますわね……」

 なんかシュエリアが心配そうに見てるんだけど、そんなことはないと思う。

 まあ、妹に甘い自覚はあるが。

「そんなことよりシュエリア、チョコはいいわけ?」

「あ、そうですわね。それじゃあ皆でユウキにチョコを贈りますわよ」

 とまあ、そんなわけで俺は皆からチョコを頂けることになったのだが……なんか不安感があるんだよなぁ。チョコ貰うだけなのに。

 俺が何かわからない妙な不安感を覚えつつも待つこと数分、チョコを取り出して来た皆が揃ったところで、チョコを順番に渡す流れになった。

「まずは誰から行きますの?」

「わた~し~から~」

 そう言ってトモリさんはすぅ~っと俺の方に近寄り、あるモノを差し出して来た。

 というか、あの、うん。え?

「トモリさん、これは、あの」

「トリプル~生チョコレ~トフラ〇チ~ノキャラメルソ~スです~」

「は、はあ。はあ……?」

 チョコ、だけど。うん。え? 手作りとかでは無いのか……。

「ありがとうございます……」

「いえ~いえ~自作で~すけど~お口にあ~うか~?」

「えっ、自作!」

 それはビックリだ。トモリさんだからてっきりスタバかと思った。

「しか~し~それだ~け~では~? 迫力不~足か~と~」

「いや、十分かと思いますが」

 これはこれで相当凄い物だと思うんだけど。トモリさん的には足りないのか。

「なの~で~これに~は~特別な~施しが~?」

「へぇ、何ですかそれ」

 サプライズって奴か? このホイップとかに何か入ってるとか、かな。

「飲んで~見ての~お楽し~み~?」

「で、では頂こうかな」

 なんだろう、ちょっとワクワクする。トモリさんだから意外な事してきそうで、このドキドキは悪くない。

「んっ…………うん? 普通に、美味しいですね」

「そう~ですか~」

「ええ、普通に……いや、凄く美味しいんですけど」

 なんだろう、普通だ。美味い。特に不可が無く、かといって予想外も無く、美味い。

「これ、どんな施しが?」

「それ~は~ですね~」

「それは?」

 トモリさんに聞き返すと、トモリさんはしばらくジーっと、あるいはボーっと俺を見つめた後に、告げた。

「間接口~移~し~?」

「…………はい?」

 なんて? 間接……口移し??

「口移し~は一度~口に含~んでか~ら~、別の口に~移し~ますね~?」

「はあ、そう、ですね」

「なの~で~これも~そういう物~です~」

「わあ、この人相変わらずぶっ飛んでんなぁ」

 この人天然発揮すると相変わらずヤベェな。最近あんま無かった気がしたけど。急に凄いの来てビックリしたわ。

「つまりこれ、既にトモリさんが一回口に含み済みですか」

「はい~」

「良い子はマネしないでくださいっ!!」

「はい、ありがとうアイネ」

 このご時世に口移しとは、なんていうチャレンジャー。絶対マネしないでね。

「行儀悪いですわねぇトモリ」

「淫魔~なので~?」

「なら仕方ないですわね」

「それでいいのか淫魔……」

 まあでも、魔王でもあるんだもんなこの人……いつもは、天然以外は常識人なんだけど。

「タネを~明かせば~より美味し~く~?」

「なりますかねぇ……」

 どうかな、なんか今度は別の意味でドキドキしてきたけど。美味しいかどうかは、うーん。

「むぅ。一番手のトモリにとんでもないことしでかされた所為で、なんだかハードル上がっちゃった感じするわね」

「何のハードルが上がったんだよこれで……」

 アシェの奴が何か悔しそうにしてんだけど、なんでこれで。何のハードル上がったんだよ。

 警戒レベルは上がっだけどさ。

「とりあえずこれは他のチョコ貰ってから後で頂こうかな」

「はい~」

 他に貰えると分かってるだけに先に貰ったのを飲み干すのも違う気がしたので、とりあえず、次のチョコを頂こうか。

「じゃあ次は私が行くわ」

「一番不安な奴来たなぁ」

 コイツいつも怪しい薬とか使ってるし、正直一番信用ならない。コイツの作るものはあんまり口にしたくないというのは、ちょっとだけある。

 しかしまあ、善意でくれるものだし変なもんではないだろう、と思いたい。

「はい、どうぞ」

「うん? アシェ、普通のチョコだぞこれ。熱でもあるのか?」

「アンタが私をどう見てるのかなんとなくわかったわ」

 アシェ、何故か怒ってんな。しかしだって、見た目が普通にチョコだぞ。

 シンプルなハート形。食べやすい一口サイズ。ブラックとホワイトがある、凄く普通だ。

「とりあえず、食っていいか?」

「いいわよ。どうぞ」

「じゃあ遠慮なく」

 とりあえず一口、口に放ってみる。

 口の中で広がるチョコの味はなんというか、これはアルコール入りか? なんだかちょっと熱くなるような感覚があるんだが……。

「いや、これ……おかし…………何、なんだ?」

「ふっ、効き目バッチリの様ね」

「何、お前、盛ったのか?」

 この様子、コイツ俺になんか盛りやがったな。

「えぇ、それはもう、強力なのをね。聖人ですら車相手に乱舞する強烈な媚薬よ!!」

「お前外道過ぎるな?!」

 なんつうもん盛ってんだこの阿保エルフ。この後まだあるんだぞ?!

「いやあ、ユウキってほら、皆とシてるけど、全員同時って無いでしょ? だから、たまにはこういうのでブーストして頑張っても良いんじゃないかなぁと思って」

「お前なぁ……それならそうと言え! 後で食うのに! なんで今食っていいって言った?!」

「少しでも早く相手の反応を見たい乙女心?」

「少しでも早く被検者の反応を見たいマッド心では?!」

 コイツ、マジでどうかしてるな……とんでもねぇ奴だ。

「まあまあ、ここにほら、状態異常を回復する薬も用意してるから、ね?」

「これ状態異常なのか?!」

 生理現象を過剰に促進するとかでなく、状態異常なのか。これ。

「一応『性狂化』っていう私オリジナルの状態異常になる薬だしね」

「字面が犯罪臭凄いんだけど!!」

 それ絶対にやらかしてる奴じゃん。

「でもユウキ凄いわね、これ接種して誰も襲わないなんて。アンタちゃんと性欲あるの?」

「あるわ! 今ちょっと横のシュエリアの香りだけで頭オカシクなりそうだからな?!」

「何かしら、好きな男に異性として見られてるのに全然嬉しくないですわね」

「我慢出来てるのが癪なんじゃない?」

「それですわ」

「襲うぞお前?!」

「ユウキ、犯罪ですわ」

「どうしろと!!」

 自分で言ってても相当ひどいのは分るんだけど、いや、どうしろと。

「さ、ほらとっととこれ飲んで治しなさいよ。今からはぁはぁされてても困るわ」

「お前が盛った薬の所為だけどなぁ!」

 とりあえずアシェから貰った薬で体の異常は収まったが……これ、本当に怖くなってきたな。他にどんなのが待ってるのか不安感しかねぇ。

「はぁ……次はどっちだ?」

 後はシュエリアと、アイネだよな。どっちかな。

「では私が行きますねっ」

「お、アイネか」

 アイネは……そういえば何か、凄く大きなクーラーボックスを持ち運んでたけど、大丈夫かな。不安感凄いんだけど。

「私からはこれですっ」

「うん? あれ。あっちの箱は?」

「にゃんっ、アレは後ですっ」

「そ、そうか」

 よくわからないが俺はアイネから受け取った小さ目な箱を見る。

 ハート形の箱に綺麗な包装紙、リボン。可愛いアイネらしいプレゼントだ。

「早速頂こうかな」

「はいっ」

 包装紙を綺麗に剥がして、中のチョコを見る。アイネのイメージなのか白のハート形チョコだった。

「一応聞くけどアイネ、これ、普通のチョコだよな。変な物とか、入ってないよな」

 失礼だとは思うけど、前例が多すぎて不安になった俺の気持ちも、間違ってはいないと思うんだ。

「大丈夫ですよ兄さまっ! 何も入っ…………てないですっ!」

「なんで今目を逸らした?」

 入ってないの所で思いっきり言葉に詰まって目を逸らされたんだけど。絶対何かあるじゃんこれ。

「何入れた?」

「秘密ですっ」

「入れたの否定して欲しかったわ」

「はっ」

 やってしまったと言う表情をしているアイネを見て「あーでも、もういいかな」と思った。

「アシェほど酷くはないだろう。うん、頂きます」

 そう思い口にしたのだが、いやこれがビックリ、凄く普通のチョコだった。

「うん、美味い。何入れたんだ?」

「ちょっとばかり体液を!」

「はーいアウトー」

「にゃっ」

 何してくれてんのこの妹は。

「何故そんなことを」

「姉さまが愛する人にする贈り物はそういう物だって言ってましたっ」

「あの変態の言う事真に受けちゃ駄目だから」

 またあの人か……まったく居ない場所でも迷惑掛けやがって。

「でもでもっ流石に私のだと嫌がるかと思ったのでっ別の人のにしましたっ」

「おう、その気遣いの段階でそもそも入れられるのが嫌っていう事に気付こうか」

 なんでそこで別の人にするかな。って言うかそれもう何したいのか分かんねぇな。

「シュエリアさんなら喜ぶかと思ったのでシュエリアさんから採りましたっ!」

「え、わたくし何採られてんですの?」

 まさかのシュエリアにとばっちり。ひでぇ。

「シュエリアさんの汗を採取しましたっ」

「汗……」

「それも兄さまが好きな脇のラインと太腿周辺から採取したこだわりの逸品ですっ」

「産地から厳選してますのねぇ……」

 アイネの発言を聞くたびにシュエリアが困ったように目頭を押さえる。

 でもそうなると、え、俺そんな、え。食ったのそれ。

「アイネ。食べ物にそういう事しちゃいけないよ」

「何でですか? 動物の血肉を使った料理はあるのに人の汗は駄目なんですかっ?」

「うん、すげぇ答えにくい切り返ししてきたな。でも敢えて言うけど美味しくする為にする行為じゃないから駄目かな」

「美味しくない装飾をする料理もありますがっ」

「……ほら、食文化に合わないからさ」

「個人の趣向に合わない料理はあってはいけませんかっ?」

「…………ヤバイ、論破されそうなんですが。シュエリアさんヘルプ」

「ちょ、面倒な話題振るんじゃねぇですわ」

 いやこれ、なんて言ったらいい? 倫理観の問題?

「こう、うん。わかった。そういう物を作ることは否定しない。でも食べる相手の気持ちも考えて作らないと駄目だ。それで俺が食わなかったら、このチョコはどうなる?」

「シュエリアさんが責任もって処理しますっ」

「わたくし?!」

 またもやとばっちりのシュエリア。しかしまあ、アイネが食うものな……。

「でもシュエリアはそれを処理するのは嫌だと思うぞ? 結果的にアイネはこのチョコを粗末にしたことにならないか?」

「うっ……確かにそれは良くないですっ」

「だろ。だからこういうのは止めような」

「はいっ」

「ふぅ……」

 何とかなった。はぁ、なんだこれ、しんどかった。

「それで……後はシュエリアか?」

「そうですわね……でもその前に、アイネ。あのデカいのは何だったんですの?」

「あっ、忘れてました!」

 そう言うとアイネはデカい箱。恐らくクーラーボックスに近寄るとそれを近場に運んできた。

「兄さまに、姉さまからのチョコですっ」

「え、あぁ、そうなのか」

 これ義姉さんからだったのか。そうかそうか……。

「よし、これは後日にしてシュエリアのを先に貰おうかな」

 なんか猛烈に嫌な予感がしたので、後回しにしようと思ったのだが、その瞬間、ちょっとだけだが、箱が動いた気がした。

「……嫌な予感しかしないんだが。アイネ。これ何が入ってるか知ってるか?」

「チョコですねっ」

「……そうか」

 チョコか、そうか……そうかぁ。

「はぁ。開けるか」

「開けるんですのねぇ」

「いや、だって、動いてるし……」

 こんな怪しい物、放置する方が危険な気がする。

「さて、開けるぞ」

 俺はゆっくり箱に手を掛けて、蓋を開けた。

 すると中から出た来たのは……なんだこれ。

「義姉さんの見た目をした、チョコか」

 つまりこれはあれだ。シュエリアやトモリさんがやってたような「つい食べたくなるチョコ」的な奴だ。

「なるほど。うん。なんで動いた?」

「知らねぇですわ」

 チョコって動くかなぁ。

「チョコっとなら動くんじゃない? チョコだけに」

「なるほど、アシェお前天才だな」

「でしょう」

「ツッコミ放棄するんじゃねぇですわ」

 シュエリアに怒られてしまったが。もうなんかさ、だってこれ、えぇ。めんどくさい。

「とりあえず、食うか……?」

 調べるつもりという訳ではないにしても、まあ、放置するよりはいいかもしれないし。

「さて、いただきま……ん?」

 なんだろう、このチョコ、鼻の部分。そこだけチョコが……うん??

「……おい、義姉さん、何してやがる」

「…………」

「よし閉めるか」

「ちょお!? 流石にこれ以上はしんどいよ?!」

 俺が蓋を締めようとすると、チョコから女性の声がした。

 というか、義姉さんだった。

「何してんだ義姉さん」

「話せば頭痛くなるんだけど、良い?」

「頭痛がする話の自覚あるのかよ。続けて」

「聞くんですのね……」

 話聞かないとわけわからないしな、仕方ないだろう。

「エロの分野にはいろいろな属性、癖があるよね」

「あるな、しかしなぜ今その話?」

「これはね、石化とか、女体盛りとかから着想を得た、チョコ化風女体盛りなんだよ!!」

「うん、胃が痛くなってきた」

「胃に来ちゃったかぁ。あはははは」

「笑うな」

 この義姉、相変わらず頭イカれてんな。

「じゃあこのクーラーボックスは?」

「チョコ化しようにも普通だと体温で溶けちゃうから常に冷やしてないと最高の状態でいただけないでしょ?」

「はあ」

「これなら外はチョコ感あってカリッとパリッとな食感で口の中で溶ける。そして中には柔らかいお姉ちゃんの体で二度美味しい!!」

「頭のネジ何処の溶鉱炉にぶち込んできたんだアンタ」

 もう二度と戻らないかもな。この変態。

「それさ、寒くないのか?」

「寒いよ?」

「もう出ろよ……」

「だ・し・てっ♡」

「一緒そこにいろ」

「ぎゃーっ待って閉めないでっ!! 本当に死んじゃうって!!」

 俺が閉めようとすると、必死に止めて来るねぇさん。しかし、チョコが溶けないのか、まともに動けないようで出ようとはしない。

「はぁー。で、どうすんだこれ」

「食べてくれると嬉しいけど?」

「嫌だと言ったら?」

「せめて溶かして欲しいなぁ……」

「はぁ。シュエリア、この阿保のチョコ溶かして、なんかボウルにでも移してくれないか?」

「そうですわね。部屋がシオンチョコで汚れるのも困るし、いいですわよ」

 そんなわけで、義姉さんチョコはシュエリアに熱魔法で溶かされた後一滴も零れることなく魔法でボウルに移し替えられた。

「食べ物で遊ぶな」

「うぅ、本気だもん。遊んでないもん。お姉ちゃんやると言ったらやる女だもん」

「知ってるけど。本気なだけ質悪いな」

 下らない遊びでクッソ冷たいクーラーボックスに入り続けたりはしないのは分る。とは言えこういうのはアイネの教育によろしくない。

「アイネに変な事吹き込むのもやめろ」

「あぁ、アイちゃんのアレ? でもあれはそもそもアイちゃんが愛……」

「にゃーっ!! 次はシュエリアさんの番ではっ?!」

「え? お、おぉ。そうだな?」

 なんか今、凄い露骨に話を逸らした気がするけど、まあアイネにも知られたくない事とかあるよな、うん。

「ということで真打シュエリアの登場ってことだけど」

「ハードル上げてきますわねぇ。まだ低すぎるくらいだけれど」

「真打で低すぎるってお前何者だよ」

「世界ですわ」

「ザ・ワールドだった」

 しかしそこまで上げて、一体何する気なんだ。

「それで、その世界を冠するお前のチョコとは?」

「これですわ」

 そう言って差し出されたのは、一見は普通のチョコ。

 いや、見た目の特徴としては花の形をした大変お洒落な物なのだが。

「食べるの少し勿体ない程度には造詣が凝ってるな」

「でも以前の物ほどではないでしょう?」

「まあ、そうだな」

 これくらいなら気後れせずに食べられるってもんだな。

「じゃ、頂きます……」

 とりあえず一気に丸かじり出来る形でもないので、花びらでも頂いておくか。

「うん、美味い。すげぇ美味い。ティラミス風か? 俺好みだなぁ」

「でしょう。ふふんっ」

 これはスゴイ。なんて言うか、まったくボケ無く、凄く俺好みで美味しい。

「これオチつかないな?」

「わたくしをオチに使おうとしてたんですの……?」

「いや、お前ボケるのとか楽しいの好きだろ。するかなぁと思ってた」

「しないですわよ」

「さいですか」

「さいですわ」

 ふむ。そうか。……うん。美味い。

「ふーん。シュエリアは結構ストレートに愛情表現したわねぇ」

「ん? まあ、美味いよこれ。ストレートに」

「そういう意味じゃないんだけどね」

「うん?」

 なんかアシェが含みがある感じなんだが。なんだろう。

「どういう意味なんだよ」

「さあ。シュエリアに聴いたら?」

「シュエリア」

「何でも無いですわよ」

「そうなのか?」

「そうですわ」

 ふむ。まあ、シュエリアが教えてくれないなら、仕方ないか?

 まあそれにしても、うん。美味かったな。

 どれもチョコは美味しかった。内容とか、色々問題あるモノもあったが……。

 それでも好意から贈られた物だったので後でこれらは完食したのだが、アシェから貰ったチョコの影響はかなりのモノで、この後無茶苦茶…………後悔した。


ご読了ありがとうございました!

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次回更新は18:00を予定しております。

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