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娯楽の国とエルフの暇  作者: ヒロミネ
130/266

伏せますわ

下ネタ要素含みます(苦手な方には毎度申し訳ございません)

「ひ~ま~で~す~わ~」

「なんで仮面ラ〇ダーアマ〇ン風なんだ」

 いつも通りの休日に、いつもと同じくソファでシュエリアとダラダラしていると、突然立ち上がったシュエリアが物まねし始めた。

「よくわかりましたわね。トモリと間違えると踏んでやったのに、残念ですわ」

「トモリさんの伸びとは違ったからなぁ」

 トモリさんだったら多分「ひ~まです~わ~」とかじゃないかな。

「何かするか?」

「そうですわね。何か……あ」

 シュエリアは何かを思いついたのか、手をポンと打った。

「伏せられている物って、気になりますわよね」

「うん? 伏せられてる物……罠カードか?」

「遊〇王じゃねぇですわ。マスター配信に合わせたネタで媚び売ってんですの?」

「お前が振って来たんだけどなぁ……」

 ていうか誰に媚び売れるんだよこのネタで。

「じゃあなんだよ、伏せられてるものって。伏線か?」

「この作品に一番縁遠いモノですわねぇ。そうじゃなくてピーですわ」

「伏字か……」

 気になるか……? 知らなかったら、気にするかもしれないけど。

「そこで、伏字クイズをしますわ」

「お? おう」

 気になる、ならないではなく、クイズなのか。

「皆は呼ぶか?」

「トモリとアイネはスタバですわよ」

「じゃあアシェだけ呼ぶか」

「ユウキってなんだかんだアシェ好きですわね」

「そんなことも無いが」

「その否定の仕方アシェが泣きますわよ……」

 なんだかんだ好きってことも無いと思う。なんだかんだ無く好きだし。

 一緒に居て楽しい美少女とか、そんなの好きにならん奴が居るだろうか?

「で、連れて来たが」

「来ちゃった」

「アシェも暇ですわねぇ」

「暇して呼んでるアンタに言われるのなんか癪なんだけど」

 何となくボケたのにスルーされたアシェがシュエリアにジト目で返す。

「それでは早速、伏字クイズですわ」

「はいはい。何かしら」

 ここに呼ぶ段階で説明はしておいたので、シュエリアの進行に合わせて相槌を打ちながら俺の右隣に腰掛けるアシェ。

 シュエリアの横か対岸に座ればいいのに、この横並びでやる気かコイツ。

 ……いや、まあアシェが俺の隣に座る機会ってあんま無いし、本人俺の腕ガッチリホールドして離れる気無さそうだから、もういいけどさ。

「第一問。ちく〇。伏せられている字は何ですの?」

 なるほど、こういう問題かぁ。

 何って言われても……なぁ。

「乳首でしょ」

「おまっ――」

 アシェが平然と答えているのを見て、ちょっと狼狽えてしまった。

 コイツはこういうの平気なのは知ってたが、いや、まさか真顔で言うか……。

「正解はちくわですわよ? アシェは阿保なんですの?」

 そう言ってニヤニヤ笑うシュエリアを見て、ようやくアシェは引っかかられたのに気づいたようだ。

「ズルいわ! これ私がちくわって言ったら乳首って言う気だったでしょ?!」

「言わないですわよ。筑摩って言う気でしたわ」

「どっちにしろズルくない?!」

 確かにズルい。特に自分だけは絶対「乳首」とは口にしない辺りが。

「さ、次行きますわよ?」

「むぅう! 絶対当てる!」

「お前またひっかけられるぞ……」

 コイツ自分が引っかかる、イジラレる側だって自覚ないんだろうか。

「問題。チ〇コ。これは何ですの?」

「チン〇よ!!」

「なんでアシェは絶対そっち行くんですの……?」

 シュエリアが残念な奴を見る目で見ていたが、うん、俺も思った。

 なんでコイツ自分からそっち行くんだ。普通にチョコとか言っとけば痛い目見ないのに。

「正解は?」

「チョコですわ」

「それじゃあチェコでもいいじゃない! チン〇って言った私が馬鹿みたいでしょ!!」

「えぇ……? そ、そうですわね?」

「いや、思いっきりブーメランだよこれ」

 そう思うなら最初からチェコと言えばいいのに。なんでチン〇に行っちゃうのか。

「親の教育の所為でこんな言葉ばっかり口についてしまうのね……」

「もはや性格からそう育ってるからな……」

 いっそ羞恥心無くそういうの言えるの、凄いけど。

「次、いいですの?」

「こいや!!」

「嵌められてる側がめっちゃ乗り気」

 なんでコイツこんなイキイキしてんの。

「問題。〇んこ。なんですの??」

「ち〇こ!!」

「なんでさっきの今でその答え即答できるんですの……」

「コイツもう下発言したいだけだろ」

 イキイキしてんのもそれじゃないかと思えて来た。コイツさっきは育ちがどうのって憂いて、なんかちょっと悲しげな顔してたけど、もう、全然だよ。見る影もない。

「正解は? まさかう〇こ?!」

「なんでそうガツガツ嵌っていくんですの? 阿保なんですの?」

「違うの?!」

「あんこですわよ……」

「ズルい! 絶対変えたでしょ!」

「いっそ元からですわよ……」

 コイツ相手に答え変える必要ないもんな……最初から普通の答え握っとけば勝手に下に突っ込むんだから。

「あっ、むしろま〇こ!」

「ちょ、アシェ? わたくしのキャパ超えて暴走すんじゃねぇですわ?」

 答え言ったのに更に突っ込んで来るとか、コイツもう下ネタ特攻したいだけだ。

 何故か超いい笑顔だし。

「さあ、次の問題は何かしら!」

「えぇ……? 出すんですの?」

「早く出して!」

「なんかもうアシェが言うと全部下ネタに聞こえてきますわ……」

「わかる」

 もう駄目なコイツ。久しぶりにアシェのターンが来た感じするが、コイツはきっと自分のターン来ない方が良い奴だ。

「じゃあ……問題。マン〇。これは何ですの」

「マ〇毛!」

「ねぇユウキ、わたくしもう帰りたいですわ」

「ステイホーム」

「伏せるはステイじゃないわよ?」

「急に素に戻んなよ」

 勘違いボケをしてみたんだが、まさかアシェにツッコまれるとは思わなかったな。

「で、結局何? マ〇筋? それともマ〇コ?」

「ちょっとそこの暴走列車止まりやがれですわ。マントですわよ」

「何でさっきから下の単語じゃないのよっ!」

「なんで下じゃないと怒られるんですの……」

 アシェ絶好調だな。最低過ぎる。

「じゃあ……あ、これでいいですわ。ドラゴ〇カーセ〇クス」

「ドラセク!」

「正解ですわ」

「やった! ようやく下で正解したわ!!」

「嬉しそうで何よりですわ……」

 なんかシュエリアが疲れた顔してるな。無理もないが。

 てか略称とかあったんだな。何で知ってんだろう。

「伏せるっていいわよね……想像が掻き立てられて」

「アシェの場合想像以外の何かが掻き立てられてた感じだけどな」

 主に三大欲求の一部とか。

 そう思っていると、シュエリアも同じことを考えたようで。

「アシェ、不満なんですの?」

「そう言われると、そうかも?」

 なんか妙な話になって居た。

「……ふむ。アシェ、そこでうつ『伏せ』になって欲しいですわ」

「え? 何。問題終わり?」

「ですわ。ほれはよ」

「わ、わかったわよ」

 シュエリアに急かされ、アシェは部屋の広めなスペースにうつ伏せになった。

「で、ユウキ、こっちに来てアシェに覆いかぶさるようにして」

「え? おう……」

 続いて俺はシュエリアに言われるまま、覆いかぶさるようにしたのだが。

「違いますわ、足はこう、そう、手は肩幅で。いいですわ」

「いや、これ……」

 思いきり腕立て伏せの恰好なんですが。脚は軽く開いてるから、ちょっと違うけど。

「伏せる話、そしてドラセクという奇抜な癖。この二つを融合した新しい伏せ。その名も『腕立て伏せックス』ですわ」

「お前まで行ってしまうのか」

 コイツまで下の方行ったら、俺はどうすればいいのか。

「良いわねこれ、気に入ったわ」

「気に入っちゃったよ」

 まだ何もしてないのに。型だけで気に入っちゃったよ。

「どうすんだこれ」

「こうなったら、やるしかないですわ」

「なんかちょっと芝居ががった言い方すんのやめろ。やんねぇから」

 何でこんな展開でおっぱじめなきゃならんのか。阿保かって。

「え、しないの……?」

「したいの?!」

 本当に気に入ってんのかコイツ。マジか?

「大丈夫よユウキ。これは浮気じゃない。筋トレよ」

「どっちもしたくないんだけど」

「ユウキには私の夫でもあるんだから、その筋肉を維持する責任あると思うわ」

「どっちも無いよ」

「夫でも無いし責任も無いと」

「事実まだ結婚して無いだろ」

「確かに」

 義姉さんの努力次第だな。ぶっちゃけ書類上の関係が変わるだけで、他なんも変わらないのだけど。

「まだってことはその気はあるのね」

「無くてこの生活なら俺結構最低だぞ……」

「まあそうですわね」

 いや、まあ正直複数人好きな段階で、アレだけど。

「で、しないの?」

「しないよ。どうしてもって言うなら、夜、然るべき場所で」

「言質取ったわよ」

「マジでやる気かぁ……頑張ろう……」

「ユウキもユウキで諦め早いですわねぇ」

 って言われてもな。自分で言っちゃったしな。

 どうしても嫌かと言われれば、別に嫌でもない。

「で、この変な体位は置いておくとして、他になんかあるか?」

「うん? そうですわねぇ……無いですわね」

「下の話しかしてねぇのに……」

 今回下ネタしか言ってないのに、終わってしまうのか。

「そうですわね。じゃあ、下じゃない伏せの話でもしますわ」

「下じゃないって言うと?」

「例えばミ〇キーマ〇スとか言う伏せられるキャラ代表みたいな奴居るでしょう?」

「そんな微妙な役どころの代表になったことは無いと思うぞ」

「でも明らかに伏字にしてもバレバレなのとかありますわよね?」

「そうだな。ドラ〇もんとか」

「もっとバレバレなのだと〇を使ってる奴とかですわ」

「○○ライザーとかか?」

「ООですものねぇほぼ伏せてないようなものですわ」

「1〇9とかでしょ?」

「それもうまんまですわよ」

 確かにまあ、そう言うのもあるけど……。

「でもこれ文章だからだろ。アニメとかでピー音だと分からないと思うぞ」

「ですわね? でもピー音でも伏せてない様なのありますわよ」

「例えば?」

「ピーター〇ンとか」

「今文章に配慮して他の部分伏せたな」

「ですわ。流石にこれピー音だからって通らないですわよ」

 しかし、伏せると言うと〇のイメージだったが、そうか、音とかもそうならアレもか。

「モザイクとかも、一種の伏せだよな」

「ですわね? でもモザイク云々はここでは取り扱い兼ねますわね」

「そうか?」

「えぇ、だって文章だから、モザイクとかここで出しても、わからないですわ」

「確かにそうだな」

 世の中何かを伏せる為に色々な手法があるもんだ。

「そういう意味では、遠まわしな言い方とかもある意味伏せていることになるのかしら」

「言えない話は伏せて話すとか、そうですわね」

「私そう言うのは母様が話してるのしょっちゅう聞いてたわ」

「お前のその辺の話は一生伏せとけ」

 コイツの母親は結構な悪だったようなので、知らない方が幸せな話な気がする。

「そう? 結構スリリングで楽しいわよ?」

「どんな話があるんですの?」

「聞くのかよ」

「国を転覆させる為にシュエリアを国から排除するって話を私に伏せとけって言うのを訊いた時はちょっとわくわくしたわね」

「あん?」

 なんか今、すげぇ話したなコイツ。なんでその話をシュエリアに伏せなかったのか。

「どういう事ですの?」

「だから、シュエリアが居たからあの国って他の勢力が手を出せなかったでしょ、そんで、エルゼリアさんと仲悪かったうちの母様が嫌がらせしようとしてシュエリアを追い出す作戦立ててたのよ。まあ、私がチクったから実際は早期解決したけど」

「チクったって、誰にですの」

「エルゼリアさんによ。だからほら、リセリア迎えに来たでしょ、多分」

「……そんなことありましたわね」

 そう言えば、シュエリアを迎えに来たんだったかあの子。うん? しかし、どういうことだ。

「シュエリアがこの世界に来るのに使った本、覚えてる?」

「覚えてるけど、何でアシェが知ってんですの」

「アレ用意して書庫に放り込んだのうちの母様だもの。アンタが喜んで食いつきそうだからって」

「なっ」

 うん? シュエリアがこっちに来るときに使った本? よくわからんが、アシエルさんが絡んでるのか。

「私としてはまあ、本を回収しても良かったんだけど、母様の目的は別としてもシュエリアこういうの好きかなと思ったから本の方は手を出さずに、危険だけはエルゼリアさんに報告しといたのよ」

「……アシェ、なんかちょっといい奴ですわね?」

「でしょう」

 なんか胸張ってるけど、シュエリアはこれ、良い奴判定でいいのか。

「でも、アシエルさんの所為で、エルフ達は国を捨てて、こっちに来たんだよな?」

「そうね。でも私、別に他のエルフどうでもよかったし。シュエリアなら何とかするだろうし、それなら面白そうな方がいいでしょ」

「お前も大概シュエリア側だな……」

 しかしこれ、シュエリア的にはどうなんだろう、許せるんだろうか、アシエルさんを。

「ちなみにシュエリア、怒ってる?」

「怒ってないですわよ? なんで怒るんですの」

「いや、私の母様が迷惑かけたのは事実じゃない? 怒るかなって」

「アシェがフォローしてくれたから犠牲者もいない、更にわたくしはこっちにこれて楽しいし、幸せで、他のエルフも皆もとより良い生活してるんだから、問題無いですわ」

「そ、よかった。いやーつい伏せてた話って流れで打ち明けちゃったけど、結構スリリングだったわね。シュエリアがキレたら母様もろとも死んでただろうし」

「下ネタの連発からこんなヤベェ話になるとは誰も思わなかっただろうな……」

 てかアシエルさんマジ怖いな。あの人今でもそういう事してんのかな。

「ちなみに母様はもうそういう事して無いわよ。大丈夫」

「そうなのか?」

「えぇ、今度やったら私シュエリア側に付くって言ったから。それは嫌なんだって」

「あぁ……」

 そういやあの人は娘に甘かったな……。

「まあなんだかんだアシエルさんのおかげでシュエリアと出会えたんだと思うと、良かったのかもな、これで」

「ですわね」

「もうちょっと私の事褒めてもいいのよ?」

「アシェ、ナイス」

「大義ですわ」

「なんでシュエリアは上からなのよ……」

 しかしまあ、なんて言うか、アシェも結構大変なんだな……。

 もしかしたらもっと、人には言えない秘密とかも伏せて……抱えてるのかもしれない。

「アシェ、何かあっても一人で抱え込んだりするなよ」

「え、何? 気持ち悪いんだけど」

「お前ホントそういうとこだよ」

 これだから心配甲斐ないって言うか、なんていうか。

「わかってるわよ。でも、ユウキに迷惑かけるくらいなら先にシュエリア頼るわよ」

「順当過ぎて文句のつけようねぇな」

 俺じゃまず力になれないことの方が多いだけに、悔しいが文句なしだ。

「先にシオンにして欲しいですわ。わたくしこう見えて忙しいから」

「暇そうに見えるのに」

「馬鹿ですわねぇアシェ。暇してるをしてるんですわ。つまり忙しいですわ」

「どこのプーよアンタ……」

 何もしてないをしてるって奴だな。うん。

「ま、どうしてもって言うなら、暇を作ってあげてもいいですわ」

「暇をしてるのに」

「暇をしてるからですわ」

 なんだか、何言ってんだかわかんなくなってきたな、コイツ等。

「さて、それじゃあそろそろこの話も切り上げて――んーっ」

 シュエリアは言いながら立ち上がると、伸びをしてから言った。

「お昼ですわ!」

「あー、はいはい」

 そう言えばもうそんな時間かと思い、俺は席を立った。

「何が良い?」

「せっかくだから何か伏せ……隠し味とか入れた何かが面白くて良いですわ」

「じゃあいつも通りのビーフシチューになんか入れるかぁ」

「えっ! いつも通りが美味しいですわ?!」

「面白いより美味しいが勝ったか……」

 コイツがこっちの世界にきて一番良かったのって、楽しいより美味しいなのでは……。

「私はユウキの手作りで、ユウキと食べられればそれで十分よ」

「ちょ、アシェ何いい子ちゃんぶってんですの。あ、でも、そういえばアシェってユウキが居ないで一人飯する時ユウキの写真見ながら……」

「ちょっ! 何言い出すのよ! アンタね、良いわよ私だって知ってるんだから! アンタが一人の時アイネみたいにゴロゴロにゃーにゃー言いながらユウキの――」

「ちょああああああ?! 何言い出してんですのこのクソエルフは!」

「アンタこそなに人の秘密バラしてんのよ!!」

「はぁ……」

 この阿保エルフ二人、この調子で厨房まで付いてくる気だろうか……。

 まったく、そういう変な話はぜひ、伏せといて欲しかったものだ。

 そんなことを考えもしたが、何だかんだ阿保なエルフ二人と過ごす時間はいつも通りで悪くない、そう思った。


ご読了ありがとうございました!

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次回更新は来週金曜日18:00を予定しております。

1月29日に誤字脱字と文章の一部を修正しました。

話繋がらないくらい文章間違えてましたすみません……

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