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たんぽぽの綿毛に連れられて

作者: 海山 里志

 黄色いたんぽぽの花に、黒いちょうちょが留まる。それは見た者の目を離さない真っ黒な蝶。蝶はその花を離れ、誘うようにどこかへと飛んでいく。ボクはそれを夢中で追った。騎士団の今まさに通りかかろうとする道に飛び出しているとも知らずに……。


     *     *     *


 気が付けば一面たんぽぽ畑だった。みな一様に白くてまんまるな綿毛をつけている。ボクはその内の一本を手折り、ふうっと息を吹きかけた。綿毛はボクの息に乗り、高く、高く、飛んで行った。

 でも一つだけ、飛ばない綿毛があった。ボクはその綿毛をむしり取った。その瞬間、ものすごい風が吹いた。綿毛はボクを連れて風に乗り、高く、高く舞い上がった。どんどん地面が離れて行く。ボクは怖くて目をつむった。


     *     *     *


 どれだけ経っただろうか。ボクは足が地面についていることに気が付いた。目を開けると、一面たんぽぽが芽吹いていた。

 誰かがボクを呼んでいる。声が聞こえたわけじゃないけど、そんな気がした。黒い蝶がひらひらとボクの鼻先に留まる。そして再び羽ばたき、導くようにボクの前を飛んだ。ボクはそれを夢中で追った。

 そう、まさしく()()で追った……。

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