最悪の出会い
数分遅れましたが、本日二話目です!
洸希の魔法の赤い光が、彼女にも見えていたのだろう。
洸希の横をほぼ垂直に横切るかと思われた彼女と彼女を追っている後ろの影は、90度向きを変えて洸希の方に走って来たのだ。
「え、えぇぇぇ~!」
洸希はそう叫ぶしかなかった。後ろの影を見た瞬間、只事ではないと悟った洸希も、一目散に走る。
「あ、待ってよぉ~」
その洸希の後ろから彼女が全速力で走って来る。
傍から見ると異例の鬼ごっこだろう。否、”ごっこ”ではない。
しかし、洸希よりも彼女の方が足が速いようで…。
「んな! ちょっと! 抜かすな!!」
死にもの狂いで絶叫する。
やがて後ろの影の正体が分かった。そう、鷹だ。しかし、明らかに尋常なオーラを放っており、一目見ただけでモンスターだと分かる。そのモンスターの集団の先頭のリーダーと思わしき鷹に魔法を放つ。
『【下位魔法:思想魔法・雷】電撃!』
咄嗟のその魔法は黄の塊になり、真っ直ぐそのモンスターに飛んで行った。
そして直撃。バンと響く音が鳴り、その集団は急ブレーキをした。倒したかと思った矢先、そのモンスターは軽く頭を振りグウォォォと咆哮を上げ、またもや追いかけてきた。
「えぇぇ!」
てっきり撒いたと思った洸希は度肝を抜かれ、また全速力で走る。ダメージは大きく入った筈だが、そのモンスターは諦めなかったのだ。
「火力不足ね…大鋭鷹達は雷属性が苦手な筈だから、どんどんぶっ放しちゃって!範囲魔法とかできる?」
どうやらあのモンスターは大鋭鷹というらしい。
「多分…」
パッとしない返事をし、早速魔法の発動に入る。…が、
『【上位魔法:思想魔法・雷】落雷!』
《MPが不足しています。90/50》
どうやら合計で既に100を使ってしまったらしく、あと40が足りなかった。
「MPが足りない!」
「どのくらい?」
洸希がMPが足りないことを伝えると、彼女は切羽詰まった声で聞いてきた。
洸希も素早く40と答える。
すると…。
「じゃあこれ飲んで!」
そう言われ渡されたのは小瓶に入った謎の緑の液体。
疑いはしたが、そうは言ってられない。洸希は見知らぬ彼女を信用し、一気にぐびっと飲み干した。そしてもう一度詠唱する。
すると今度はMPが足りないという警告文は現れず、対象の上空に分厚く薄暗い雲が出来始めた。
次の瞬間!
ドゴオォォォォン!ドゴオォォォォン!
轟音が鳴った。
そして、洸希と彼女を追っていた鷹のモンスターは…全滅した。
短編小説を執筆するため、来週の投稿はお休みさせて頂きます。