台無しですわ!
「台無しですわよ!!」
「おおぅ?!」
いつも通りシュエリアの部屋でだらだらしながら遊んでいると、珍しく昼寝してたシュエリアが俺の膝から上半身を上げながらかち上げて来た。
「おまっ……何しやがる」
「は? 何がですの?」
コイツ、起き上がり掛けに俺の顎攫ってったの気づいてねぇな。
「そんなことより、ユウキなんてことしやがるんですの」
「いや、何が……」
どうせコイツ夢の話してんだろうなぁと思いながらも一応聞いておく。
「せっかくいい雰囲気だったのに、ベッドイン直前で『俺しょんべん行ってくっぞ』ってなんですの?! せめて飲〇くらいさせて見せろですわ!」
「お前何口走ってんの?!」
なんて恐ろしいことを言いやがるコイツ。
おかげで今の会話聞いてたアシェからは汚物を見る目を向けられてアイネからは悲しそうな顔されてる。俺の所為じゃないのに。
「大体俺そんな口調じゃないだろ」
「そういう問題じゃねぇですわ!」
「えぇ……?」
何か大変憤っているシュエリアだが、むしろ夢の中でのことを攻められる俺って一体なんなんだ。
「ホントに台無しですわ」
「ま、まあ。確かにそれは台無しなんだが、夢の話だろ?」
現実で俺に言われてもどうしようもないだろうこれ。
「でも兄さまってちょっとそういうところありますよねっ」
「え?」
「そうね、なんて言うか、締まらないっていうか、決まらないっていうか」
「え、え?」
おや? 俺ってそんなんなの? 皆そう思ってる感じかな?
「締まるの~は~女性の~方かと~?」
「トモリさん、ややこしくなるからここでド天然下ネタ挟まないでください」
「そうだよトモちゃん、男の子だって違う穴が……」
「黙れ」
「お姉ちゃんに対してだけ厳しくない……?」
この阿保姉は少しくらい厳しくないと際限なく阿保な事言いそうだから仕方ない。
いや、厳しくすると喜ぶのか? この人ちょっとアレだし。
「まあユウキって変わってるからしゃあないですわ」
「お前がそれ言う?」
この中で一番奇天烈な奴に言われると釈然としないものがあるが思いの外、他の連中はシュエリアの言葉に同意した。
いやしかし、アイネも同じような意見だしなぁ……俺ってそんな締まらないか?
「膝枕から告るし」
「親に会いに来て脱ぐし」
「肝心な時に妹扱いですしっ」
「エ〇ゲでしか姉萌えじゃないし!」
「私にだけ敬語ですし」
「ぐはっ」
思ったより全員から真っ当な理由で攻撃されてダメージを受けてしまった。
なんか一人阿保な事言ってた義姉が居たがそれはまあいいや。
「でもほら、膝枕で告る奴って意外とほら、居るだろ」
「確かにどっかの作品には居ましたわねそういうキャラも、ユウキみたいに真顔とかじゃなかったけれど」
「う……」
膝枕プラス真顔は締まらないか。
「ぬ、脱いだのだってほら、虚をつくって言うかさ、ほら、必要に応じてって言うか……」
「別に他にやり方あったと思うわよ? まあ助かったのは事実だけど、ヒロイン視点から見たら白馬の王子様ならぬ半裸の王子様よ?」
「……うん……なんかごめん」
そう言われたらその通りだし、なんなら半裸の王子さまは割と本当に申し訳ない気もする。
いやでもコイツあの時喜んでなかったか? 俺の体見て。
「そ、それにほら、アイネは俺の可愛い妹だし」
「でも女の子として見て欲しいですっ」
「でも妹扱いもされたいだろ?」
「もちろんですっ」
「だよなぁ……」
これはこれで流石に難しくないか。どうしろと。
「まあそこの匙加減を上手くやれないから駄目なんだけどね」
「アシェの癖にまともな事言いやがって……」
これはマズイ、こうやって話していくとどんどん俺が甲斐性なしに思えて来た。
「大体エ〇ゲではアレだけ姉萌えに偏っててその上若干お姉ちゃん似のキャラばっかり攻略してるのに現実じゃ全然ってどういう……」
「ルックスだけは非現実的な美しさの義姉さんの『見た目』は好きだよ」
「そういうとこじゃないかなぁ?! そゆとこがゆう君の悪いとこだよ!!」
「えぇ」
それ言い出したら義姉さんも二次元並みに魅力的な性格設定の義姉になって欲しいんだが。
「大体お姉ちゃんのこれはゆう君の好みに寄せた性格なのに……」
「うっ……」
そういえば、そんなこともあったな……。
俺があんまり適当にこういう女性が好きみたいなことを言ってたからそれに合わせたんだっけこの人……。
「そう考えると生涯ゆう君一筋で、大好きなゆう君の為に自分を変える努力を続けてきてるお姉ちゃんって結構いじらしくない?」
「……まあ」
「可愛くない?」
「可愛いけども……」
でもなぁ、正直義姉さん相手は色々なところがあんまり上手く行かないんだよなぁ。
「まあまあ、ユウキのこれはシオンの事好き過ぎて上手く感情を処理出来てないだけですわ」
「お前そういう身も蓋も無く人の感情を伝えるの止めてくれねぇかなぁ!」
正直義姉さんの事は……まあ、大好きだが……気恥ずかしさ、認めるのがなんか癪、そのほか色々あってただただ好きとは行かないのだ。
多分理想が先に行きすぎてるのと義姉さんなら俺の理想を叶えてくれるなんていう身勝手な考えがこういう所に出ているんだろう……あれ、俺相当最低では。
「まあ、そうだよね、なんかそんな感じだよね……仕方ないなぁツンデレさーんっ」
「なんか負けた気がして嫌なんだよなぁ……」
義姉さんに対しては惚れたら負けみたいな対抗心もある気がする。
とは言えまあ、義姉さんもこれに関しては実の所そんなに否定的ではなさそうだ。
むしろ問題は最後だろう。
「そして私にはいつも敬語なんですよね」
「す、すみません……」
いつも一緒に居て、ピンチな時は大抵助けてくれる頼れる魔王様。
その風格とお姉さんオーラ(あと魔王圧)からついつい敬語になってしまうのだが、本人は結構気にしている様だ。
何しろ自分のターンに合わせてスイッチ入れてるくらいだから、よほど言いたいことがあるのだろう。
「この際だからハッキリ言いますけれど、これだけ寝食を共にして、男女の関係でもあるのに敬語なのはよそよそしさを感じてます。とても悲しいです」
「で、でもほら、トモリさんも敬語じゃないですか……?」
「私は皆さんにそうですから」
「た、確かに……」
トモリさんにだけ敬語なのは、おかしいな。
「なら……トモリ」
「ふへへへ」
「待て待て待て」
なんか急に相好を崩し始めたぞこの魔王。
「一体何が」
「いえ、その。急に呼び捨てにされたらなんだか嬉しくなってしまって。でも同時に何かこう、ジリジリと怒りが」
「えぇ?!」
なんか怒られるようなことしたかな俺。
「よく考えるとM男のゆっ君に呼び捨てにされると違う気がしますね。いっそのことトモリ様の方がしっくり来るんじゃないかと思うんです」
そう言って俺をジッと見るトモリさん。
……やれと?
「ふぅ…………トモリ様」
「あぁっ! いいです。とても興奮します」
「待て待て待て!」
思いっきり身悶えしながら生き荒くしてんぞ、この淫魔。身の危険すら感じる。
っていうかトモリさんってそういう趣味だったのか? ……いや、それっぽい気はなんとなくしてたけども。
「なんかこれ違くないですか?!」
「まあ、確かにそうですね? でもやっぱり呼び捨ては違う気がしたので、今まで通りでいいです」
「そ、そうですか……」
結局のところ、今まで通りか。
というかこの人は見た目はおっとりお姉さんだが種族は淫魔で、職業は元魔王、いわば女王様だ。なるほど、うん。そういう趣味の人なんだな、やっぱり。知ってた。
「それで、台無しって言うのは、俺の主人公補正の話だったと思うけど、そんな話がしたかったのか? シュエリア」
「うん?」
自分のターンが終わって以降、ずっとポテチをパリパリやってる嫁に語り掛けると、思ったより興味なさげだった。
「実際のとこその辺はどうでもいいですわ。夢と現実は違うようなこと言い出すから、夢に出るくらいには現実も大概だって話をしただけですわ」
「お、おぅ……」
正直最初は夢だからだと思ってたけど、今までの話を聞いてからだとちょっとだけ、そんな夢を見たのに俺側の問題もある気はしていた。
「本題はそう、なんか台無しだなーって話をしたい、ですわ」
「ほう」
それはきっとそういうボケをかましたいって話なんだろうけど、例えばどういったことだろうか。
「例えばそうですわね、良いセリフっぽいことを言いつつも、実はそんなにいいセリフじゃない、とか」
「ふむ?」
流石にそれだけ聞いても分からんな。イメージがつかめない。
「例えばこうですわ。ここは俺に任せて先に行け。ですわ」
「ふむ。それがいいセリフじゃないパターンっていうと」
なんだろう、余りいいイメージが浮かばない。
「モン〇ンのキャンプ待機とかですわ」
「確かにロクでもない」
「席取りはしとくからパン買って来いよ、ですわ」
「それもう台詞から違うけども、なるほど」
まあそういう意味での『先に行け』は確かに酷いが……。
「台無しってのとは違くないか? ほら、台無しってのはさ、前提条件がいいからこそだろ?」
「……そうですわね?」
そう言うと、シュエリアはウンウン唸り始めたが、そこでアシェが手を上げた。
「私から、いいかしら」
「おお、なんだ」
アシェはあれで育ちはあんまりよろしくない。もしかしたら結構酷い案を考えさせたらこの中イチかも知れない。
「シュエリア、夜景の見えるビルを用意して」
「うん? まあ、いいですわよ」
シュエリアが魔法を使ってなんだかすごく美しい夜景の見える高層ビルのレストランみたいな場所を作り出した。
周りには人が俺たち以外居ないから、そういう設定の空間を作ったんだろうなぁ。
こいつの魔法はホントに凄い。無駄遣い感も凄いが。
「見てユウキ」
「ん?」
アシェが指す方を見ると、眼下には中々の絶景、美しい夜景だ。
「百万ドルの夜勤よ」
「言い方よ」
しかしなるほど、これが言いたかったんだろう。
確かに台無しだ。
「分かったわ。百万ドルの残業よ」
「なお悪いわ!」
彼らの尊い残業によって百万ドル、それ以上の価値が生まれるんだな……なんてロマンの欠片もない言葉だろう。
「アシェの癖にやりますわねぇ」
「ロクでもないこと考えさせたら私も結構なもんでしょ」
「言ってて悲しくならないかそれ」
とりあえずやることやったから魔法が解除されて元の部屋に戻った。
「こんな感じで他に無いんですの?」
「では~私~が~」
「あら、トモリ、いいですわよ」
さて、こちらもこちらで善良ではあっても仮にも淫魔で魔王。何を言い出すか分かったもんじゃない。
「では~ちょっと~失礼~」
そう言ってトモリさんは立ち上がると、シュエリアの手を引いて歩き出した。そしてちょっと広めな窓際に立つと、シュエリアに手を添えて、まるで商品紹介でもするような絵面になった。
「美人が~台無し~」
「「「「…………」」」」
トモリさんの余りにもきわどい冗談にシュエリア以外が絶句した。
笑ったら殺される。絶対。
「はっ……ハハハ! 面白い冗談ですわねトモリ」
「え~?」
「あん?」
冗談だと言って笑ったシュエリアに、冗談じゃないと言わんばかりのトモリさん。そしてそれを見て半ギレのシュエリア。
や、ヤバイ。
「待て待て、喧嘩するなよ」
「わたくしのどこが台無しですの?!」
「いやお前は色々台無しだけども」
「あぁん?!」
あ、マズい、勢い余ってつい素で答えてしまった。
「ですよ~ね~」
「だから、何処がですの!」
「怒ったり感情が高ぶるとお嬢さま言葉がおかしくなるところでしょ」
「もとから~おかし~い~ですが~」
「ぐぅっ」
どうやらこれにはシュエリアも思い当たる節がありまくるのか、胸を押さえている。
「あと、暴力女なところとかね」
「ぬぅっ」
「髪型が変ですっ」
「まだそれ気にしてんですの?!」
「あと食欲魔神だよね。好物の為なら魔力バンバン使うし」
「そ、それは……人間の三大欲求として何も間違っていないですわ……?」
シュエリアは皆からこういう所が残念と散々言われてかなり狼狽えている。
まあ、うん、ちょっと可哀そうになってきたな。
「まあでも、俺はそういう所が好きなんだけどさ」
「何という適当なフォローですの……それ言っとけばいいと思ってますわよね」
「いやいや、本当に好きだぞ。これでお前がただ美人でいいヤツってだけだったら好きにならなかったと思う」
「じゃあわたくしが美人で良い人になったら嫌いになるんですの?」
「それはまた別の話だが……癖のある方が一緒に居て楽しいって言うのはあるな」
「……そう?」
適当なフォローなどと言いながら、結局割と嬉しそうなのは何だろう。ツンデレかな。
「シュエリアってちょろいわよね。ユウキに好きって言われると割と何でもよくなっちゃう辺りが」
「そうですねっちょろい美人ですっ」
「まあそういうちょろインなところもゆう君は好きだと思うよ」
「ちょろい~女~」
「酷い言われ様ですわ……」
皆からは結構イジられているが、それを見てふと思った。
「別に台無しでは無いのか……」
「それは元が悪いって意味ですの?」
俺が呟いた言葉を拾われたようで、シュエリアが若干怒ってる。
好きって言った後に勘違いさせるような事言ったら、こうもなるか。
「いや、確かに一つ一つは悪い要素のように聞こえたけど、そもそもそれがシュエリアのよさって言うか、俺が好きなところなんだから台無しって言うより、むしろ良くしてる部分だなぁって」
「え? あ、あぁ、そう」
そして本当にコイツはちょろいな。
すっごく嬉しそうに照れデレしてやがる。こんなの見られたらまたコイツ等に言われるぞ。
「うっわシュエリアちょろ」
「ちょろいですっ」
「ちょろ~」
「イン!」
「うっせぇですわ!!」
予想通り、シュエリアは皆からちょろい扱いを受けてしまった。まあ実際ちょろいんだが。
「他に、台無しだなぁってことないんですの?」
「思い当たることがありますっ!」
「アイネ、なんですの?」
シュエリアがアイネに振ると、アイネはコクンと頷いて話し始めた。
「これはちょっとしたクレームも入っているんですがっ……」
そう言って話すアイネは、少しばかり言い難そうにしていた。
「ご飯って、美味しいですよねっ」
「まあ、ご飯が美味しいって言うよりは、美味しく食べたいよな」
「ですっ。そして猫のご飯と言うとカリカリとかなわけですっ」
アイネの言うカリカリとはよくあるキャットフードで、魚の風味とかするアレだ。
たまに液状というか、デロデロしてるのもあるが、大抵おやつみたいな……チャ〇チュールみたいなのだからこっちではないだろう。
「中々に食感も楽しいカリカリですが……いつもトレーに入れて出してもらいますよねっ」
「そうだな。アイネが猫飯を要求したときはそうしてる」
「ですがその、たまに……というか、シュエリアさんが出してくれる時がありますよね?」
「うん? そうですわね」
ここに来て、自分の話になると思っていなかったシュエリアが首をかしげる。
「トレーにこんもりしたご飯、美味しい美味しいと食べ進めていく中、徐々にトレーの下側に差し掛かっていくと……最後の方に気づくのですっ!」
「な、何にですの?」
「下の方のカリカリがふにゃふにゃになっていることにですっ!」
「な、なんだってー! ……うん? え、何。それがどうしたんですの??」
シュエリアは大げさに驚いて見せた後に、事の重大さが分からないようで、また首を傾げた。
「それがとはなんですかっ! シュエリアさんがくれる時だけ、いつもトレーが洗った後に拭かれてないからその上に出されたカリカリが水分を含んでふにゃふにゃなんですよ! せっかくのカリカリがっ!!」
「あぁ……つまり、人で言うと唐揚げとかの揚げ物が水分吸ってビタビタみたいなことですの?」
「そうですっ! せっかくのカリカリがっ!!」
「わ、わかりましたわ。その、ごめんなさい」
シュエリアはこれで結構食事を大事にしてる奴なのでこの問題は結構悪いことをしたと思ったようだ。こんなに本当に申し訳なさそうに謝るのはそう無いことだ。
「次からは気を付けてくれたら嬉しいですっ」
「気を付けますわ。それで、次はシオンとかどうですの?」
「うん? お姉ちゃんかぁ」
話を振られた義姉さんがうーんと唸る。
「台無し……かぁ……。思いつかないなぁ」
「頑張りなさいよ作者」
「え? 何の話?」
「こっちの話ですわ」
なんかシュエリアがすっごいメタいこと言いやがったが。義姉さんにはわからなかったようだ。
「うーん、これでいい?」
「ん? なんですのこれ」
「揚げびたし」
「……駄洒落ですの?」
「うん」
「良いわけないですわ……」
シュエリアがガックリしながら拒否すると、義姉さんがまた何処からともなく何かを出して来た。
「じゃこれは?」
「……洋梨ですわね」
「うん」
「何でいいと思ったんですの……」
そう言いながらもちょっと乗り気になって来ているのかシュエリアは義姉さんが出すものをテーブルに並べ始めた。
何してんだコイツ等。
「じゃあこれで」
「これはダイナステ〇ですわ……」
「じゃあこっち」
「それはダイナソー〇崎……え? 完成度高いですわ」
「じゃあこういうのは?」
「それはダ〇ソー……って大分離れましたわよ」
っていうかダ〇ソーのミニチュアって。なんでこんなの持ってんだこの人。
「じゃあじゃあ『小、中、特』とか」
「大、無しですの?」
「正解!」
「いえぇーい! じゃねぇですわ!!」
もはや大喜利みたいになって来てる義姉さんのボケ。
シュエリアもノリツッコミまでし始めて、何だかんだノリノリだ。
「別に台無しな話では無かったけれど、シオンはもうこれでいいですわ」
「お姉ちゃんの話術の勝利だね」
「何処に話術があったんですの……?」
いや、まあ、対シュエリアと言う意味ではある意味素晴らしい話術と言えなくもない。
下らないボケでも下らないからこそ乗っちゃうシュエリアの思考を確かに理解したボケだったと言える。
「それじゃあ後はユウキですわね」
「え、俺もか」
って言うかこういう時、俺って大体最後に回されるのなんで?
俺ってどちらかというとツッコミなのになんでトリやらされるんだ?
「そうだなぁ……」
正直作者もそこまで深く考えずにこの題材で書いている気がするので俺もネタが浮かばない。
浮かばないが……。
「……よし。入賞できなかったオリンピック選手と掛けまして、俺の美人な嫁と解きます」
「そのこころは?」
「どちらも台無し」
「よし、殺しますわ」
「うっそ?!」
割とうまくボケたつもりだったのだが、想いの他シュエリアの琴線には触れなかったようだ。
むしろ怒りの導火線には触れたようだが。
「いやあ、ホントゆう君って台無しだなぁ」
「そうね。まあああいう阿保なところがいいとこでもあるけど」
「シュエリアさんと一緒だと特にそう感じますねっ」
「です~ね~」
「言ってないで助けてくれないかっ?!」
なんか俺がシュエリアに襲われてるのをじゃれてる感覚で見てる奴らが居るんだが……。
これ、このまま行くと死なないにしてもすげぇ痛い思いすることになると思うんだよね。
「最後のボケは別にユウキでもいいですわよねぇ?!」
「ハッ、確かに!!」
言われると確かにそうかもしれん。こういう所が駄目なのか?
とまあ、こんな感じでこの下らない会話は終わり、この後シュエリアに掴まってくすぐり地獄を喰らった俺はもう俺をオチに使うのは止めて欲しいなぁと思った。
ご読了ありがとうございました!
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