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守り人は眠らない  作者: ボノボの親戚
序章 巣立ちまで
1/18

序章(一) 居眠り

 アスラは精霊の木の根元に腰かけていた。

 時間は昼を少々過ぎたくらいであろうか。

 太陽が真上に踊り、熱線をなげかけている。

 眼前に鬱蒼(うっそう)と茂る巨大な木々は、陽の光を一杯に浴びてとても機嫌がよさそうである。

 アスラも木漏れ日の作る斑模様(まだらもよう)に若干目を細め、


 (ああ、どんなに年を取っても、ここの心地よさだけは変わらぬなあ)


 と、顎の髭を(しわ)がれた手で一撫でした。


 陽に当たるというのは、植物や獣、果ては人間に至るまで、この世に生きる万物が本能的に好む行動だ。

 それは老いた爺も例外ではない。

 森の深奥に位置するこの広場で日向ぼっこに興じるのは、アスラにとって一種の命の洗濯であった。


 (はて、随分葉が落ちたな…)


 アスラはそんなことを思うと、背を預けている精霊の木の幹を優しく撫でた。

 辺りの地べたには、相当数の枯れ葉が落ち沈んでいる。

 尋常な量では無い。

 折り重なった落ち葉によって、辺りは茶の絨毯で包まれたかのような様相を呈している。


 (そろそろお互いにお迎えが来ますかな、精霊様) 


 アスラは、背後の木に向かって心中でそう話しかけた。

 精霊様とはこの木の俗称である。


 精霊の木。

 それがこの背後の古木の名前である。

 精霊が宿ると言い伝えられた霊木だ。

 島民はしばしばこの木のことを精霊様と呼んで親しんでいた。

 樹齢は四千年とも五千年とも聞く。

 アスラら戦士達は、この木を守るのが唯一の使命であった。


 辺り一面の枯葉を見れば一目瞭然であるが、精霊の木は元気ではない。

 巨大な枝にはもっと多くの葉が付いていてもいい筈なのだが、ごっそりと抜け落ちている。

 それが落ち葉となっている。

 幹もボロボロである。

 亀裂が入った所や樹皮が削げ落ちた所が目立ち、痛々しい。

 周りの青々とした木々と比べると、格段の差だ。

 何も、始めからこうだった訳ではない。

 ごく最近こうなってしまったのだ。


 果たして、やんわりと木を見上げるアスラの胸に強烈な不快感が走ったのはその時であった。


「っ……ゴホッ、ゴホッ!」


 アスラは(たま)らず咳き込んだ。

 肺の辺りに激痛がある。


「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ!」


 焼けつくような痛みが一呼吸ごとに走り抜けた。

 病の発作である。


 アスラは重い肺腑の病を患っていた。

 六十過ぎになってから罹った病である。

 今まで数々の薬草を試みたが、成果は芳しくなかった。

 病の侵攻はかなりの末期である。

 稀に喀血するようなこともあるのだ。

 特に最近など、鎮痛の効果がある薬草を含まねば、まともに動けぬような有様なのである。

 近日中に逝くことはほぼ間違いなかった。

 余命など、数える程残っていない。


「ふう…」


 少しばかり咳き込んだのち、発作は治まった。

 とはいえ、アスラの顔色は優れない。

 額には脂汗が浮かんでいる。


 果たして、アスラがここに居るのも病状が末期であることが端を発していた。

 アスラは自分の命が尽きようとしているのを感じ、わざわざ精霊の木に(まみ)えに来たのだ。

 死ぬ前にもう一度ここへと来たかったのである。

 最近はめっきりこの広場へと足を運ぶことがなくなっていたのだが、今日は幾分具合がよく、天候も優れていたため、こうして足を運んだのだ。


 島の人々にとって精霊の木とは、(まさ)しく宝だった。

 それは、一島民のアスラにとっても違いはなかった。

 故に、生涯の全てを掛けて守ってきたのである。

 …が、見ての通り木を守ることは叶わなかったのだ。


 精霊の木が枯れてから、既に二年の歳月が過ぎようとしている。

 美しかった霊木は枯れ果て、今にも朽ちそうである。

 もう木を守る必要はないのかもしれない。

 しかしながら、アスラは木を守り続けていた。

 何故かといえば、果たして何故なのであろうか。

 精霊の木とは長い付き合いであるし、死に損いの爺が他にやることを見つけるのも至難だ。

 そんな理由であろうか。


 (が、それも、そろそろ潮時か……)


 病を患ってから四年程になるが、そろそろ限界が来ている。

 本当の終わりが近づいているのだ。

 日に日に、死が歩み寄って来るのが鮮明に分かる。


 精霊の木をただひたすらに守り続けて、六十余年。

 つまらぬことも、辛いことも、沢山あった。

 だが、悪くない人生であったと思う。

 愛する家族が居た。

 信頼できる仲間も居た。

 幸せだった。


「おれも年を取ったな…」


 と、アスラは苦笑いを零した。


 近頃といえば、過去に思いを馳せることが多い。

 あるいは死ぬ前の走馬灯のようなものかもしれない。


 過去を美化する訳ではないが、確かに昔は良かった。

 今思えば、すべてが輝いていたように思える。

 あっという間に過ぎ去ってしまったが、それもまた人生なのだろう。


 穏やかな風が吹き、アスラは(おもむろ)に空を見上げた。

 宙を舞う枯れ葉の向こう側には、爽やかな晴天が広がっている。

 空の色は何時も変わらない。

 深くて綺麗な青色だ。


 昔だってそうだった。

 遠い、遠い、昔だって――。




 ♦




 島の戦士たちの役目は、精霊の木を守ることだった。

 島の歴史書に書かれている範囲では、少なくとも四千年以上この木を守り続けているそうだ。


 島の子供は、皆小さい頃から何らかの武具を持たされる。

 それは、剣であったり、槍であったり、斧であったりする。

 皆、自分の両親の武具を受け継ぎ、守り人として修行をするのだ。


 アスラの場合は剣であった。

 父であるアンラは、戦士のなかでも指折りの強さを誇る豪傑(ごうけつ)で、剣の達人だった。

 アスラは父の背中を見ながら育った。

 母は物心がつく前に死んでしまっていたので、当たり前といったら当たり前な育ち方だ。

 父は、アスラが三歳の頃から剣を握らせた。

 アスラの方も、特に嫌がることなくこれを受け入れた。

 いつも父の真似をして剣を振って遊んでいる、そんな幼少期を過ごした。


 アスラが精霊の木を初めて見たのは十歳の時だった。

 木は島の森の奥深くにある。

 その道行には、黄虎(ピラ・バガ)赤蛇(ララサンバ)等の猛獣達の縄張りがあり、危険だ。

 少なくとも自分の身を自分で守れるようにならないと、精霊の木を見ることは叶わない。

 自分の育て親に腕を認められるのが、木を見る上での必須条件であった。


 アスラは体格こそ小さい方であったが、剣の才能ときたら右に出る者はいなかった。

 同年代の子供の中では頭一つ抜けて強かったし、稀には五歳以上も年の離れた戦士見習いに勝つこともあった。

 アスラも剣が好きであったし、鍛錬も人一倍行った。

 よって、父親アンラに僅か十歳で腕を認められた。

 これは異例の速さである。


 父に連れられて初めて見た精霊の木は圧巻であった。

 それ(・・)は、森の開けた場所にどっかりと腰を下ろしていた。

 まず、大きい。

 島の森の木々だって大きいが、アスラが今まで見て来たどんな木よりも巨大だ。

 (げん)と茂る枝葉の間を縫って光が差す様はあまりにも幻想的で、もはや神々しいといって過言ではない。

 なにより、纏う空気というか雰囲気が非常に厳かであって、なんともいえぬ存在感を放っている。

 アスラは父親に声をかけられるまで、しばらく呆然と精霊の木を見つめていた。

 それほど衝撃的であったのである。


 その日アスラは、たちまち木の(とりこ)となった。

 島の掟で、成人するまで森の奥地に一人で入ってはならぬという決まりがある。

 無論、危険な為だ。

 なので、父が暇な時はよく精霊の木を見に連れて行ってもらった。

 稀にピラバガなどとも遭遇することがあったが、父アンラが全て追い払っていた。

 やはり父は凄い、とアスラは何度も思ったのであった。



 ♢



 アスラが十七歳になった時、島に来訪者があった。

 船が一隻やって来たのである。

 アスラの知る限り、島への来訪者などなかった。

 島民達は長老の指示の下、厳重な警戒をした。

 精霊の木を狙ってやってきた(ぞく)か、侵略者の類かと考えたのである。


 が、それは杞憂に終わった。

 船は偶然流れ着いたものであった。

 船員は全部で十名おり、いずれもかなり衰弱していたが、息はあるようだった。

 島の人々は彼らを介抱した。

 侵略者などでは無いと分かったので、島の人々は彼らを快復させ、どうしたのかを詳しく聞くつもりであったのだ。


 アスラは、彼らに興味を持っていたが、それでも精霊の木や鍛錬のほうが上だった。

 ここ一年でアスラの身長は一気に伸び、体格もよくなった。

 それに伴い、剣の腕も相当な次元に達しつつあり、相手が大人であっても試合で悠々と勝利できるようになっていた。

 この所のアスラの目標といえば、父を試合で負かすことであった。

 剣を握ってからこのかた、一度も父に勝てたことがないのである。

 父は当の昔に全盛期は超えているはずだが、五十過ぎになった今でもその強さは揺るぎないものがあった。

 稀に剣を掠らせることは出来ても、倒せる、というような雰囲気ではまったくなかったのである。

 ともかく、アスラは鍛錬と精霊の木に夢中で、船のことなどほとんど頭になかった。


 しばらくして船乗り達はある程度快復した。

 ようやく歩けるようになった程度であったが、話ができるくらいには良くなった。

 介抱をしている時に会話があり、どうにも扱っている言語に違いがあることが分かった。

 が、どうにか意思疎通は可能であった。

 というのも、博学な長老が外の言語を扱えたからであった。


 島の人々は彼らと積極的に話をした。

 情報交換の結果、どうにも彼らは航海の途中で食糧不足になり、その上大嵐に遭い、気づいたらここに流れ着いていたという。

 話を聞いている内に、彼らが冒険家であることも分かった。


 島の者は航海技術など身につけていなかったので、当然島からは出たことがない。

 そのため、彼ら船乗りの話は新鮮で、とても面白かった。

 始めは、なんて事の無い情報交換をしていたのだが、途中からは彼ら船乗り達の冒険談になっていった。

 曰く、空を飛ぶ大蜥蜴がいるとか、伝説の宝があるとか、魔法がどうとか。

 島の中には、嘘だとかいう者もいたが、彼らはあくまで本気で話をしているようであった。

 どちらにせよ、島の人々は彼らを大いにもてなし、毎晩彼らの話を聞きに行った。


 アスラも途中からは、話を聞きに行くようになっていた。

 友人に誘われて一度聞きに行ったら面白かったのである。

 アスラは島を出るつもりなど毛頭なかったが、彼らのように生きるのもいいな、と思ったりした。


 船乗り達は百日以上も島に滞在した。

 陽気な彼らは島の人々とも随分親しくなり、中には島に残れ、等と言う者もいた。

 船乗りたちは武芸の腕にも憶えがあり、優しく、思いやりのある者たちだった。

 しかし、彼らはやはり海に出るようで、惜しまれながらも食糧などを分けてもらい、しばらくすると感謝の言葉を土産に島から去っていった。



 ♢



 それから、八年がたった。

 二十五歳になったアスラは、島で最強の剣士と呼ばれるまでになっていた。

 二年前に父アンラを試合で破り、名実共に島で最高の剣士となったのだ。

 その試合ときたら、激烈を極めた。

 互いに剣が折れるまで嵐のような打ち合いをし、アスラは薄氷の勝利を得たのである。

 この頃には父を意識してか、顎を撫でる癖がついた。

 何時ついたかは分からなかったが、気づいたら父の癖が移っていたのである。


 それと、アスラは婚約をしていた。

 これも二年前のことだ。

 以前から幼馴染に仲の良い女子(おなご)がいたが、互いに告白などはしていなかった。

 しかし、父との試合に勝ってからしばらくすると、意を決してアスラがプロポーズをしたのだ。

 女子の方も特に異存はなく、二つ返事で了承したのであった。

 夫婦仲は実に良好で、今では一歳になる息子も居り、順風満帆といった感じがあった。


 しかし、そんな中、再び島に船がやって来た。

 今度の船は、難破などとは一切関わりのないような頑健な造りをした船だった。

 黒塗りの船体に、燃えるような紅蓮の旗を掲げている。

 なにか不穏な雰囲気を纏った船だった。


 アスラは、島の南の海岸線にてその船を睨んでいた。

 島の戦士の中でも指折りの強さを持つアスラは、当然今回の黒船騒動に駆りだされたのである。

 父アンラも招集されており、老いても尚鋭さを失わない眼光を光らせていた。

 前回同様、厳重な警戒が敷かれたのだ。


 船から、何者かが降りて来た。

 どうにも船の持ち主、つまり船長であるようだ。

 前回来た船乗り達の話では、島の人々の格好は変わっているとの話だったが、降りて来た男もかなり変わった格好をしていた。

 変ちくりんな茶色い帽子を頭にのせ、船と同じで真黒な外套(がいとう)をだらしなく着込み、腹には真っ赤な帯が何重にも巻かれている。

 髭も、顔中を覆わんとばかりである。

 よくは分からないが、清潔さとは無縁の存在であるような気がした。


 降りて来た男は開口一番に、「この島は俺が貰った」などと言い始めた。


 相手の言葉が理解出来たのは、勉学の賜物である。

 前回の船乗りたちの一件から程なく、長老たちが外の言語を学ぶようにいったのだ。

 無論、島民全員ではない。

 島の戦士の中でも特に優秀なものがこれを学ぶ、ということになった為、アスラも否応なく学ばされることとなったのだ。

 もっとも、習得には随分の時間を懸けたが。


 アスラは男に、それは出来ぬ、と断った。

 当然の話である。

 なぜ、突然来たどこの者とも分からぬ妙な男に島を奪われなくてはならないのか。


 男はニヤリと笑うと、何かの合図だろうか手を高く挙げた。

 すると、船から一斉に人が降りて来た。

 みすぼらしい格好をした者だらけだが、手には武器が握られており、数もかなりいそうだった。

 どうにも、この男どもは賊の類に間違いないようだ。


 船長らしき男は、どうする投降するなら許してやる、などと(のたま)ったが、当然島側の誰もがそんな話など耳にいれなかった。

 程なくして、島の海岸線で戦闘が行われた。

 賊約百名、戦士三十名の合戦である。

 しばらく甲高い金属音が響いた。


 結果は、賊たちの惨敗で終わった。

 島側の被害は死傷者ゼロなのにかかわらず、賊たちは船長と戦闘員数名、水夫を除いて皆死んだ。

 戦士達は、圧倒的な強さであった。

 アスラなど十四人も斬った。

 が、驚いた事が一つあった。

 賊たちの中に妙な術を使う者がいたのだ。

 その者が手にしている杖を振りかざすと、なんと、火の玉が飛びだすではないか。

 なるほど、これが魔法か、などとアスラは思った。

 このような技術があるというようなことも、件の船乗り達が言っていた。

 魔法など、御伽噺(おとぎばなし)の中の存在だと思っていたが、実際に存在するとは驚きであった。


 その後、船長らしき男は必至で命乞いをした。

 戦士達は男から島を襲った理由を聞こうと思っていたので、現段階で殺すつもりはなかった。


 男の話を纏めると、どうにもこの賊たちは冒険家らしかった。

 男の国では、新たな島を見つけた者に大きな褒美が与えられるらしく、港町で有名になっている〈幻の島〉の噂を聞いてこの島へと舵を取ったそうだ。

 そして、ついにその島らしき場所にたどり着き、気持ちが大きくなりあのような行動に出た、ということであった。

 そういえば、前回の船乗り達は島の景色を見て感動していたし、工芸品などを貰って大層喜んでいた。

 彼奴(きゃつ)らは陽気であった故、それを自慢して言いふらすことも大いに有りうるな、とアスラは思った。

 今回の事件は、前回島に流れ着いた船乗りたちが事の発端であるような気がした。


 話を聞き終わると、男は用済みであった。

 しかし、殺したりはしなかった。

 自分の船に帰してやると、そのまま島から追い出した。

 賊に掛けてやる慈悲もないので、島流しにでもあって貰うとする。 

 亡くなった者の弔いと勝利の宴をして、今回の事件は終わりを告げた。



 ♢



 それから二十数年の後である。

 アスラは五十歳になった。

 少々老いが見えてきたが、剣の腕はますますの上達を見せていた。

 今なお、島最強の剣士という称号を持っているのが、何よりの証拠であった。


 だが、島の状態はここ二十年で大きく変わっていた。

 良い方向にではなく、悪い方向に…。


 あの黒船騒動の後、賊や侵略者の襲撃が後を絶たなくなった。

 あんな物などまだまだ序の口であったのだと痛感するはめになったのだ。

 島に訪れる船は皆一様に、低劣で、傲慢で、強欲な者たちを乗せたものであったのである。

 なんたら帝国やらとそのつど威張ったが、こちとら知りはしない。


 二十数年間の襲撃回数は百を優に超えており、その対応に追われた戦士達はだんだんと疲弊していった。

 始めはほとんどなかった戦死者も年々増えて行き、今ではそれなりの数となっている。

 賊たちの中にいくらかの手練れが混じり始めたのもその一因であった。


 これが悪い事の一つ目。

 そしてさらに悪い事があった。

 来訪者の増加に伴ってか、病が流行り出したのだ。

 その病は、戦士達の疲弊にも大いに関係していた。

 島民は、それを死班病(しはんびょう)と呼んで大いに恐れた。


 始まりは、三月六日のことであった。

 西の集落で妙な病が出たというのを耳にした。

 黒い痣のような湿疹が出る病だという。

 それ以外には目立った症状も出ないし、恐ろしい病ではないという。

 病に罹った者は、それほど縁のある人物でなかったので、アスラはお大事に程度に思っていた。

 その後、西の集落でその奇病が流行りだした。

 一週間もせずに、集落の半数の者が身体に黒い湿疹を持つようになった。

 そして、それから更に一週間の後。

 西の集落で死者が出た。

 他ならぬ、最初の患者だった。

 それからだった。

 悪夢が始まったのは。


 その病は、たちまち島中に流行った。

 そして、次々と島民の命を奪って行った。

 全身に黒い斑点が現れるのが大きな特徴で、驚くほど簡単に感染した。

 病に罹ったものは段々と衰弱していき、直に死に至った。

 死斑病の患者は、二週間から三週間ほどで命を落とした。

 血を吐く訳でもなければ、咳をするわけでもない。

 体力、生命力だけを淡々と奪っていく病魔であった。

 特効薬もなげれば、治療薬もない。

 かといって自然治癒なども期待できそうにない。

 この病の発病は文字通り死を意味しており、まるで死神のような病だった。


 幸いにも、アスラはこの病に罹患りかんしていなかった。

 単純に運が良かったのだろう。

 …しかし、現実はそう甘くなかった。

 妻との間には、二十余年間で娘が一人生まれていたが、その娘が死斑病に倒れた。

 十一才になったばかりであった。

 アスラと妻は、自らに病が移るのも厭わずに必死に看病をした。

 死斑病の感染力を考えれば狂気の沙汰だった。

 しかし、愛する我が子を死なせたくなかった。

 そんな生活が七日以上続いた。

 …が、一向に成果は上がらなかった。

 娘は日に日に衰弱していった。

 そして娘が弱りきった頃、恐れていた事態が起こった。

 今度は、妻が病に倒れた。


 娘は、妻が倒れて程なく息を引き取った。

 アスラの家族は、妻だけになった。

 息子は、数年前に討ち死にをしたていた。

 賊にやられたのだ。

 父はといえば、随分前に逝っていた。


 その後…。

 結果として、死班病は数ヶ月の内に治まった。

 特効薬などの影響ではなく、ごく自然に治まったのだ。

 力を失ったからか、はたまた別の理由か、死班病の患者は一切島から姿を消した。

 島は救われたのだ。

 しかしそれは、最悪に近い救われ方だった…。

 島には数十人程しか人が残っておらず、島は墓標だらけになってしまったのだ。


 アスラは奇跡的に生還を果たした者の一人であった。

 しかし、当の本人は全く喜べなかった。

 むしろ、絶望の淵にあったといっていい。

 あの後、妻は当然のように墓標の下へと潜ってしまい、アスラの家族はとうとう誰も居なくなってしまっていたのだ。

 親しき友も皆、(いくさ)と病で逝ってしまった。

 このような爺が生き残ってもなあ、などと言っては怒られそうであったが、事実そうであった。


 島は随分淋しくなったし、大切な家族や友人も全て失った。

 悲しくない筈がなかった。

 辛くない筈がなかった。

 それでも、アスラはしばらくすると立ち直った。

 不退転の思いがあった訳ではない。

 が、結局やることは変わらないのだ。

 剣を振り、精霊の木を守る、それだけである。

 しなしなと落ち込んでいても、意味はない。

 死んでいった者らに失礼でもある。

 これだけ悪いことがあったのだから、そのうち良いことがあるだろう。

 そんな気持ちでどうにか日々を過ごした。


 …しかし、アスラの心情とは裏腹に、一陽来福とはいかなかった。


 それから程なくしてアスラは恐るべきことに気が付く。

 それは島民達にとって、あまりにも致命的な問題となった。

 不幸はこんなものでは終わらなかったのだ。


 あくる晴れた日、アスラが精霊の木を見に行くと、その大きな葉の傘の一部が茶に染まっていた。

 昨日までは青々としていた部位がだ。

 島は常夏である。

 森に茂る木々は勿論のこと、植物全般は常に青々としているはずなのだ。

 その青が茶に霞む時は、決まってその植物の衰えを現しているのである。


 アスラは何事だ、と調べては見たが、結局理由は分からず仕舞いで何も出来なかった。


(精霊の木が枯れてきている――!)


 アスラはすぐに残った島民らに悪報を通じた。

 それを聞いた島民たちは、どうにかしようと考えを廻らせたが、名案は浮かんでは来なかった。

 薬師などはほぼ全て病でやられており、残っている者は木を治す術など知らない。

 そもそも、こういった事に詳しそうな海千山千の長老たちは全員病で逝ってしまっている。

 どうしようもなかった。


 日に日に木は枯れて行く。

 実にゆっくりとしたペースではあったが、確実に弱って行った。

 残ったアスラを含めた島民は、あらゆる手を尽くしたが、やはり何も好転しなかった。


 果たして、島民たちに諦めの色が見え始めたのは何時からだったろうか。

 何をしても状況は好転しない。

 何もしなくても、木は枯れていく。

 賊の襲撃は止むことがない。

 島民たちは少なからず参っていたのだ。



 ♢



 ある時、年若い戦士が定例の寄り合いでいった。


 ――この島を諦めよう、と。


 残った島民は、その当時三十八名。

 内訳は、年若い者が二十二名、アスラら老人が十一名、(わらべ)が五名である。

 女子供は、十人も残っていない。

 守人らに未来は無かった。


 それを聞いた歴戦の戦士らは、当然の如く激昂した。

 修羅さながらの形相で憤怒した。

 若い戦士に掴みかかり、どら声で吠えた。


 ――貴様、ふざけているのか、と。


 確かに、解せぬ発言である。

 戯れでいったのだとすれば、人間性を疑うだろう。

 しかし、若い戦士の目は真剣そのものであった。

 僅かに震えている(からだ)が、真摯だという良い証拠である。

 迷い抜いて、考え抜いての結論なのだろう。

 アスラは、静観を決め込んでいた。

 若者の言うことに興味が湧いたのだ。


 年若い戦士は程なくこう返した。


 ――真面目だ、と。


 そして、続けて言った。


 精霊様はもう枯れる。

 治す手立てもない。

 だからこそ、自分らは諦める。

 自分には家族がある。

 精霊様も大切だが、家族も大切だ。

 このままだと、島は滅びる。

 だから、自分らは未来を求めて外へ出る、と。


 聞いたアスラは目を丸くした。

 島を出るという発想に驚いたのだ。

 老戦士らも驚愕の相を隠せなかった。

 島に残っている者は、家族や仲間を失った者ばかりである。

 この意見に、全く共感できぬことはない。

 なるほど確かに、島は滅びるかもしれない。

 残った者の約三分の一は未来無き老人だし、女子も子供も殆どいない。

 若い彼らを縛り付ける権限は、どんなに年を取っても発生しない。

 若さとは、自由さである。

 いわれてみれば、未来の雛を島という籠に閉じ込めておくのは罪なのかもしれぬ、とアスラは思った。

 守人は落ち目(・・・)とやらなのかもしれない。


 アスラは言った。


 ――好きにすると良い、おれらに留める権利はない、と。


 先達に大目玉を食らうかとも思ったが、老戦士達も強い反論はしなかった。

 アスラと同じことを考えたのかもしれない。

 あるいは、他に思うことがあったのかもしれない。


 それを皮きりに、年若い者たちは、自分も、自分も、と便乗し始めた。

 結果、老人達以外が漏れなく出て行くこととなった。

 果たして、アスラも、その他の老戦士達も、それを止めることはなかった。


 翌日から、廃船の修理が行われた。

 島の入り江には、賊どもの乗って来た船が幾らか残っていたのだ。

 船底の水漏れや、帆の風穴、甲板の腐食などが多数あったが、三月(みつき)もすると、幾らか形になった。

 燻製の肉や、干した果物、飲料水、等の作成と積み込みで、さらに一月(ひとつき)

 合計四月(よつき)程で、船出の準備は整った。

 偶然か何か、賊たちの襲撃回数も心なしか減り、静かに時が流れた。


 程して、若者達は島を去って行った。

 何故かは分からないが、年寄りの数名も便乗することと相成った。

 この四月の間に心変りがあったのかもしれない。


 アスラは、特に島を出ようとは思わなかった。

 出たくない、といえば嘘になる。

 外の世界には少なからず興味があるのだ。

 しかし、島を出た所で自分には大した未来もない。

 若ければ話は違っただろうが、六十近い爺が粋がっても仕様がないのも事実である。

 残った余生なぞ、今まで通り守人として使えば良い。

 未来は彼らに託せば良い。

 それに、もしかしたら、木が生気を取り戻す日が来るかもしれないのだ。


 島に残った者は、アスラを含めて七名しかいなかった。

 いずれも老人である。

 島の平均寿命は、七十程だ。

 対して、残ったものの平均年齢は六十前後。

 アスラは三番目に若かった。


 しかしながら、運命は残酷であった。

 またもや、賊どもの激しい襲撃が始まった。

 その勢いといったら、これまでのものなどとは比べ物にならないほどの怒涛さであった。

 ここ最近の静けさは、嵐の前のそれだったようである。

 島の四方の警戒を七人の爺で回すのは無理がある。

 精霊の木は一層弱って行き、戦士達は疲弊していった。


 老いた戦士達は守り続けた。

 あるいは、守人はこの為だけにあったのかもしれぬ、とばかりに戦い続けた。


 始めは七人だった。


 ――討ち死に。


 一人減って六人になる。


 ――病没。


 これで五人。


 ――老衰。


 幾らか減って四人。


 残った島民は、ぽつり、ぽつりと消えて行った。

 精霊の木も、ぽつり、ぽつり、と葉を落として行った。


 だんだん、だんだん、減って行った。


 そして―――。




 ♦




「今に至る、か…」


 アスラはそう独り言ちて、意識を戻した。


 島には、アスラ一人を除いて誰も居なくなった。

 理由は簡単である。

 皆逝ってしまったのだ、残り少ない島民が。


 そうして残ったのは、何故かアスラ一人だけだった。

 もう二年は孤独を味わっただろうか。

 独り言も、心なしか多くなった。


 しかし、あれから良い事もあった。

 賊の船がすっぱりと姿を消したのだ。

 あれほど押し寄せて来た痴れ者どもが、である。

 理由は知れないが、ここ数年は全くもって平和であった。

 アスラとしても無駄な争いは無い方が良いので、大いに満足をしていた。


 そうして穏やかに余生を費やしていた中である。

 始めは、咳が随分続くのでアスラも風邪の類かと思っていた。

 が、咳は治らず、日を追うごとに酷くなって行った。

 何処かおかしいと思い、肺腑を蝕む病だと気付いた時には、もう既に手遅れであった。

 この病とは四年に渡って闘い続けたが、どうにも軍配は彼奴(きゃつ)らに上がりそうだった。


 これがアスラを取り巻く現状の全てであった。

 当の本人にしてみれば、なんとも悦に入らぬ状況だった。

 何もかもなくなって、ゆっくりと余生を過ごそうと思っていた矢先に大病である。

 つくづくついていない。

 賊どもの呪いか、等と常々アスラは思っていた。


 アスラは胸の鈍痛に眉を顰めながらも、首を(もた)げて木を見上げた。

 やはり、昔の堂々とした姿からは想像がつかぬほど木は朽ちてしまっている。

 緑の葉が全くなくなってからも、久しい時間がたってしまった。

 木はもう完全に枯れてしまったのだ。


 ああ、おれら守人は滅んだのだ、とアスラは改めて思った。

 得てして、あの若者のいった通りだ、と笑った。

 終焉は万物に訪れる。

 どうしようもないものだ。

 抗えぬものだ。

 守人という職にも、精霊の木にも、寿命が来たというだけなのかもしれない。

 盛者必衰の理である。

 客観的に見れば、四千年以上続いた歴史に終止符が打たれただけだ。


 …しかし、それではあまりにも酷い。

 死んでいった皆が報われないではないか。

 諸行無常とは、正しくこのこと。


「妙なものだ。

 この世界は、一体何に対して優しいのか…」


 アスラの呟きに反応するものは、誰もいなかった。

 鈍い響きを持った嘆きは、木々の間に木霊し、消えて行った。



 ♢



 穏やかな風が精霊の木をなぶった。

 ヒラヒラと、枯れた葉っぱが宙を舞う。

 森全体がざわめいて、風を感じているようである。

 陽気は穏やかで、島全体を優しさで包んでいる。

 そんな駘蕩の中、アスラは心地よい眠気を感じていた。


 アスラは元から無理を承知してこの場所に来ていた。

 なにせここは森の奥地、アスラの家からでは随分と悪路を歩かなければいけない。

 疲れが溜まっていて当然である。

 幸い、危険な獣には会わなかったものの、やはり老骨には答える。

 事実、老いた身体は鈍い痛みと、関節の軋みを放っている。

 具合のよかった肺腑も、また平常運転に戻りそうだ。


 アスラは、休むか、と眼を閉じた。

 陽気や風もいい塩梅であるし、休憩を取るのに気候は申し分ない。

 本来なら森の奥で休むなど、獣どもに命をくれてやるのと同義だが、アスラにはどうでも良いことだった。

 その程度の気配の察知は未だ容易であるし、仮に獣に食われたとしても、むしろ、望む所でもある。


 木は枯れた。

 家族も死んだ。

 仲間もいない。

 剣だって碌に振れない。

 もう、何の生きがいも無い。


 (遅かれ早かれもう死ぬのだ。

 風前の灯火が何時消えようと知ったことではないわ)



 ♢



 目を瞑って程なく、心地良い眠気が襲ってきた。

 気のせいなどでは無く、老体には少なくない疲労が蓄積されていたようである。


 アスラは、睡魔の揺り籠に揺られながらふと、思った。

 本当にふと、である。


 ――もし、自分に次の人生があったとしたら何がしたいか。


 等ということを。


 普通の状態では決して考えないことであろう。

 が、アスラは普通(・・)では無かった。

 死が間近に迫っているのである。

 次の人生のことを夢想するのも、それほどおかしな話ではない。

 眉唾であるが、島の言い伝えでは来世が存在するといわれている。

 もしかして来世があったのなら等と云う考えも、老いた今だからこそ中々どうして悪くなかった。


 そんな思いの下アスラは、そうさな、と面白半分に考えて見た。


 剣は好きである。

 来世でも、できれば振りたい。

 やはり旨い飯も食いたいところである。

 船乗り達の話していた異国の料理なども食べてみたいし、極上の名酒も飲んみでたい。

 風情のある景色を愛でるのも悪くない。

 島は美しいが、六十年も見ていれば飽きが来るのも仕方がない。


 (ああ、そうか)


 答えは、思ったよりも簡素に生まれた。

 これらを一気に満たせるであろうものがあるのだ。


 (おれは、旅がしたい――)



 アスラにも、好奇心や冒険心は人並み以上に持ち合わせているという自覚はあった。

 子供の頃など、亡き妻や親友らと共に、島中を駆けずり回ったものだ。

 船乗りたちのような気ままな生き方に憧れなかった訳でもない。

 が、島から出たことはないし、精霊様を守護する役目があり、どの道出られなかった。

 最後の船こそ見送ったが、自分が若かったとしたら若者たちの船に乗っていたかもしれない。

 精霊の木が枯れてからは、何故あの船に乗らなかった、と少しばかり後悔することもあった。


 別に、守人としての使命を恨んだことはない。

 皆と過ごした時間は、何にも代えがたい至福の時であった。

 それは間違いない。

 しかし、今となっては年老いた戦士――アスラが一人だけ。

 家族も失った。

 仲間だって失った。

 精霊様だって枯れてしまった。


 ――だが。


(旅人ならば、家族はいらん。

 一人旅なら、道連れもいらん。

 気ままに旅をするのだ。

 剣も振れよう。

 飯も食えよう。

 良い景色も見れよう。

 そうだ、旅人が良い。

 ああ、そうだ、次の人生は旅人のように気ままに生きるのが良い)


 何もかも無くした今だからこそ、思いついた着想である。

 年を取ると、ふらり、としたくなるというが、中々核心を突いているのかもしれない。


 (そうか、旅か。

 いや、悪くない)


 うっつら、うっつら、船を漕ぎながら、アスラは口元に微かな笑みを作った。

 そして、心の中で戯れに呟いた。

 他でもない、枯れ果てた精霊の木に向かって。


 (精霊様、聞いておりますか。

 おれはもう長くありませぬ。

 ですから、一つ願いを聞いて下され。

 この爺目(じじめ)に次の人生があるのなら、おれは旅がしとうございます。

 次の人生があったら、是非おれに世界を見て回らせて下さい)


 と。

 無論、願いなど叶う筈はないが、戯れには十分だ。


 そうしてそれを心の内で言い切るのと同時に、アスラは眠りに落ちた。



 ♢



 そよ風がアスラの長い三つ編みを揺らした。

 風に悪戯をされた髪の持ち主は、満足そうな表情を浮かべながら木に背中を預けている。

 顔に刻まれた幾本もの皺と傷には不思議と愛嬌がある。

 どこか民族的な服装も、ピッタリと似合っていた。

 その有り方は、自然そのものといった印象を受ける。


 …しかし、様子がおかしかった。

 寝息がピタリと止まっている。

 する様子も無い。

 木にもたれかかるようにしている身体も、心なしか、ぐったりと力がない。


 また風が吹いた。

 枯葉が数枚、アスラの上へと落ちた。

 地べたにも落ちた。

 かさかさという音がして、それを最後に静かになった。


 簡単な話だった。

 終わったのだ。

 アスラという男の生涯が。

 病の進行を考えれば、生きているだけでも不思議な位だったのだ。

 それほどおかしな話ではない。

 

 剣に打ち込み、酒を嗜み、友と笑い、家族と戯れ、そんな皆のいる島をなによりも愛し、そして…全てを失った。

 六十五年の生涯を守人として尽し、最後の最後までその任を勤め上げた。

 日向ぼっこが好きで、月見酒が好きで、妻の吹く笛の音が大好きだった。

 そんな一介の老戦士、アスラ・カルナは、静かに、あまりにも静かに、息を引き取った。










 ――筈だった。


 そう、筈だったのだ。

 アスラの心蔵は、確かに一度止まった。

 一度・・は。


 アスラが深い眠りに就き、島には本当に誰も居なくなった。

 だから、その光景を目にした者も居ないだろう。


 アスラが眠りに落ちてから、いくらもたたぬ内にそれは起こった。

 突如として、枯れた筈の精霊の木が光を放ったのだ。

 じんわりとした、優しい、優しい、光を。

 それはアスラを祝福しているようにも見えた。


 光は森を照らし、辺りは金色に染まった。

 段々と光は強まり、精霊の木が確認出来ないほどに眩しくなる。


 そしてアスラの身体を金色の光が優しく包み込んで――。



3月25日 不適切な表現を修正 吐血⇒喀血

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