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魔王戦線  作者: 桜花
魔王戦線開幕編
3/5

2話 北の国の魔王達

 人間界 中央都市オリオン北部にて、魔族集団による人類への攻撃を確認。よって、北国三国の首領である魔王インナーワイヤー、魔王サヤマンダルク、魔王ボルケーノ三名の出陣を要求する。


「あら、なんて物騒な事⋯⋯」


 目の前に現れたワープゲートの前で、インナーワイヤーは苦笑した。

 この世界では、人間界での魔族の抑圧は魔王達の手で行われる。人間界の北部、東部、南部、西部。それぞれ支配する国の方角と等しい魔王三名が要請を受け、武力によって魔族を鎮圧する。

ゲートを潜ると、山脈の頂上にでる。町を見下ろすと、建物間から黒煙が上がり、人間達の悲鳴や爆発音が響き渡っていた。


 インナーワイヤーに続き、サヤマンダルク、ボルケーノも現場に姿を現す。


「あら、今回は早いのね⋯⋯いつもは全部終わってから来るのに」

「まあ、たまにはね⋯⋯」


 インナーが嫌みを受け流すと、サヤマンダルクは面白くなさそうにムスッとしている。


「お話はそこまでだ。サヤマン、援護は任せるぞ」


 二人の会話を遮ると、ボルケーノは颯爽と黒煙の上がる方へ飛び出した。


「いってらっしゃ~い」

「あなたも行くのよ!」


 まるで汚物を扱うかのようにサヤマンダルクがインナーを蹴り飛ばすと、「もう。乱暴なんだから⋯⋯」とボルケーノの後を追って行く。


 一人になったサヤマンダルクはすぐさまボルケーノに思念で現場の状況を伝えた。


『魔族量217。人的被害114。建物破壊50棟。被害最小限の最適解、1分以内の小規模攻撃による殲滅』


「なるほど。私には向かん仕事だな」


『オカマ野郎』


「はいはい」


 サヤマンダルクの指示に従って、インナーが速度を上げる。ボルケーノはサヤマンダルクの意図を読み取り、その場に停止した。


「おまたせ」


 インナーが現場に着くと、人間達の歓声が響き渡る。その中に不安を抱えた者はもういない。涙を流すのは家族を失った者のみとなり、周りはまるで試合の観戦かのような賑やかさに包まれた。


「インナーだ!」「インナーだって!?」「今日は付いてるな~」


「パパ、あの人誰?」「よく見とけよ。インナーの戦う姿はなかなか見れないからな」


 普段戦闘に参加することのないインナーの姿に、人間達は興味津津の瞳を向ける。

 先ほどまで血と悲鳴にあふれていた現場も今となっては唯の見世物と化していた。


「またお前らか⋯⋯どうしてこんな奴らの味方をするんだ!」


 魔族集団の長は額から汗を垂らしながら講義を始めた。その隙にインナーの周りを魔族集団が囲んでいく。


「それが私たちに与えられた役割だもの」


 状況を把握しながらもインナーは律義に返答を返す。


「あんたらだってこいつらを憎んでた筈だろ!」


「私たちの意思なんてどうでもいいの。アダムとイヴのお願いは、断れないでしょ?」


「結局あいつ等の犬かよ⋯⋯魔王とか謡っても所詮は人間上がりの腑抜け野郎だな!」


 長は目の色を変えると「やっちまえ!」と叫んだ。その声にインナーを取り囲んでいた魔族たちが一斉に飛び出す。


「その腑抜け相手に集団で押し寄せてんじゃないわよ! このあほんだらどもが!」


 もはや男のそれな声を張り上げると、ものすごい速度で自分をへ向かってくる魔族達一人一人に一度ずつ触れていく。その体感時間は5秒にも満たない。


『心臓を射抜ラブハートく愛の矢』


 全員に触れたインナーが天に向け投げキッスすると、触れられた216人の魔族全員がまるで心臓を弓で撃たれたかのように一斉に倒れこんだ。

 一人残された長だけが体を震わせながら立っている。


「ごめんなさい。熱くなりすぎたかしら」


 にまりと笑うインナー。舌なめずりをしながら長を見上げる。


「この、化け物が──」


 その瞬間、長の胸に激痛が走る。インナーの腕が彼の肉を突き破り、心臓をがっちりと握っている。


「あら。それはどうも⋯⋯」


 インナーが心臓を握りつぶすと、長はへたりと地面に倒れこんだ。

 途端、歓声が湧き起こる。戦闘を見物していた人間達が一斉に声高らかに歓喜の雄たけびを上げたのだ。


「やりかたがきもい」


 遠くで様子を伺っていたサヤマンダルク達も現地に現れ、再び人間達がざわざわとしだす。


「まあ、いいじゃないか。彼らも喜んでいる」


 ボルケーノの言葉にサヤマンダルクが周囲を見渡すと、人間達が笑顔でこちらに手を振っているのが映った。


「ありがとな!」「魔王様かっこいい!」「また頼むよ!」


 その声を聞いたサヤマンダルクは顔を赤くして「まあ、別にいいけど⋯⋯」と呟いた。


「素直じゃないわね」

「だまれ」

「ふ~、こわい」


 尚、サヤマンダルクはインナーの事が反吐がでるほど嫌いなのだ。


 そんな中、突然三人に向けてとある人物から思念が送られてきた。


『─────────────』


「「「!!!!」」」


 自体は常に動き続けていた。

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