この話、去年投稿し損ねたものにつき
お久しぶりでございます!前にも何度かお久しぶりとか書いてあったとか思ってる方、それはきっと気のせいです!
それと念のため言っておきますが、前回は単なるエイプリルフールネタとしてラスボスさん達に一芝居打ってもらっただけなので別に最終回でも何でもないし、登場人物の人数とか関係性も特段変わってません。
少し過ぎてしまいましたが、ハロウィンの時期ですね。もちろん数週間過ぎただけであって、1年と1ヶ月ぐらいも遅れたなんてことはありません。ええもちろん。そんな馬鹿な話がある訳ないじゃないですかハハハ(ry
ラスボス城から東へ遥か遠く。
世界で今盛り上がってるのは何祭り!?inロイトヤルデン魔王国!
「という訳で何かないか」
「ぎやああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
唐突に目の前に筋肉魔人が現れたことで魔王城の執務室に骨じいさんの絶叫が木霊しました。
ゴンッガタッ
「いてぇっ!」
バサバサバサドサッ
「ぬわああああああぁぁぁぁぁぁ!」
そのまま腰を抜かし執務机に頭をぶつけ、その拍子に机の上にあった紙の山が崩れ落ち埋もれました。実に見事なリアクション芸でした。作者的にもとてもおいしいです。
ガバッ
「やかましい好きでやっとるんじゃないわ!?そんであんたはいきなり目の前に出てくんな!?」
「ふむ、では次回は何かしらのエフェクトを考えておこう」
「違うそうじゃない!ワシからもう少し離れた位置に出てこいって話じゃ!目の前に出てくるとか心臓に悪いにも程があるわ!」
「あれ、心臓なんてあるんですかあなた。骨ですよね?」
ラスボスと骨じいさんが言い合っていると、そこへ魔王少女がやってきてそう言いました。
「うん?もう忘れてしまったか。まあ、この世界の住人であっても困惑する者はおるしなあ…魔物の存在しない世界から来たとなると尚更慣れんか。いいか、もう一度説明するぞ、魔物と魔族というのは外見で見分けがつきにくいものも多いが、まずその最大の特徴は魔力の性質と波長が」
「手短にお願いします!」
「あーわかったわかった。魔物と魔族は別物。同じアンデッドでも魔物は死んでる。魔族は生きてる。以上」
ちなみにアンデッドと似たようなものにイモータルというものがありますが、アンデッドはかつて生きていた存在が既に死んでいるにも関わらず動いているものであり、よく邪悪なものやモンスターとして扱われるのに対し、イモータルは不死者、そして神という意味もあり、どちらかというと超越者という意味で扱われるようです。
そして綴り自体も前者はundeadで単にdead(死)を否定しているのみ、生きてはいないが動いているので死んでいるとも言い難いという状態を示しているのに対し、後者はimmortal、mortal(死ぬ運命)を否定しており、死ぬことがない、不死身という状態を表しています。
要はアンデッドがよく想像するようなスケルトンやらゾンビやらのような所謂動く死体、イモータルが宇宙に放逐されて考えるのを止めてしまう究極生命体のような不死身の存在という訳ですが、この作品の魔族のスケルトンやらゾンビやらは普通に生きてて死ぬ時は普通に死ぬのでどっちとも言えねえという何ともいえない存在です。
つまりこんなに長々と説明したのにこの作品を読む上では何の意味もありません。
やったね皆さん!無駄知識が増えるよ!!
「なるほどわかりやすい!」
「そうかそりゃよかった。でな、実は遺伝子もほとんど一緒じゃから、魔族は魔物から進化したという説が当然有力なんじゃが、そうなると非生物であるゴーレム系やアンデッド系はどうなるのかというと、そもそも魔物のゴーレムとアンデッドはどちらも精霊が」
「あ、それ以上いらないです」
「そうか…」
「で、そんなに書類ばらまいて何遊んでるんですか?私の役目は印鑑押すだけですけど、それでも数があると大変なんですから。次の書類どこにあるんですか?…そういえばあなたの心臓ってどこにあるんですかね、気になるので殴り崩して探して」
「わー待て待て待て!せめて後進の育成が終わってから…って違う!ワシのせいじゃない、かくかくしかじかでな」
「ふーん、でも結局あなたが過剰にビビったせいなんじゃないですか?そんなんじゃ魔王補佐クビですよ?」
「いやお前さん、こいつの物凄い力感じるじゃろ…こんなもん目の前にいきなり出てこられたらいくらなんでもビビるわ」
わかりやすく言うならリサイタル中の某ガキ大将がいきなり目の前に出現するようなものです。
ボエ~(放送事故)
「そうですかね?でも私と師匠は剣と筋肉で語り合った仲ですから!あ、今さらですがこんにちは」
「うむ、変わりないようで何よりだ」
「あの師弟関係まだ続いてたの!?」
「ふむ、しかし要はこの紙の山をさっきのように戻せばいいのか」
先ほどの魔王少女と骨じいさんのやりとりを聞いていたラスボスがそう言った瞬間、
「は?」
骨じいさんの埋もれていた書類の山が一瞬にして音もなく、先ほどと寸分違わず机に積まれました。まるでゲームのデータがリセットされたかのようでした。
ハ○パームテキさえいなければァァ!
「魔法ですか?」
「いや、魔力は感じんし何が何だか、たぶんスキルか…?もうこいつについて深く考えるのはよそう…って何持ってきてんの!?」
骨じいさんが魔王少女が右腕に抱えている物を見てそう言いました。
「ああ、さっきここに来る時に廊下歩いてたの見つけたので」
「なんじゃとぉ!?はあ…収穫班の奴、誰かしくじりおったな…」
「む?何だそれは?」
「あ、これですか?これは―――」
「それがこれ、ですか」
「そうだ」
所変わってラスボス城玉座の間。
会話するネモフィラさんとラスボスの視線の先には、
「ピィー!」
「まてまてー!」
ぱしっぱしっぱしっぱしっ
スピィさんとらすぼすくん人形に追いかけられながら、カボチャが歩いていました。
嘘でも誤字でもありません。実の下部から細いツルのようなものを束ねた二本足を生やして、皮がオレンジ色のカボチャが歩いていました。
らすぼすくんがとてとて歩き、スピィさんがスライム形態でぽてぽて動いて追いつくレベルなのであまり速くありません。
「おっ、ハシリカポンキか」
ラークさんが現れてそう言いました。
「!! だからいきなり出てこないでください!?」
「冒頭でラスボスもやってただろうが。慣れろよ。しかし今の時期これといえば、ロイトヤルデンを思い出すな」
「そうだ。丁度その話でな」
ラスボスはそう言うと、小さなテーブルを取り出してその上に紙を数枚置きました。
それらを見たネモフィラさんが、一番上の紙にでかでかと書かれた文字を読み上げました。
「ロイトヤルデン、秋の収穫祭…?」
「おおそれそれ!うん?今年はカポンキがメインか、へー…あ、もしかしてラスボス、お前行く気か?それなら俺達も行くから案内してやるよ!」
そして収穫祭当日。
ラスボス、ネモフィラさん、竜王、スピィさん、デリィさん、ラークさん、ブランさんはロイトヤルデンの首都ノブミドを訪れていました。
ちなみに例の村人達も何人かついてきましたが、さっさと自由行動しています。
まずラークさんとブランさんの案内であちこちを観光しつつ、屋台や出店、露店を回っていきました。
余談ですが屋台と出店、露店は全て別物であり、それぞれ簡単に言うと移動可能な店舗、臨時で出る店、道端でござや台の上に商品を並べて売る、という違いがあるそうです。でも祭りで出てる店は大抵臨時店舗だと思うので全部引っくるめて出店でもいいと思います。
ここでどうしても言いたかったので一言。
ご
「ござでござる!」
「何言ってるんですかラークさん!?」
…そんなこんなで各地を回って行ったラスボス一行ですが、人外率が高いメンバーながらもここは魔族の国。道行く人々の姿も多種多様で、人間から大きくかけ離れた姿の者も少なくない中、見た目は人間に角や翼等が付いた程度の彼らはさして目立たず、何事もなく観光を楽しみました。
「うわ、ラークとブランのカップルパーティだ…リア充爆発しろ」
「何ぃ!?おお、マジだ…見ろクソガキ、あのラーク・ワイジアスがいるぞ…はあ…側妻でいいから俺の夫になんねえかな…」
「うるせえ誰がクソガキだ、それより皆のアイドルブランちゃんを忘れんなこの万年独身ロリババア。てめえみたいな骨董品がブランちゃんに並んでラーク・ワイジアスの妻になんぞなれるもんか、どうせなら少しは可愛げなり色気なり痛い痛い痛い痛い!?」
「おぉ…ありがたやありがたや…神様がうちの商品をお買い上げくださるとは…くうぅ、ずっと僧侶やってて良かったっ!」
「幼女神とか某最高ですぞ、舐め回すように見つめたいというか実際に全身舐め回したいというかハァハァ」
「…うちの店の前で、その上あの神々にそのような煩悩まみれの下賎な視線を向けるとは何たる無礼者か!!この私がきっちり成敗して成仏させてくれるわっ!"ジャッジメント""ジャッジメント""ジャッジメント""ジャッジメント"ォォォッッ!!」
「おっほー!この程度の弾幕、某には止まって見えますぞぉ!」
「うわこっち来んなやめろ!俺ゾンビなんだよ聖属性はあああぁぁぁぁ!?」
「み、見ろよ、竜王様方だ、しかも黒の一族の親子だぞ!やっぱ俺らリザードマンにとっては永遠の憧れだわ…はあ~」
「ハッ、黒の一族より紫の一族だろjk。力こそパワー、それこそがロマン!っていうか黒の一族って竜王の中で最弱だろ」
「あんた本人達の前でよくそんなこと言えるね、敬うべき竜王様であるのは違いないのに…それに今代の黒の一族は逆に最強だって名高いよ、ボロが出たな時代遅れの懐古厨」
「何だとこの小娘、しかも獣人の分際で!てめぇらなんざただのコスプレ羽トカゲだろうが!」
「はあ!?獣人だからって馬鹿にしてんじゃないよ、そんなに理解できないなら身を持ってわからせてやるよ!」
「やろうってのか、雌のくせにいい度胸じゃねえか!俺ぁドラゴンだぞ!そこのリザードマンみたいなただのトカゲと違って翼も体格も威厳もあるんだよ!」
「何で俺ディスられてんの!?っていうか待って俺挟んで向かい合わないで落ち着いて話せばわかる待って喧嘩イクナイ平和一番デスネイヤアアアア!!」
「あ、あああああああ、おっ、おお俺は精霊使いだからわかるっ、うう、うちの精霊達も騒ぎっぱなしだ、あっ、あの、あのお方は、きっとっ、いやっ、ま、まままま、間違いなくぅっ、オ、オリ、オリト、あああばばばばばばば」
「セ、セレンー!誰かー!衛生兵ー!この中に医者はいないかー!?」
「まだ医者見習いだが応急処置はできるぞ!少しこの辺りから離れてスペースを!とりあえず魔術でもスキルでも何でもいいから回復手段使える方は出てきて!あなたは衛兵を呼んできて!そっちのあなたは私を応援して!そこのあなたは私の懸命な人命救助シーンを全力で絵に描いて!そちらのキュートなお嬢さん、後でこの超絶イケメンにして未来のスーパードクターの私と食事に行かないかい!?」
「後半いらねえ!?」
何事もなく観光を楽しみました。
そして一通り都内を回った後、彼らはそれぞれ自由行動となりました。
「それじゃ、私達はお菓子作り教室に参加してきますぅ」
ネモフィラさんとブランさんはお菓子作り教室へ、
「ワシゃ子守りか…まあ仕方あるまい」
スピィさんとデリィさん、竜王は引き続き店巡り。
「という訳で俺とラスボスはあれしかないな!ラーク!あれを見てみろ!えぇ~!」
そこでラークさん達が目にしたものとは!?
つづくつづく。
~恒例蛇足の世界観説明コーナー~
・獣人と魔族
獣人といえば広く一般には二足歩行か人間の骨格を持った獣がイメージされるが、この世界ではそういった存在は魔族に当たる。この世界の獣人はラノベにありがちなケモ耳系である。魔族は大半が魔物とほぼ同じ姿をしているが、理性的で人間と同じ言葉を話し、直立歩行するという特徴がある。例えば、すっごーいのは獣人、サイアクなめにあわせてくるのは魔族にな…うわなにをするやめ




