母は偉大
大変長いお休みを頂いてしまい、申し訳ありませんでした
(さてと、使用人の人たちの件は多分もう大丈夫ね)
「シャル、もう部屋へ戻りますわね。」
「お供致しますか?」
「いいえ、私は大丈夫だからこの場を楽しみなさい」
「お気遣いありがとうございます。」
部屋を出るとお母様が月を愛おしそうに眺めていた。
通路の壁はガラスになっており、月明かりの光はお母様の透き通るような顔を妖しく照らしていた。
「お母様、どうなさったのですか?」
「...ルズちゃん、これから何があっても私はあなたを愛しているわ。今のあなたが誰なのか、過去に何があったのか、そんなことは聞かないけれど、それだけは変わらない。あなたはあなたよ。おやすみなさい、私の天使。」
お母様は唖然とする私の額にキスをして部屋に戻ってしまった。
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「......」
それから部屋に戻った私はただただ泣いた。死んだとき痛くて寒くてただ怖かった。アノコと一緒に生きていたかった。
この世界に来て不安で、また死んでしまうと思うとさらに不安になった。
だから味方がほしくてすぐに仲良くなろうと必死に家庭教師の先生や料理長、メイド長、庭師、メイドの皆さん、お父さんの執事、いろんな人の趣味や行動を調べたし、今日の謝罪の後話すときに気を付けなければならないことを頭の中で何度も繰り返して練習した。
でも使用人だから全員忠誠を誓ってくれただけで求めているものは手に入らなかった。
「......ふぅ」
(やっぱり、母は偉大なのね。お陰でたまっていたものがスッキリしちゃった。泣いてる場合じゃないわ!これからどうしましょう......)
現在の私は5才で、シオン王子と婚約を結ぶのは8才これまでの三年間はなるべく王子との婚約をしないように気を付ける。これ自体は難しくないだろう。婚約理由は才色兼備であることだから魔法をあまり使わないようにすればいい。問題はこの世界がゲームの世界であるということだ。『ナニカ』による修正でバグが起きかねない。
まあ可能性の話をしている暇はない。なんにせよ、その『ナニカ』とは一度話もしたいしね。
万が一、私と王子が婚約してしまった場合は王子の反応次第かしら......よくこういう話の小説にあるのはなぜか悪役が攻略対象全員から溺愛されて一人を選ぶ、というものだけれど、私の場合それはない。私は最愛の人をもとの世界に残してしまったからだ。まだ付き合ってはいなかったけれど......ずっと好きだ。
あら、のろけね。
王子が私に対して何も思っていなかったら王子の好感度をあげて友だち程度に接する。もし婚約した次点で嫌われているようなら修道院に入りましょう。王子の友だちは普通にほしいわね......
来ていただいてありがとうございます!おいなりさん好きです(^^)
そう言えば、ルナーリズ・ソルレッドの愛称がルズです。掲載するのを忘れてしまい申し訳ありませんでした。