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平行の極地にあるプロローグ

境界線は遥か彼方

兄妹はもう戻らない

罪人(英雄)贖罪(絶望)は認められない

相棒は敵になり、全てが0になった




これはそんな、ちょっとした小噺。

「やっと、やっと、成功する…」

「ぅ…ぐ」


 欠けた王冠を被った王は自らの城で成功を確信していた。視線の先にはブレザーを着た少女が反射炉のようなところの土台に縛り付けられている。

 その隣には、ガラスケースに飾られているカチューシャがあった。

 満足げにその光景を見ていた王は急にピタリと止まり、後ろに振り返る。


「…自衛装置は起動させていたはずだが?」

「魔法が全く使えない人間を考慮しなかったのは失敗だったな」

「なんだお前か。バルツェや灰原、公安の宇佐見あたりが来ると思っていたがね…何をしにきた?」


 少女と同じブレザーを着て、黒い鞄を肩にかけた少年が、足を震わせながら立っていた。王はその姿を見て鼻で笑い、縛り付けられた少女を指差す。


「アレを助けにきたのか?」

「愚問だ、王様」

「無理だな。魔法も使えない、信念も持たないお前に私の世界を壊させはしない」


 少年はそれを聞くと、なぜか笑みを浮かべてゆっくりと歩き出した。王は眉を顰めながら剣を抜き、少年に向ける。


「やっと救えるんだ。100億の命を。邪魔なんてさせない」

「その救いは間違っている」


 王は一瞬ピタリと動きを止めたが、すぐに剣を振りかざした。少年は身構え、鞄の紐を強く握る。


「そうか。––––散れ、菜花戒杜」


 王は死の宣告とともに、持っていた剣を視認できないほどの速度で投げつける。だが、少年はさっきまでの震えが嘘だったかのように走り出し、剣を避けた。

 剣が城の壁に突き刺さり、子供の頭ほどの穴ができる。

 少年はそれに目もくれず王の元まで走っていき、肩にかけていた鞄を王めがけて投げつけた。


「なっ!?」


 王は驚き、急いで掌に魔法陣を作り、火球を生成して少年へ向けたが、少年は向けられた手を下から掴み、無理やり別の方向に火球を飛ばさせた。

 鞄を急いで回収し、王の近くから離れようとした少年だったが、王は少年を蹴り飛ばし、転がる体に火球を放った。

 だがその火球は運悪く鞄に当たり、少年には当たらなかったようだ。少年は左手で右腕を庇いながら立ち上がる。


「––っ!?貴様、そのバックルは!」


 その右手には、黒と金の大きなバックルが握られていた。

 深い紺色の星空、金色の歯車とパイプ、カードの挿入口のようなものがある真っ黒い中心部、深いモールドが彫られている黒いカバーのような金属部分があり、拳3〜4個ほどの大きさがある。


「宇佐見さんめ、なんで鞄の中なんかに…」

「それを使ったら、もはや普通の人間には戻れんぞ?」

「………」


 少年はバックルを腰につけた。だが、そこから先何も起きない。少年は何度もバックルを見て腰につけ直すが、特に変化はない。


「ハ、所詮人間か!」

「……覚悟が足りないってか」


 少年は自虐的に笑い、少女が縛られている場所をちらりと見ると、バックルを捨ててズボンのポケットからコンテンダーを抜き、王へ銃口を向けた。


「撃てるのか?お前に」

「ぐ………」


 少年は悔しそうに口を歪ませ、ゆっくりとコンテンダーを下ろした。それを見て王は高笑いすると共に、魔法陣を構える。


「終わりだ」

「僕の命が消えるとしても、せめて八葩さんだけは救ってみせる」

「無駄だな。貴様には何もできん」


 少年はフッと笑い、再度王に向けて銃口を向けた。王は両手を広げ、少年を見下す。


「撃てるものなら撃ってみるといい」

「…そうさせてもらうよ」


 少年は銃口をそのまま横にずらし、反射炉近くのガラスケースに狙いを済ました。


「なに!?」

「最初からこっちが目的だよ、王様」


 大きな音と共にガラスケースが粉々になり、その音で少女が目を覚ました。そして、スピーカーから発しているかのようなくぐもった音声がカチューシャから聞こえてくる。


「え?え!?」

『なんだかわからないけど、逃げるよ八葩』

「え、でもどうやって!」

『……仕方ない、か』


「よくもやってくれたな、菜花戒杜!」

「貴重な歯車を殺すか?」


 王は悔しそうに少年を睨むが、少年は少女の元へ走っていった。


「菜花くん!」

「待っててください、今助けます」

「させるか!」


 王のセリフに反応したかのようにカチューシャがくるくる回転しだしたかと思うと、王が発射した火球を次々弾き飛ばした。


『それは私のセリフだよ!』

「なっ!?」

「今のうちに…ナイフナイフ」

「あああ早く早く!」


 少女に急かされながら少年はナイフで少女を縛っていた布のようなものをブチブチと切っていく。


「ありがと!」

『八葩!いっくよー!』

「させん!!」


 少女がカチューシャをつけたところで、王は手から衝撃波を放ち、少女を後方へ吹き飛ばした。柱にぶつかって体が崩れ落ちる。


「八葩さん!」


 血は流れていないが、気絶している。少年は駆けよろうとして、ピタリと止まった。王はそれを見て首をかしげる。


「…僕は」

「ん?」

「大切な誰かを守れるのであれば、人間でなくなっても構わない」

「なに?」

「人間の信念を舐めるな、王様」


 そのセリフを言った直後、地面からバックルが少年の元へ飛んでいく。左からベルトが勢いよく飛び出し、少年の腰を一周回って右の口にガチャリと装填された。


『infinite process!』

「!?…びっくりしたなもう。って、バルツェと翔魔と宇佐見さんの声だよな今の」


 バックル中央の真っ黒だった部分に、上左角から下右角に亀裂が走り、左に砂嵐が現れた。亀裂の反対側には黄色い花畑が映り、彼岸花が亀裂から生える。

 そして少年のポケットが光り出した。

 王が火球を放つと同時に、ポケットから何かが飛び出し、火球を防ぐ。


「なにっ!?」

「うわっ!」


 カードはすぐ少年の手元に戻ってきた。

 それには水面に映った枯れ木と月が描かれていて、左脇には横向きにwildと書いてある。


「ワイルド…」

「貴様!」


 火球が飛び交う中、少年はカードを中央のパーツに装填した。するとさっきと同じ三人の声が聞こえる。


『border of everlasting 』


 その音声が鳴るのと同時に周囲に歯車とパイプの幻影のようなものが現れ、少年に向かう火球を防ぐ。

 少年は装填部分を上から左手で下に押し込む。すると左のモールドが展開し、灰色の内部が露出するのと同時にまた音声が聞こえてきた。


『over the ever lasted』


 すると周囲にあった幻影の歯車が少年が囲うように集まり、回転しだした。王は火球だけでなく、風の刃も交えて少年を止めようとしたが、全て幻影のパイプに阻まれた。

 少年は左手で押し込んだ装填部分を右手で弾いて開き、装填部分の内側にあった造形を露出させた。


『transcend mortal borderline!』


 開いた部分には、中央にひし形の透明な宝石が埋め込まれていて、かつその四方に赤い五角形、青の楕円、黄色の三角形、緑の四角形が配置してある本のような造形がある。

 装填部分の内部には下から左上まで金色のカードのようなものが貼ってあり、カードの絵柄…水面に映った枯れ木と月がある。


 少年は両手を下ろし、一度力を抜いて目を閉じて精神統一する。そしてゆっくりと目を開いた。


「変 身」


 左側で露出していた灰色の内部パーツが一気に青色に光り、周囲の歯車にヒビが入って砕け散る。残ったパーツが装甲になり、それが少年の体に合体する。

 王はまた火球を発射したが、少年を通り越して後ろが爆発した。

 そして装甲が全て融合し、バイザー部分が青く光る。少年は近未来的な、でもどこか魔法使いのような姿に変化した。


「可逆のボーダーラインを超えたな、菜花戒杜」

おっと失礼。読んでた本を開きっぱなしだった。

ここ?ここは神在月の歴史館。虚構が現実になり、失った物語も紡がれる幻夢の館。僕はここの司書だ。


この本は、4人の主人公が世界の終わりを防ぐために戦う物語。

書き手が初心者だから、文章に少し癖があったり、ちょっと書ききれてない描写もある。


ここから先ページを捲るのは君の自由だ。でも、時間に余裕があるのなら


是非、読んであげてくれ。

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