ソルカの生前<中編>
「ねぇ、まだぁ?」
椅子に座っているのも飽きて、足をバタバタさせていた。
「あ、もうちょっと…」
アイツのスケッチブックは、私でいっぱいだった。
他にないのか聞いたら、気に入らなくて破って捨てた…らしい。
その事は気にしていない、うん、気にしてなんかない。
その頃のアイツは、バイトを掛け持ちで働きながら絵を描く事をしていた。
絵は売れなかったれけど、バイトのほうがお金になるとボヤいてた。
「ふ〜ん、それならヌードでも描く?」
「うーん、そういうのは書かないなぁ…」
貴族には少女の裸の絵を女神とか言う名目で買う変態、もとい…好事家がいて良いお金になると聞いた事を思い出した。
「モデルになってあげようか?」
「ちょっ、ちょっと!?」
服のボタンを外しはじめたら止められ。
わたし達はそのまま倒れ込んだ。
「あ、ゴメン…」
「なんで謝るの?」
アイツ両頬に手を当てて、引き寄せた。
「あの、その、好きです。付き合ってください」
「うん、いいよ」
「そうだよね、こんなタイミングで言ったら断るに決まって…ん!?」
「ん、んぅ…」
なんかまだなにか言いそうだったから、キスして口を塞いでやった。
「まだ、疑う?」
「いや、疑わないけど…」
ちょっと照れていたのは秘密。
「ねぇ、ベッドいこ?」
「え、いいの?」
「バカ、そういうのは聞かないの!」
お姫様抱っこは、心地良くて心臓が高鳴った。
その日は朝までギシギシ言うベッドの音さえ、心地良く感じた。