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池ぽちゃん

森は鬱蒼としていた。


「あんま奥入ったら事故りそうなんだが」

「入れても町が見えるところまでだな」

「おー」


なにがあっても事故は避けたい。

テレビなら助けに来られたところでお蔵入り、違ったら怪我するだけの損だ。予定通りなら2日後には収録だし、事故はさけていこう。


おれたちは森に踏みいり、手分けして屈んだり大木の裏を覗き、スタッフか撮影機材を探す。しばらく捜索したもののふくろうらしき鳴き声が聞こえる以外はなにもなかった。


「ここらへんまでがギリギリだな。夜尾、戻ろうか」

「んー……そーな」


収穫なし。宿に帰るしかないな。

よっこいしょ、と茂みから立ち上がったら踵から重心が後ろにもってかれた。


「うわ!?」


バシャン!


全身が濡れた。


(い、池……に落ちた)


ださーい!!これはなかなかにダサいぞ!

尻もちついた胸くらいの深さなのに、頭からびっしゃびしゃ。


「夜尾!?」

「すまん、だいじょーぶ」


? 声が変だ。


「んンッ、あー、あー」


池に浸かったまま咳払いをして声をだしてみるが、なんか高くないか?

喉を触って発生してたら影が差した。駆けつけてきてくれた灯富だ。


「夜尾、そこか? 暗くてよく見えないから手を伸ばして」

「ん、助か……ブシュン!」


くしゃみ出たわ。盛大なやつだからちょっと恥ずかしい。

灯富に手を貸してもらって池を抜け出す。


「んなァー。池あるとかナシだろー」

「浅かったのが救いだな。早く戻ろう、風邪引いたら洒落にならない」


宿に戻ったら店番のおじさんがうたた寝してた。

おれがびっしょりなのに驚いてたけど「うちじゃ乾かせん、すまんな」と布を一枚くれた。


「クリーニングってどっかにあっかな?」


ハンガーラックがないようなので、部屋の椅子や窓枠に掛けておく。


「替えの服がないな……それもどこかで買わなくちゃいけないのか」

「その費用もイチから作れ、と。荷物をぜんぶ回収するってほんとに徹底してるな」


真っ裸でベッドに入る。

この町が寒くない地域なのか、全裸でもツラくないのが救いだな。


(ここは地球じゃないかも……)


灯富が言っていたことがふと思い出される。なんだそれ、じゃあドコなんだ? 宇宙? え、寝てる間にNASAとか……都市伝説が頭をよぎって不安になってくる。


「灯富」

「うん?」


思わず隣のベッドの仲間の名を呼んだ。

すでに目を閉じてた灯富は、こちらを向かないまま返事をくれる。


「………」

「なんだ」

「………明日のパンツは裏返しで履くの?」

「寝ろ」


眠れないと思ったけど、つぎに目を開けたら朝になってたから寝たらしいよ。




置かれた現状がわからないときはそう、調査です。

朝起きて昼前に宿を出る。そしてもう夕暮れという今。


「いやーなんっもわかんなかったっすねー」

「灯富さんのピアスが買い叩かれた程度」

「おしゃれぶって片方しかつけないからだぞ!」

「売ったのにこの言われよう」


町の規模は大きくなく一通り歩いて見回れたが、案の定テレビ撮影をしてる気配はなかった。というか町中にテレビがない。それどころかおおよそ電気を使うものがなかった。


情報をもとめて話を聞いて回っても「なんのことをお話なの?」という反応だ。


「とりあえず飯にいこうか。灯富の3ガルで」

「3ガルでどれくらい食えるんすかねー」


屋台のパンは1ガルで6個くれたな。


おれたちは日中の調査のおかげで夕食をとれるレストランを見つけていた。宿の近くにあるレストランというか食堂のほうがしっくりくる所で、仕切もなくテーブル席が適当に配置されてる。このスタイルが町じゃふつうみたいなんだよな。



「大事につかえよ、まずは良質な肉の確保だ」

「まだ筋肉そだてんの?」

「今日の働き分は食べさせなくちゃダメだろ」

「激しい動きなかったっすよ?ムキムキになりすぎじゃねっす?」

「日本だと細身のほうがモテますよ」


おっ、ということはおれにも好機が!

30を越えてから食が細くなったんだよね。


「なににしますー?」


ちっこい子が注文を取りに来て一瞬驚いた。

でも外国の家族経営の店だとわりとふつうにあるなと思い直して注文。灯富の希望通り肉を中心に2ガルで夕食を頼むと「はい!」といい返事をして厨房へ駆けていった。


「さて。すこし状況をまとめようか」


豚肉の野菜炒めみたいのとパンがテーブルに並んだところで、灯富が切りだした。


「この町は鉱山中心すね。鉱夫の方が多い」

「そんでお金はガルって単位で、外貨は使えないっぽい」

「太陽の横に月がふたつある」


「「「 ……… 」」」


そう。ふと見た空にある太陽。

その横にふたつの月が出ていた。唖然として聞いて回ったが、常識を聞くヤバイやつみたいな反応を返されたんだ。


昼にふたつ月があって、夜にはひとつの月が浮かぶ。トータルでみっつの月があるんだよ。


つまりここは地球じゃない。


「いやー……まじでなんもわかんないっすね、この世界」


宮林に同意しかないよ。なんだよ、地球じゃないって。

英語通じたじゃん。宇宙人なら宇宙語しゃべっててくれよ。

 

「あ、日本語が通じましたよ」


成風が新しい情報を得てました。



プロローグ長かった(^ν^)


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