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ラスボスさん。  作者: 有負 王
章ってなあに?ーーしょういうこと(章機能を使ってみたかっただけ)
3/25

姫誘拐事件(日帰り)

な、なんとなんと、二話からたったの十日で三話目ですよ!どうよ!どうよ!

…え、遅い?


ちなみに今回の話、ここぞとばかりにパロディネタ突っ込みまくった場面がありますのでご注意を…


(2022/5/3改稿)

現在も適度にパロディとオリジナル織り混ぜつつ全力で突っ走っております。

…更新速度の話は、やめよう!←

高台にある城。そこで今日もラスボスは勇者を待っていました。


「…暇だ」


「そうですねぇ…」


玉座の間で頬杖をつきながら真顔でそんなことを言うラスボスと、近くで銀のお盆を抱えながら立ってぼーっとしながら言うネモフィラさん。平和そのものの光景です。

ちなみに、頬杖はやりすぎると骨格が歪んでしまうそうなので注意しましょう。

※ただしラスボスを除く


「勇者っていつ来るんですか?」


「さあな」


「そういえば今までどれくらい待ってるんですか?」


「確か…大体五千年くらいだな」


「へぇ…五千…年…五千年!?」


五千年勇者待ってると聞いてびっくりしたネモフィラさんが、思わずバサッと翼を広げて跳び上がりました。尻尾もピンと立っています。漫画等で見かけるような見事なリアクションです。


「え、その、五千年間一度も来てないんですか?」


「ああ」


「…相手の国を滅ぼしちゃったとかは…」


ラスボスならやりかねないと考えて恐る恐るそう聞いたネモフィラさんに、ラスボスが更なる衝撃の一言。


「ないな。そもそも城から出ていなかったからな」


「……」


ネモフィラさん絶句。そりゃあ五千年間一人で城に引きこもってたと聞けば驚きます。

そしてそこから来るのは一つの疑問。…いや、疑惑。


「えっと…その…どこかの人間、っていうか国に喧嘩を売ったりとかは…」


「してないな」


「……じゃあ、その、何か人間から恐れられるようなことは…」


「それならこの前お前を倒しただろう」


そういえば今更ですがネモフィラさんはドラゴンです。一話でラスボスに倒されて配下にされ、この前の二話目で名前が決まりました。

特に、二話の名前決めは恐ろしい戦いが繰り広げられました。


「……えっと…それだけ?」


「それだけだな」


眩しい程のドヤ顔で言うラスボス。太〇拳ッ!


「…あそこは辺境の村ですし、それだけではあんまり噂も広まらないのでは…?」


少し呆れながらそう言ったネモフィラさん。溜め息を吐いて頭を押さえつつも天然なラスボスを少し可愛いと内心で思ったのは内緒です。

ごつい男の天然に需要はない?よく考えてみてください、ファンタジーのダンディーイケメンならありじゃないでしょうか。

少なくとも作者的にはあると思います(真顔)


バタンッ


「話は聞かせてもらったぁッ!」


「!?」


いきなり玉座の間と廊下を繋ぐ扉が勢い良く開いて、村人が一人現れました。

またしても驚いて跳び上がるネモフィラさん。もはや動きがプロフェッショナルです。


「ああ、そうらしいな」


そしてやっぱり気づいてたラスボス。気配察知もお手のものです。


「マスター、そういうことならば是非とも我らにお任せを!」


「何かいい案でもあるのか?」


「ええ、もちろんですぜ。これならきっと間違いなく勇者をよこすに違いないですよ」


村人が村人らしからぬめっちゃ黒い笑みを浮かべながらそう言いました。

完全な悪人面です。お主も悪よのお。






ここはとある国の王都。

割と大きい国の首都なので、しっかりと周囲が城壁で覆われていました。

特別荒れることもほぼなく、他国に比べるとかなり平和なだけの至って普通の首都でした。


「ふあ~あ…暇だな…」


「そう言うなよ、これでもたまにモンスターとか来るんだし…ふあ~あ」


そんな王都の城壁にある門の一つで、二人の門番が呑気に欠伸をしながら見張りをしていました。

首都の見張りがこんなんで大丈夫なのかとか言われそうですが、前述の通り馬鹿みたいに平和なので大丈夫です。

そうでなくてもこの二人は門番とは言っても本当に単なる見張りで、戦闘能力よりも情報伝達の速さ、例えば声が大きかったり、足が速かったり、情報を伝える魔法を使えたりするかどうか、といったことを重視して選ばれています。

それもしっかり訓練のされた王国騎士の中から選ばれているので最低限の戦闘能力もあり、仕事はきちんとできます。


「お前だって欠伸してんじゃねえか…」


「いや、だってこんな陽気だと欠伸の一つぐらい出るだろ…ふあ~あ」


この日は春のぽかぽか陽気。眠くもなります。いかに訓練された王国騎士と言えども春の陽気は非常に強敵なのです。


ドドドドドド


「…あん?なんだ」


突如地響きが聞こえ始めました。どんどん大きくなってきました。


「ん~?どーせまた猪かなんかの群れじゃねぇか?」


「…いや、規模が違う」


砂埃を巻き上げながら何かが近づいて来ました。明らかに音の原因です。なんか時折"ウオオォォォォ!!!"とか言う雄叫びも聞こえるような気もします。


「オイオイオイ、ヤバくねぇかあれ…」


「緊急事態ー!緊急事態ー!」


どう見てもそんじょそこらのモンスターの群れには見えない音と震動、砂埃に、門番はそれぞれ緊急信号の魔法と大声で異常事態を伝えました。仕事の出来る男達です。

そして間髪入れずに城壁から兵士達が飛び出て来ました。


「なんだか知らんが、絶対に我らがこの門を守り抜くぞー!」


「「「ウオオーーーッッ!!」」」


一糸乱れぬ動きで綺麗に並んで大楯を構える兵士達。さすがは訓練された王国騎士達の中でも防御に特化した兵士達です。

しかし、


バチコーン


「ぎゃああ!」


「お母さーん!」


「衛生兵ー!」


「あらあーっ!?」


「Oh my god!」


「ひでぶっ!」


「バイバイキーン!」


「やな感じー!」


「覚えてろよー!」


「止まるんじゃねぇぞ…」


「なんて日だ!」


「このハゲー!」


呆気なく吹っ飛ばされてキラーン☆とサウンドエフェクトを響かせながらお星様になってしまいました。

そのまま巨大な城門も当たり前のように吹っ飛ばしながら突入して行く集団。






~上空~


ひゅ~ん


兵士「なんだ貴様は!」


城門「なんだ貴様はってか?はいそうです、私が変な城門です。あ変な城門♪あ変な城門ったら変な城門♪…ごっつんだ!」


ゴオォォォン


兵士達「「「ぐわあああ!!」」」






「Un, deux, trois!」


「目がぁんっ、回っちゃうのおんっ(はあと)」


「あ~れ~」


「"謎集団によって回転させられてるなう"、っと…こうも綺麗に回ってると映えるな、イン○タにも上げよう。さてどっちの方がバズるか」


「なるほど、"頭の回転が速い"っていうのはこんな気分なのか」


「回転しながら魔方陣を書く…これがホントの"魔方陣グル〇ル"」


「ペガ〇スビッグバンアタック!」


「見ろ!人がコマのようだ!」


「やった!あれぞトルネイドカー〇ィ!」


人々をぶっ壊れた風見鶏のようにくるくると勢い良く回転させながら、王都の大通りを爆走して行く集団。

そのまま真っ直ぐに中央にある王城にやって来ました。


「「「ストライクッ!」」」


「「「ストライクッ!」」」


「「「ストライクッ!」」」


「「「ストラ(ry


当然兵士達が立ち塞がりましたが、見事に全員吹っ飛ばしてパーフェクトゲームでした。

集団は王城に入ると真っ直ぐ姫の部屋に突撃し、


バタンッ


「!? なっ、何、あなた達」


ヒョイッ


「え!?え!?ええええええ!?」


戸惑う姫を一瞬で担いであっと言う間に王城を脱出しました。






都民1「はぁ~…さっきのは一体何だったんだ?」


都民2「さあな…」


都民3「あ~…毎日暇だし、どうせならまた何か面白いこと起きればいいのにな~」


都民1「止めろよ、そんなこと言って本当にまた何か起きたらどうする…」


ひゅ~


都民2「何だあれは!」


都民4「鳥か!?」


都民5「飛行機か!?」


兵士達「「「うわああああああ!!」」」


兵士「フッ…時間差コンティニューだ」


都民6「いや、人だ!!」


都民3「親方!空から女の子が!」


ゴゴゴゴゴゴ


都民6「…と、城門だ!!」


都民2「ぬぁ~にぃ~!?やっちまったなあ!」


城門「はいそうです、私が変な城門です」


都民1「何だあれ喋ってんだけどアレ!」


都民3「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!」


都民1「うるせえよてめえ!大体てめえがフラグなんか立てやがったから…」


集団「「「ウオオォォォォ!!!」」」


バチコーン


兵士達「「「またかよおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」」」


兵士「私は不滅だアアアァァァァァァ!!」


城門「はいそうです、私が変な城門です」


都民3「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!」


都民2「なんだよ天丼かよ」


ドドドドドド


都民1「この流れは…」


クルクルクルクル


都民1「やっぱしいいぃぃぃ~!!」


都民3「キェェェェェェアァァァァァァマァワッタァァァァァァァ!!」


都民2「俺は今回っている。この星も回っている。そう、全ては回っているのだ!」


都民1「ちょっと何言ってるか分かんない」






高台の上にあるいつもの城。ラスボスのいる玉座の間。


「…で。どうしてこうなった」


ラスボスの目の前には姫がいました。そう、姫でした。ザ・姫でした。

金髪碧眼、なんか長い髪、この城の備品にも負けなさそうな立派なティアラとドレス。

どっからどう見ても姫でした。キョロキョロと物珍しそうに周りを見回しています。


「へい!そりゃあもちろん人質でさ!」


爽やかな笑顔でそんなことを言う村人。そう、さっき王都に突撃して姫を拐ったのは村人達でした。

なんかただの村人なはずなのに訓練された王国騎士達とか城門とか普通にぶっ飛ばしてた気もしますがファンタジーなので気にしてはいけません。


「あぁ…なんということだ…」


急にラスボスが芝居がかった様子で膝をつきました。


「これでは、赤い帽子と髭がトレードマークの配管工が来てしまう!」


「来ませんよ」


めっちゃ目を輝かせながらそんなことを言うラスボスに即座に突っ込むネモフィラさん。


「いや、フラグを立てればきっと来る」


「そんな訳が」


ドッカン


「姫様ー!ご無事でございますかー!」


赤い執事服を着た白髭白髪のおじいちゃんが壁を盛大に破壊しながら飛び込んで来ました。


「……」


「惜しい!」


呆然とするネモフィラさんと一人で盛り上がるラスボス。


「じいや!」


「おお姫様!よくぞご無事で!」


そう、彼は姫の執事でした。


「さ、姫様、早く帰りましょう…私めがお守りいたしますので」


「そうはさせねえぞ…」


睨み合う執事と村人。まさに一触即発の状態です。

が、


「いや、帰って構わないが」


「嫌よ!まだ帰らないわ!」


そう言うラスボスと姫に一旦執事と村人が振り向き、そして互いに顔を見合せました。

その後すぐさま自らの主に理由をきく執事と村人。


「姫様!何故でございますか!」


「だってまだ来たばっかりなのに!もっとここを見てみたいわ!」


目を輝かせながらワクワク感満載のオーラを放出しながらそう言う姫。

拉致られたこととか全く気にしてないようです。


「マスター!何故ですか!折角の人質を!」


「いや、別にわざわざ人質とったところでノーと言われたらおしまいだし、可哀想だからな」


真顔のダンディーフェイスでそう言うラスボス。

やはり優しいラスボスです。よっ、この優男!

え、一話目で世界を七割壊滅させようとしてたじゃないかって?知らねえな。






結局、姫は夕方まで城に居座り、帰りはドラゴンモードのネモフィラさんに乗せてもらってはしゃぎながら戻りました。


「へ、陛下!城にドラゴンが!」


「そうかそうかはっはっは」


「妃様!姫様がドラゴンと一緒に!」


「あらあらそうなのうふふ」


「ド、ドラゴンが女の姿に!」


「あの黒い鱗、まさか竜王では!?」


「お父様ー!お母様ー!」


「あ、ああ…あの、リセスさん、私はもう戻りますので…」


「あらあら、そちらが噂のドラゴンさん?」


「そうよ!強くてとっても速く空も飛べて本当に凄いのよ!それだけじゃなくて他にもいっぱい凄い人達がいて!」


「そうかそうか、いい友人ができたようで何よりだ、はっはっは」


「えっと、ご迷惑をおかけしました…」


「陛下!その者はドラゴンですよ!危険です!」


「あらあら、気にしなくていいのよ迷惑だなんて」


「何、気にするなはっはっは」


「……」


「…あの、配下の方達が無視されてるの可哀想なんですが」


「ん?なんだ、お前達いたのかはっはっは」


「あらあら、気づかなかったわ」


「あ、いたのねあなた達」


「……」


「……」


この国の王族はかなりフリーダムでした。

完全に空気扱いで最早涙目で黙る可哀想な王城の配下達と唖然とするネモフィラさん。

ちなみに赤服執事のおじいちゃんは地上を走って空飛ぶネモフィラさんを追いかけて来て、今は汗一つかかずに王城全部の部屋の掃除をしています。さすがは執事です。

なんかやたらハイスペックな気もしますがそれもこれも全てファンタジーなので仕方ないのです。

めでたしめでたし(たぶん)。

いかがでしたでしょうか!

お読みいただきありがとうございました!

次話もの~んびりま~ったり待っていただけると幸いです。

…え、誰も待たない?

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