アデリーとよつ葉のお祝い漫才
――それでは、盛り上がってきたところで、余興のほうに移りたいと思います。トップバッターは、この二人です。どうぞ!
「アデリーです」
「よつ葉です」
「「よろしくお願いします」」
「昨夜、インターネットの『小説家になりましょう』というサイトで」
「なろう、でしょ?」
「いろいろ調べてたら、面白い作家さんを一人、見つけてしまったのよ」
「というと?」
「山之上舞花さんってご存知かしら?」
「もちろんよ。アデリーちゃん、いまさら舞花ママのことを知ったの?」
「そんなに有名なの? 私は、昨夜はじめて知ったわ」
「今日のお祝いパーティーの主役を、昨夜はじめて知ったの?」
「驚かなくても良いじゃない。今日は、山之上舞花さんについて調べてきたことをお話しします」
「大丈夫かしら……」
「舞花さんは、二〇一五年の十二月にユーザ登録した二歳女児で」
「いやいや。生まれてすぐに登録したわけじゃないわよ」
「すでに七十作品以上も投稿されてまして、三百話以上も連載を続けている『高飛車の姫と信者たち』というハイファンタジー作品や」
「『月光の姫と信望者たち(仮)』ね。たしかに高飛車だけども」
「二百話近くも連載を続けている『嫌いなのにうまくいった恋愛と、好きじゃないけど嫌いでもない相手との結婚』という恋愛作品」
「逆よ。『好きなのにうまくいかなかった恋愛と、嫌いじゃないけど好きでもない相手との結婚』でしょ?」
「それから、百話近くも連載が続いた『舞子の入院騒動記』以下略というコメディー作品などがあります」
「勝手に略さないの。『舞子の入院騒動記 またの名を入院の恥はかき捨て ~ 別名 昔のことを知っている人に会ったらご注意を! ~』です」
「どれも重厚長大で、面白かったわよ」
「ちょっと待って、アデリーちゃん。昨夜はじめて知ったのに、全部で六百話近くもある作品を、もう読み終えたの?」
「ウフフ。スクロールする手が止まらなくて、思わず徹夜しちゃったわ。貧血で倒れたら看護してね、よつ葉ちゃん」
「任せて。そのときは、点滴の練習台になってもらうから」
「お客さまの中に、注射の上手なかたはいらっしゃいませんか!」
「どういう意味よ。いい加減にしてちょうだい」
「「どうも、ありがとうございました」」
――いかがでしたでしょうか。フレッシュな女子による微笑ましい漫才でしたね。続きまして……




