2話 最悪の目覚め
今日、18歳となった俺ことタテニカは最悪の一日の始まりだった。
ガキの頃の嫌な記憶を夢見で無理矢理掘り起こされるわ、起きてみるとゴミ捨て場で寝ているわ、二日酔いで頭痛が酷いわ…
そもそもなぜゴミ捨て場に寝ていたのか。
酔っぱらっていて正確には思い出せないが、恐らく行きずりの冒険者とケンカになったのだろう。
こうなるのは初めてでは無いし、むしろ魔物のうろつく街の外や憲兵の留置場で目が覚めるよりも運が良かったのかもしれない。
今は取り敢えず、服にこびりついたゴミの臭いを取るために家に向かっているところだ。
幸い、寝ていたゴミ捨て場から家までの距離は大したものではなく、誰かに見咎められることもなく帰宅することができた。
既に空には天高く陽が昇り、今が朝方ではないことを示している。
「よし、この時間なら……」
そっとドアを開け、中の様子を伺う。
家の中は暗く、窓から差し込む明かりだけが貧相な内装を照らしている。
部屋の角にある簡素なベッドには一つの盛り上がりが有り、規則正しく上下に動いている。
俺はその盛り上がりを一瞥したあと、手頃な服に着替えてすぐさま家を発った。