越えられない線
書き初めです。
今年もよろしくお願いいたします。
更新頑張ります!
夢はこの世界の歴史を記すこと。
だから最初に自分の国を調べたかった。
だが、自分は王族。
簡単に外へ出ることなんてできない。
でも自分の夢は簡単に諦めることなんて。
出来やしないのだから。
「行こう。神の元へ。」
四人が走る。
夜の帳が降りた後、塩の匂いのする砂浜をできるだけ音を立てず走る。
剣城の案内のもと、月夜見城の堀の中へ飛び込む。
外からは見えない位置、堀の内側にある穴へ。
それは使っていない用水路、その中をゆっくりと泳ぎ水面上へ泳ぐ。
「ぶはぁっ・・・!」
「中々潜ったな・・・」
身体が欲しがる空気をいっぱいに吸い、ゆっくり深呼吸する。
剣城は水面から上がれる場所を探し、他三人に合図する。
「明日には大会に出なきゃ行けない。急ぐぞ。」
走って、隠れて、ミツケタ。
地面に描かれた円の中、星座をして眠ったように動かない女性のような身体をしたモノが居た。
「これが・・・神。」
アサヒがごくりと息を飲む。
ハイドとアルケルは分かっている。
「あぁ。」
「似た感じだ。」
同じ何かを感じる。
同じ威圧を感じる。
それが起きているのか、ただ居るだけでその圧を感じるのか。
二人には分からなかったけれど。
周りは崩れた書物の山。
紙に書きなぐられた文字。
そこには『アマテラス』と。
それだけが書きなぐられていた。
「違う・・・?」
気がついたのは一人だっただろうか。
それとも二人だっただろうか?
はたまた気がついたのは誰もいなかったのではないか。
それでも何か感じてしまったのだろう。
それが全員なのか、いなかったのか。
それだけの話だ。
ただそれにもし気がついた者がいるのなら。
それは一瞬であり、意識した次の瞬間にはあるものだ。
ただほんの少しだけ。
それはこの世界に生きるものなら殆どが持っているもの。
それは意識が。脳が発生させるアラートであり、自分を守る為の砦だ。
そう。
ただ一瞬の。
『ぞわり』とした何か。
後退りしてしまったのは奇しくも二人。
アルケルとハイド。
神という存在に会ったことがあるにも関わらず、それはあの時の何かとは違うものであり、それよりも触れてはいけないものだと本能が叫んでいる。
「なんだ・・・アレは!」
ハイドが剣城に詰め寄る。
しかし剣城は首を振るだけで何も分からないと言う。
アルケルは無意識に肌を触っていた。
ぞわりとしたあの感覚はなんなんだ。
鳥肌が全身を走り抜けた感覚を。
恐怖、違う。
高揚、違う。
なんだ。この感覚は。
強ばった表情が徐々に世界に彩りを戻していく。
汗が滴り、筋肉が硬直する。
その身体をゆっくりと世界に戻してゆく。
次の瞬間には書きなぐられている紙の周りに手が伸びていた。
『アマテラス』とは何か。
目の前にあるアレはなんなのか。
本当に神という存在なのか。
生きているのか死んでいるのか。
動くのか動かないのか。
恐ろしかった。否定したかった。
しかし、手は動いていた。
知りたいのだ。
目の前にある歪みはなんなのか。
そこにある化け物を自分の脳に処理させたい。
ただそれだけなのだ。
そしてひとつ。
見つけた。
「この世界にアマテラスと言う神が居た。
それは龍の国と呼ばれるよりはるか昔からいる生物である。
この世界はアマテラスとその弟達により破壊と再生が行われている。」
というだけの文章を。
それが何を表すのか、何を言っているのか。
あまりにも今のアルケルには難しい内容だった。
しかしそれを理解することは出来る。
断片的だろうが、なんだろうが。
その文章を、その文字が何を連ねているのか。
信じ難いものだが、あるのだ。
この世にあるものとは逸脱した一線先の世界。
一般人と何かの達人のように。
ある一種に特化した専門家のように。
一線越えた所にいる存在。
それが『人』と『人の先』という存在なだけで。
それを理解した時、聞こえたのだ。
世界の声が。
最近めちゃめちゃモンハンダブルクロスしてる




