進む雨音
六話目となります。
投稿が遅くなったのはFGOくんのせいです。
徐福ちゃん可愛すぎか?
それは誰かが流すとめどなく溢れる涙のような。
大粒な雨が地面を襲う。
地面が吸いきれず大地と我らの足の間に薄い水面が張る。
その水面を大きな足が高い音をたてながら踏んで歩く。
ぴちゃぴちゃ・・・ぴちゃぴちゃ・・・
少し歩いて少々止まる。
少し歩いて少々止まる。
身体でも怪我をしているようには見えない。
しかし数歩歩いて直ぐに止まる。
何か歩くことより意識がそっちのけで見ているもの。
それはその掌に光る黄色の石。
それを空へ。
金でも手に入らないそれを空へ手を離す。
ゆっくりと空へ還る石を見送るように上を向く。
見えるのは黒く厚い雲と、それから落ちてくる雲の涙。
大粒の涙は顔を殴りつけるように落ちてくる。
何粒も何粒も。
それは今にも死にたい顔をしている狼。
考え直せとも言わんばかりに殴る。
雲を抜けた石を見送った狼はゆっくりと巣穴へ戻る。
ただ一人しか居ない狼。
群れで行動しているこの世界の狼と違い一人。
「この力さえ無ければ・・・」
うわ言のように数分に一回。
言い終わってまた深いため息をつく。
彼がそうだ。
この世界が、この踏みしめる地面が。
荒れる木々が、流れる流水が。
火を噴く山が、割れる大地が。
神に抗うために作る反乱分子であり。
「勇者」である。
勇者とは人間から必ず生まれるものではなく。
特別な身分から産まれるのものでない。
勇者とは、何も無い平民。
ゴミ山の奥で死にかけた俗物。
或いは縄張り争いに負けた獣。
或いはこの世に不満を持つ低民。
勇者とは。
下を知っているものからしか産まれない。
そうしなければ世界を、民衆を守る勇者は現れることは無い。
狼は種族名「ハイ・ウルフ」
そのハイ・ウルフ達の中でも希少種族であるジハイド・ウルフ。
種族の中でも唯一「星力」が使えるバケモノである。
基本願いを持つ人間だけ。
祈りを捧げる人間だけに降りてくる力。
そんな星力を何故獣が持っているのか。
それは彼が願ったからである。
この種族。家族。住む森の安寧と繁栄を願った。
それは他の種族達や同じ仲間達にはなかった感情。
だから世界は応えた。彼に。
そして彼は種族から嫌われた。
そして住みなれた森の端に追いやられてしまった。
世界はそれを些細なこととし何も動かない。
世界は彼に力を与え、彼を見捨てた。
彼はそれを察して大いに暴れ狂った。
木々を倒し、橋を破壊し、山を削った。
人の街にも被害を及ぼし本当にバケモノとして扱われてしまったのだ。
もう誰も助けてくれない。
もう笑い合える仲間もいない。
見世物か気味悪がられるだけならば。
ならば。
この世界なんて。
壊れてしまえばいい。
もし、彼に手を差し伸べれる者がいるとするならば。
それは世界と戦う意志を持った崇高で馬鹿な者くらいだろう。
「街の近くで暴れているジハイド・ウルフの討伐依頼?」
そしてそんな馬鹿は意外と近くに居たものだ。
「すいません!この依頼受けます!」
世界を嫌った狼と。
世界を救わんとする少年が相対するまであと少し。
今回もご拝読頂きありがとうございます!
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というわけで、俺はFGOとポケモンの世界へ!