武器で闘う山へ行こう。
武闘山。
果物ナイフから聖剣や魔剣、模造刀から神剣までありとあらゆる武具が集まる山。
燃え盛る大地の鍛冶屋さんが作った武器を奉納した事からはじまり、今では数えきれない武器が突き刺さった山です。
また良質の鉄鉱石が取れた事から無数の坑道があり、そこに防具を隠す人も出て来て、もはや全部で何が何個何本あるのか、把握が難しい状態です。
「ロレリエル、いこう。はやく!」
「待ってください、まず入山手続きをですね…」
そんなわけで給仕服姿のソルカさんと武闘山の麓に来ています。
最初に着ていた標準服以外持っていないソルカさんは、普段からこの格好をしています。
獣耳と尻尾の給仕さんがいる喫茶店として、人気がではじめたマスターのお店、宣伝も兼ねているとするなら中々の策士だと思いました。
さて、マスターのお店から絵描きさんの所に寄り、まず最初に来たのが武闘山。
感動の再会をしたソルカさんは、絵描きさんと話し合いの結果、一緒に異世界へ転生すると決まりました。
そこで問題が一つ。
ソウルポイントが足らない、それはもう圧倒的に足らない。
そんなわけで稼ぐ必要あります。
異世界転生もただじゃない、世知辛い世の中ですね。
「まず、好きな武器を選んでください」
「どれでもいいの?」
「はい、好きなものを第一印象で選んで大丈夫ですよ、あとで選び直せますし」
ストレッチしながら聞いてくるソルカさん。
実際一面武器だらけ、選ぶにしても目移りします。
拳系、投げナイフ系、短刀系、短剣系、長剣系…などなとなど。
無造作に突き立つ武器を引き抜けば、そこがセーブポイントになり、武闘山内で殺られた場合に限りここに戻ります。
ソルカさんは、虎の爪を選び、ブーツに括りつけました。
「あの、ちょっと!?」
「何?」
「それ使い方違いますよね?」
武闘山武器&防具の初心者カタログを見ながらソルカさんに指摘します。
「知ってる、手で持つやつ。だけど私みたいな非力な者は脚力を生かしたほうがいい。そう兄様に教わった」
兄様とやらは正しいかも知れませんが、今のソルカさんはスカートなので。
説得に時間かかりましたが、ショートパンツを穿くと言う事で妥協して貰います。
「それでは、行きましょうか」
ソルカさんは、弾けるように飛び出して行きました。