ガララーテ
ガララーテの街は大きかった。石畳の道にレンガの建物がぎっしり、街ゆく人々も多くて服もちょっとおしゃれな気がする。
「ここがガララーテ……」
「セルパンさん、ありがとうございました。おかげさまで無事に街に着けました」
おれを降ろした灯富がしっかりお礼を述べてる。おれもセンパンさんに頭を下げたあと、ぐぐーと背中をのばした。
朝イチに出たのに本当に半日かかったけど、無傷だし、疲れてる以外は元気だ。
「いえいえ。さて、ヨルちゃんは宿を決めようか」
「あっや、大丈夫です自分でできますので! それよりセルパンさんはこの後の予定は」
「仕事があるから鉱山町に戻るよ。ああそうだ、お迎えはいつ来ようか」
おっ戻るんだ。この街にいる間、ヨルとしてセルパンさんに存在証明しなければと思ってたからよかった。しかもお迎えもしてくれるなんて、こっちに都合が良すぎて申し訳なくなってくる。
チラ、と灯富をみるとちいさく頷いた。
「滞在は三日の予定です、こちらにいる間はヨルちゃんのことは任せてください」
「……わかりました。何かあれば、この石に語りかけてください。僕に通じるようになっています」
ゴツゴツした青い石を渡すと、セルパンさんはおれに「ひとりで大丈夫かい?」と確認して帰っていった。石は通信器具らしいけど、おれたち使いこなせるかな……。
ザッザッと普通に歩いてるようだけど、遠ざかるのがめちゃくちゃ早い。あれ歩数と距離があってないよな……?
「ヨルちゃん、おれたちと同じ宿に泊まろうね!何かあったら遠慮なく言ってね!」
見送りきったあと、みんなと二泊する宿を決めた。灯富たちは二部屋、おれことヨルは一部屋をとり、宿の入口で別れた。
で、急いでキャンセルするおれ。
大きい街は物価も高いのか、二人部屋が一泊6ガルで、ヨルの部屋は4ガルだった。ちょっと高いよね!
一度外に出て宿ととなりの宿の隙間に入り、狭いところで着替える。あたりをよくよく見回してくしゃみをすれば、遅れてきた夜尾の完成だ。
「おまたせー」
「ヤオさん!」
「夜尾さん、無事でしたか」
「お疲れ」
灯富の部屋にいくとみんなが集まっていた。明日のことについて話し合ってたらしい。おれを見るとみんなが立ち上がり、体に異変がないか調べてくる。
「モンスターに食べられなかったか心配してたっす」
「警棒ごときでなんとかなる生物じゃなかったですね、襲われなかったんですか?」
無傷、しかも疲労の薄いおれにふたりが首を傾げた。疲れてるけど、後半は背負われて移動してたから、みんなより元気なんだよね……気まずい。
「あー、たぶん先に行ったみんなのおかげでモンスターが減ってたんじゃないかな? 死骸は大量にみたから」
「そっすかー」
「今日は疲れているだろう。しっかりマッサージとストレッチして早めに寝よう。そして明日は朝から楽団探しだ」
おれの代わりに灯富が手を打って意識をそらしてくれたので、解散して眠ることになった。
翌朝。
仕事がないからいつもより遅く起きられた。足というか全身が筋肉痛だ。もっと寝ていたいけど、滞在時間が決まってるからな、タイトに動いていかなくちゃ。
「朝飯を探しつつ、早速でかけよう」
宿の受付の人に朝ごはんがどこで売ってるか聞くと、やっぱりここでも屋台はあるらしい。街の中心にある広場がそう。朝からやってるカフェもあるけど、高いんだってさ。
「屋台が、おしゃれ……」
広場についたおれたちはビックリしていた。広場の美しさもさることながら、立ち並ぶ屋台のクオリティが高かった。掲げる看板の文字もセンスを感じさせる。
「えっ、パン二つで15ケールっすか」
20ケールで1ガル、1ガルでパン6個買えてたのに。高いなー!でも食べないわけにはいかない。三食しっかりとがおれたちの方針だ。
「パン屋さん、この街の楽団のこと教えてくれますか」
パンを受け取りながらアイドルスマイルで情報収集をすると、この街には職人街かあるのを聞けた。そこでは楽器をつくる職人達がたくさん集まって日々研鑽をつんでるそうだ。
「職人達……期待が高まりますね」
「スカウトできるといいっすねー!」
「よっしゃ、そこへいこうぜ」
道行く人に聞きながら、職人街を目指す。前の世界でも、その道の専門家が集まってるストリートがあったな。ああいうのって、紹介がないと中に入れなかったりしたんだけど、ここはどうかな……。
一抹の不安を抱えながら、おれたちはついに、というよりあっさりと楽器を作っている職人たちのテリトリーに立ち入ったのだった。




