嫌な運命と予感はすぐそばへ
引き続き三話目です。
最近暑くなってきましたが皆様どうお過ごしでしょうか?
俺は…………炭酸とポテチがうめぇんだってしてます。
「チッ・・・馬鹿野郎が・・・!」
切られた。間違いなく俺は巨人に身体を斜めにぶった切られたはず・・・だった。
しかし、俺が居た場所と巨人が振り下ろした大太刀が切った場所は数歩の差があった。
その答えは単純明快。カサスが来ていたのだ。
カサスの星力のおかげで陽炎を創りだしていた。
今、巨人が切ったものはカサスによって生み出された幻の俺だったという訳だ。
それに気がついたのはほんの数秒後だった。
「カサス・・・兄・・・!」
「ひっさびさに兄って呼ばれた気がするぜぃ・・・!」
そう言いながらカサスが地面に向かって白い玉を投げつける。煙幕だ。白い玉から白い煙が辺りを包む。それはアルケルとカサスの周りだけでなく、辺り一帯を白く包む。
「どこ行ったぁあぁあぁあ!」
大声で叫ぶのは巨人。
煙の中でカサスと軽く話す。
「さて、倒す?逃げる?」
「ここで放っておく訳にも行かないだろう」
「決まりだ。メインの攻撃はお前に任せる。俺はサポートに回る。」
「了解。じゃ、任せた。」
ほんの数秒の数回の打ち合わせ。
それだけで良い。それだけで俺達は理解ができる。
現在、巨人が動き続けている。
丁度、開けた広場へ出た。
(ここだ。)
感覚を信じた。経験は無い、あまりにも乏しすぎる戦闘の経験をかき集め凝縮させる。小さな情報を余すことなく理解する。
刀の柄を濁る握力を強める。
白く広がる煙を隠れ蓑に静かに近寄る。
「みぃぃつけたぁぁあぁァァァアアア!」
(見つかっ・・・!)
違う。こちらを見ていない。巨人はこちらと逆方向へ身体を向けている。その奥、巨人が向いている方にいるのはカサス。紅く紅く光るトンファーを構えている。
それは目を奪われるほどに紅く美しく光る。
そしてそれを地面に叩きつける。
「紅く光るは輝きの証明ァァァアアア!!!!」
叩きつけた傍から地面が割れ、紅い光が漏れ出る。
紅く光るそれは実体となり巨人に絡みつく。
割れた地面は巨人の足を掴み離さない。
紅い実体の光は巨人を割れた地面に押し込もうと潰し始める。
「オォ・・・オォォォォオオオオオ!!!!」
巨人はそれから逃れようともがき、暴れる。
遂には叫び声をあげ、大太刀を捨て光に手をかけ始めた。
(今だ。)
感覚だった。勘だと思う。
それでも今だと。今だと思った。
だから俺は迷わず刀を振り抜き、巨人の首を断ち切った。
「アアァァ・・・・・星が消える・・・・・・」
「!」
その言葉を聞けたのは恐くアルケルだけだろう。
巨人のすぐ近くにいたのはアルケルだけだろうから。
「待て!その意味はなんだ!?星がなんだ!」
「ほ・・・しが・・・ふ・・たつ・・・」
それだけ答え、巨人は息絶えた。
星に対して謎が深まるばかりである。
そして初めて、アルケルの中に疑問が浮かんだ。
(『星とは・・・なんだ・・・?』)
我々に力をくれる星。
能力が必ず18の年になると頂くことができる。
見捨てられた人、貰ってない人を聞いたことがない。
どんなに地位が低くても、貧乏でも頂くことが出来る。
ほんのひと握りではあるが、人ではない者も星を頂くことがあるそうだ。
なぜ人なのか?人では無いもので星を頂く基準は?
落ちて我々のものになる星の代わりは?
なぜ無償で能力を頂くことが出来る?
今まで誰も知りえない。
疑問に思う人もいなかった。
思う人は居ただろうが、口に出すことは無かったそれ。
無償で絶大な力を手に入れるなんて良い話は早々無いものである。
必ず、理由がある。
理由を探せば、星を戻す方法が見つかるかもしれない。
そこまで考えにふけっていたアルケルがふと、考えるのをやめ現実に意識を戻す。そして見つけた。
(なんだ・・・あれ・・・?)
倒した巨人の丁度首の辺りに一際輝く何かが見える。
それはあの日、星を頂いた日に見た星のようで。
そっと近づき星を手に取る。
『確認しました。個体:ドーンから個体:セント・アルケルへ星の移動。能力を移動します。』
どこから聞こえたその声は。
近くにいたカサスにも聞こえていないと言うことは頭に直接響いているのだろう。
光る何かを『星の欠片』と断定し、その場から立ち去る。
死体と周りの片付けはギルドに任せ、カサスとカサスの工房へ戻る。
「で?それは?」
工房に戻り、偽装の力を工房にかけた後開口一番にカサスが問うた。
「多分・・・あの巨人の星力」
「はぁ?星力はそんな目に見えたのか?」
ご最も。でもそれ以外分からない。
手に取った時の声と光を見るとやはりそれにしか見えない。
「なるほどなぁ・・・そうだ!ギルドカード!」
「それだ!」
ギルドに所属している者はギルドカードを配布されている。それは現在の所有者の星力などを正確に証明する。
他人に見られないように色々な制限もあるが何も分からない今よりはわかるだろう。
「えっと・・・血を付けて・・・ステータス!」
機械的な音を立て、光り輝く文字が浮き上がる。
『星:月 、星:デネボラ』
「二種類・・・!?」
絶対に無いはずの力がそこにはあった。
詳しく見て見たところ、この『デネボラ』という星は体を巨大化、そして筋力を底上げする星のようだ。
「え・・・どうしようこれ」
「俺に言われてもなぁ・・・星を離してもあるってことは何か譲渡する方法があるんだろうな」
あまり進展しなかったが、わかったことは少しだけ。
・星を譲渡する方法がある。
・星と思われる光る何かに触れると確実に譲渡される。
・暴走する人から星力は手に入るかもしれない。
と、まぁこのくらいだろう。
しかし、肝心の星を戻す方法は何も分からないままである。
「とりあえず・・・一旦置いといて飯食おう。」
「そうだな。考えるのにもエネルギーいるからな。」
少々の時間が経ち、飯を食べ終わった二人は考えることをやめ床に入った。
それを見計らったように、二人の影がアルケルの傍に寄る。アルケルが置いたデネボラの星。
それを二人は奪って闇夜に消えた。
しかし、『デネボラ』の能力はアルケルのステータスに残っている。星だけが奪われて行った。
二つの影がしたいことは何も分からない。
しかし、アルケルは奪われたことすらまだ知らないのである。
三話目までご拝読下さりありがとうございました。
ごちゃごちゃで分かりにくいと思います。
もっと分かりやすくかけるようになりたいですね。