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ラスボスさん。  作者: 有負 王
章ってなあに?ーーしょういうこと(章機能を使ってみたかっただけ)
17/25

【悲報】大会炎上

前編をお読みいただいた方こんにちは。こちらが後編となっております。

…最近だらだら書いて長くなりすぎじゃないですかね有負さん?こんな駄文を長くして一体誰得なんだ?私得だ(殴

「という訳で俺とラスボスはあれしかないな!ラーク!あれを見てみろ!えぇ~!」


そこでラークさん達が目にしたものとは!?


「待ちやがれこの野郎ー!」


「うおおおお!」


「ふっ、ハシリカポンキごときこの俺のリボルバー捌きにかかれば」


ドンドンドンッ


「どうだ見たか、俺の弾丸からは何者も逃れられはしないのさ…」


「はい、はっきり見ました。言い逃れもできない反則です。警備君、こいつ連れてって」


「はっ!?えっ!?ケイビイン!?ケイビインナンデ!?」


「素手で捕獲するのがルールでしょうが、あなた素手でもないし捕獲どころか破壊してるし…。元魔王様とはいえルールは守っていただきます」


「なっ、なななっ、何の話だ!?お、俺はただのしがない旅のガンマンだぞ!ってうわ何をするやめ」


走るカボチャの群れを追い回す人々!


「そう、ハシリカポンキ捕獲大会だ!」


「ふむ、我がこの前貰ってきた物より大きいな」


ラスボスの言う通り、以前彼の貰ってきた物は普通のカボチャサイズだったのに対し、今見える物は小さい物でも直径一メートルはありそうです。

ましてやそれが二本足で立ち上がって見た目以上に速く走り回っているので迫力満点でした。


「まあ、あれは競技用だからな」


「なるほどな」


「あれ、参加希望ですか?よろしければ私が受付しますけど」


二人が話しているところへ、腕章とリュックを身につけたこの大会のスタッフらしき食人植物の魔族がやってきました。よくゲームとかに出てくる歩く巨大ハエトリグサみたいなアレです。


「おう、よろしく」


「はいはい、ではお名前をお伺いしますよ」


「俺はラーク・ワイジアス」


「我はラスボスだ」


「えーと、ラーク・ワイジアスさんと、ラスボスさんね。ルールはわかってます?説明聞きます?」


「あのカポンキを捕まえればいいのだろう?」


「うん、そうなんだけどね、他にも制限時間と」


「必殺割愛カンペボード!はいドーン」


話が長くなりそうなのでラークさんによって文字の書かれた白い石版が出現しました。


"ルール(これをやれ!)

・ハシリカポンキの実を一個だけ捕まえる

・主に捕まえたカポンキの大きさ、重さ、養分の多さそれぞれのベスト3をかけて競う

・あまり目立たないが小ささ、軽さ、形の美しさ、形の面白さのベスト3もある


注意(これ破ったら反則で失格!)

・制限時間は一人一時間

・参加は一人一回のみ

・二個以上捕まえてはならない

・走り出していないものを捕まえてはならない

・捕まえる時は素手でなくてはならない

・カポンキを故意に傷つけたり破壊したりしてはならない"


「一応補足しとくと、養分の多さってのはハシリカポンキの生態に関係してるんだ。動くにはエネルギーを必要とするから、奴らが走れば当然エネルギーを消耗していく。まあ要するにあんま走ってない奴ほど養分が多いってことだな。制限時間と参加制限、走り出してない奴を捕まえちゃいけないのもその関係だ」


「ありゃ、説明役取られちゃいましたな」


「なるほど、大体わかった」


「よっしゃ、じゃあタイマーくれ」


「はいはい、えーと、あなた達は人形だから…この冠型で大丈夫ですかね」


そう言って食人植物はリュックから金属製の輪っかを二つ取り出しました。


「おう、問題ないぜ。ほれお前のやつ」


「うむ」


「ああ、着けた瞬間からカウント始まりますんで気をつけてくださいね。タイマー鳴ったらあそこの受付にカポンキ預けてタイマー返却してください。捕まえたカポンキは大会が終わったら持って帰ることもできるんで、もしご希望なら収穫祭終了後一週間以内に申し出て取りに来てください」


「おうわかった」


「うむ」


「それじゃ、頑張ってくださいね~」


話を終えると食人植物はまた別の人の所へ行ってしまいました。

それを見送り、二人もすぐ冠型タイマーを付けて開始します。


「で、どうすっかな~…」


「む?お前にしては大人しいな」


勝負事なのでいつものように熱くなるかと思いきや、案外冷静なラークさんにラスボスが不思議そうにそう言いました。


「まあな~。やっぱやるからには一番になりたいけど、さっき見せたルール通り制限があるからな。良さげなやつがあっても参加時間内に動かないかもしれないし、逆にもう早い時間に優勝クラスが取られてるかもしれない」


「なるほどな…ふむ、変わった形というのもありだったか」


辺りを見回していたラスボスが一点で目を留め、そう呟きました。


「ああ。何か見つけたか?」


ラークさんもつられて同じ方へ視線を向けるとそこには、


「…普通のカポンキじゃね?」


ごく普通サイズのカポンキがありました。否、普通のに比べると一回り位は大きく人間の頭ぐらいはありそうでしたが、一メートル超えがゴロゴロ存在する中にあっては異質な小ささでした。


「いや、あれは普通のカポンキではない」


「…確かに妙な魔力の質だが、うーん…まあお前がそう言うなら何か面白い奴なんだろうな」


そうして、二人はそのカポンキを挟んで向かい合いました。


「何だ?あの二人、何を見てるんだ?」


「片方すげえマッチョだな」


「人間…じゃあねえよな…珍しい魔族か?」


「ま、まままっ、ままっ、まままままさか…まさかあああああ!!!おお…主よ…我らが主よ…!生きている内にお目にかかれるとは、光栄の極みでございます…!!ははーっ!!」


「何で土下座してんだこいつら」


「わざわざご降臨なさってこんな僻地にまでお出でになられたのだ、あのカポンキにはきっと世界の命運を左右する程の何かがあるに違いない」


「いや、かの大賢者が奪う姿勢を見せているのにそれをお許しになっているという事は、おそらく競う事自体に何か儀式的意味があるのだろう」


「あれ…あそこにいるの、ラーク・ワイジアスじゃん!?」


「マジ!?うおー本当だ、なんか変な筋肉と一緒にちっこいカポンキ睨んでるな」


「あのラークが狙ってるんだ、あれは何か特別な代物に違いない」


「あれゲットできればラーク・ワイジアスに勝ったって言いふらせるぞ!!」


「ラーク様の夢中になってるカポンキ…つまりあれを取ればもはや結婚したと言っても過言ではない」


「過言だろ」


「この戦いに参加すればあのお方に認めていただけるというのは真か!?」


「あれ取ったらラーク様と結婚できるって本当!?」


「世界を牛耳る事ができる宝というのはあれか!」


「あのカポンキがラーク様…つまり実質…フフフ…○ックス!」


「やめないか!」


そうして、いつの間にか二人の周りには多くの人々が集まっていました。


……おや!?カポンキのようすが……!

(ここからBGM)


「おっ!?何か動いてるぞ!」


「何だ何だ」


「ステイッステイッ、まだだッまだだッ」


「ああっ、ラーク様のアレがピクピクしてる…」


「ラークゥ!逃げルルォ!!」


(BGM)

おめでとう!カポンキh


「今だ掛かれぇ!!」


「敵はカポンキ畑にあり!」


「今だ行けっ!ゴーゴーゴー」


「「「うおおおおおおお!!!」」」


ゆらゆらと揺れていたカポンキが突如地中から飛び出し、同時に人々が一斉に飛び掛かりました。世はまさに大カポンキ時代。


「って何だあれ!?」


「うおっ!?」


しかし、人々は一瞬驚いて動きを止めました。それもそのはず、


「足が四本…いや、全身がある!?」


そう、足どころか蔓でできた腕も胴体もあったのです。見た目は丁度カポンキが頭になっていて、さながら伝承通りのジャックオーランタンでした。とはいえ元はカボチャじゃなくてカブだったり、そもそもカブでもなくて頭蓋骨だったりするらしいですがそれはさておきます。

しかしそれも束の間、大多数が動きを止めているのをこれ幸いと、一足先に我に帰った人々がジャックもどきに飛び掛かりました。


「今がチャンス!」


「今でしょ!」


「いいんでしょうか!?」


しかしジャック(仮)もそのまま大人しく捕まりはしません。細身の体でひらりひらりと全てかわしてしまいました。


「くそっ、対して速くもないのに何で避けられる!?」


「そうだ頭!頭を狙えばいいのよ!流石にカポンキ部分は重くてあんな動きはできないでしょ!」


「なるほどお前が天才か!」


「グハハハハ!バカめ、敵に塩を送るとは!やはり獣人の自称ドラゴンなぞ二流、いや三流のトカゲよ!あいつは俺様が貰ったあああ!!」


「あ!?ふざけんじゃないわよデカブツ、抜け駆けすんなー!!」


そうして第二陣がジャック(仮)の頭を狙って突撃しました。ジャック(仮)も途中までは何とか避けていたものの、次第に動きが追い付かなくなり追い詰められ、そして、


「俺様の勝ちだあああ!!」


「やらせるかあああ!!」


ボスンッ


頭 (カポンキ)が飛びました。


「「えええええええ!?」」


互いに正反対から飛び掛かっていたため、間にいたカポンキがいなくなって自然と向かい合う格好になった二人。メトメガアウ-


ぶちゅー


「おえええええええ!!」


「おい何だその汚いものに触ったみたいなリアクションは」


「ったりまえでしょ!?あたしのファーストキスだったのよ、それがあんたみたいなのに…!」


「グハハハハ、ドラゴンにはそんな文化なぞないからわからんな!ホ・ン・モ・ノ・のドラゴンにはな!」


「うっさい!責任取りなさいよ、私のファーストキス返して!」


「どうやって!?」


「うるせーくそどもがっ!俺の目の前でイチャコララブコメってんじゃねー!!"エクスプロージョン"ッッ!!!」


ズッドゴボオオオンッッッ


「「「ぬわああああああああぁぁぁぁ!!!」」」






爆発地帯を脱出したカポンキは、すぐにまた蔓の体を再生させて鬼ごっこに興じていました。


「ぬおおーちょこまかと!」


「確保ーっ!」


「カポンキのくせに生意気だぞ!」


「ノンノン、何をおっしゃるrabbitさん。私はただのカポンキではなくてハシリカポンキだよ?動き回って当然じゃないか」


「うるさい、オイラは兎じゃなくて猫の獣人…あ?誰だ今の言ったの」


「誰って、もちろん私さ、kittenちゃん?」


ジャック(仮)が喋りました。


「キエェェェェアァァァァシャベッタァァァァァ!!??」


「うぉらあ!」


「あらよっと」


「チェストー!」


「オーレィッ!」


相も変わらずひらりひらりとした身のこなしな上に、謎のかけ声まで加わったジャック(仮)。


「背中ががら空きだぜぇっ!」


「ざぁ~んねん。私はeyeで見てる訳ではないから全部わかっちゃうんだなぁこれが」


「クッッソ!!ふざけてやがって!動きが腹立つのにおちょくった言い回しまでするんじゃねぇ!」


(ファ○チキplease)


「こ、こいつ…直接脳内に…ってちげーよ!声出さなきゃいい訳じゃねぇよ!しかも何か知らねえけどちょいちょい単語がうぜぇ!!」


「これはこれは、この私のstylishな話し方が受け入れられないなんて、野蛮な牛君だねぇ」


「おっっ前ぇぇ!牛とミノタウロス一緒にするんじゃねぇぇぇぇ!!ブルモォォォォ!!」


妙に気取ったような話し方のジャック(仮)に翻弄され、ミノタウロスの魔族が見事にキレました。


「牛じゃん」


「あんだとお前も敵じゃあぁぁぁぁ!!」


「にゃんと!?」


「"エンチャントフレイム"ゥゥゥ!!お前らのその腹立つ尻尾と蔓を焼き切ったるわあぁぁぁぁっっ!!!」


ミノタウロスの炎を纏った拳が猫獣人とジャック(仮)を追いかけ回し始めました。


「ハハハッ、楽しいねkitten君!」


「うるせえちっとも楽しくないにゃあ!?ていうかおめえのせいだし!」


「ごちゃごちゃ言わんで死ねぇぇぇぇ!!」


炎の拳が猫獣人に迫る!


「うおおお巻き添えで死んでたまるかぁっ!!」


猫獣人が丁度ジャック(仮)を盾にできるような位置へ勢い良く飛び出す!


「「「イヤーッ!」」」


ジャック(仮)が3人に分身する!


「アイエエエ!?」


「あっぶねぇぇぇ!?」


炎の拳はそのまま猫獣人の陰になっていたジャック(仮)の胴体を貫き、猫獣人は間一髪で跳んでそれを避けました。ジャンプ力ぅ…ですかねぇ…


「い、一体どれが本物なんだ!?」


「やったか!?」


胴体を失った頭部(※カポンキ)はゴロゴロと転がって行き、別のジャック(仮)の足に当たって停止しました。そしてそのままリフティング。サッカーやろうぜ!お前ボールな!


「「「regretだったね、全部本物さ」」」


「「何でやねん!」」


ガシッ


「「「あれ?」」」


突如何者かに両脇から頭部三つを纏めてホールドされたジャック(仮)。


「ふん!」


「あらぁ~っ!?」


バスンッ


そのまま締め上げられたかと思うと、鈍い音を立てて一つのカポンキに戻りました。ジャック(仮)は宙吊り状態でぺたぺたと自身を締め上げる筋肉を触りました。


「Oh…ナイスmuscle。なんて熱烈なハグだ、私の負けだね」


「ふっ、勝ったな」


ラスボスでした。ラスボスの勝利です。


ボコッ


「くっそ一歩遅かったか!」


一足遅れて地面からカポンキを背負ったラークさんが生えてきました。


「ふむ、諦めて別のを見繕ってきたか」


「まあな…にしても人混みのどさくさで時空間がランダムループ状態のパラレルワールドに閉じ込めてくるとは思わなかったぜ」


「そういうお前も我に幾重にも呪詛と封印をかけて異次元に追放するとはなかなかやるではないか」


肝心のこの二人の姿が見られなかったのは、裏で超次元バトルが繰り広げられていたせいだったようです。


「…あれ?何か焦げてる匂いしない?」


ふと誰かがそう呟きました。

つられて皆も視線を上げれば辺りには立ち上る煙。

煙の発生源を求めて視線を向ければ、轟々と燃え上がる炎。

天高く瓜燃ゆる秋。


「「「か、火事だあぁぁ!!」」」


「い、一体どこから!?」


「誰か心当たりは…」


~回想~


『うるせーくそどもがっ!俺の目の前でイチャコララブコメってんじゃねー!!"エクスプロージョン"ッッ!!!』


『"エンチャントフレイム"ゥゥゥ!!お前らのその腹立つ尻尾と蔓を焼ききったるわあぁぁぁぁっっ!!!』



「「「……」」」


皆の視線が一人に集中しました。


「…フヒュー、フヒュー♪」


火の粉の爆ぜる音の中でもいやに響き渡る下手な口笛。というか吹けてません。


「「「……」」」


視線は冷たいが。


「○ウォーム~は~暖かい~♪…はっ、しまった!」


「「「お前のせいだあぁぁぁ!!」」」


「い、いやいやいや待て!待て!!爆破魔法は俺じゃないぞ!」


「黙れビフテキ!」


「片方はお前だろうが!」


「このチャーシューめが!」


「そんなだからお前はA5の黒毛和牛になれないんだ!」


「あんだとチャーシューは豚肉だろうが!?」


「他にもつっこむところあったよなおめえ!?」


喧嘩がヒートアップしそうになりますが、その間にも畑はどんどん燃えていきます。


「そうだった!とにかく消化活動と避難誘導を!」


「私は見習いだが消防士だ!まずあなたは私のこの勇敢な姿を絵に」


「やっとる場合か!というかあんたさっきは医者だっつってたよな!?」


「ま、待てぇ!誰かそいつを止めろー!!」


「リア充死すべし"エクスプロージョン"ッ!リア充消毒"エクスプロージョン"ッ!!"エクスプロージョン"ッ"エクスプロージョン""エクスプロージョォォン"ッッ!!!」


「まだいたのかよそいつ!?」


そうして、リア充爆破おじさんが謎の魔王風ガンマンに討伐されたり水を纏った金だらいの雨が降ったりしましたが、一先ず大会は無事に終了しました。

ラークさんは養分部門で優勝、ラスボスは色々特殊すぎるため急遽設けられた特別賞でした。

これにより大きな話題を呼びつつも、祭りも無事に終了したのでした。

めでたしめでたし。



骨じいさん「無事とは一体、めでたいとは一体」

~恒例蛇足の世界観説明コーナー~

・ハシリカポンキ

魔界、特にロイトヤルデン魔王国の特産品である野菜の一つ。カポンキとは我々の世界におけるカボチャのことであり、このカボチャはその名の通り走る。二本の蔓の足によって走り回るが、魔王国で品種改良されたものは歩くだけのものから適度に走り回るものまで様々。しかし野生のものは動物のチーターばりの恐ろしい速度で走り回るため、秋には人や魔物との衝突事故が絶えない。食材としては栄養価が非常に高く、とても美味。

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