4.サロモン
「ふぁ~。よく寝た…。あれ?サロモンいつ来たの?」
気が付くと、足元でサロモンが眠っていた。
さて、すっきりしたところで、これからどうするか考えなきゃ!
前世の記憶が戻ったところで、私はただの主婦。
異世界物語でよくあるような地球の知識でこの世界を変えてみせるなんてことは出来ない。
…大事なことなので再度言うが、ただの主婦だから。
更に、私だけが使える魔法があるというわけでもない。
所謂チートとか絶対にない。
そして、たぶん乙女ゲームとかでもない。
もし、ここが乙女ゲームの世界だとしても前世でしたことがないから全くわからない。
詰んだっ…!!!
普通に学校に通って、普通に仕事して、普通に結婚した、ただの主婦に異世界で出来ることなんて何もない!
転生する前は、転生したら○○になって、○○して~とか色々想像はしたけど、いざ転生すると何も出来ない。
普通にこの世界の人間として普通に生きることしか出来ない。
なんて夢のないっ……………。
「私に出来ることなんて、主婦として頑張ってきた一般的な家事だけだよ…」
『それじゃぁ、その家事を頑張ったらいいんじゃない?』
「え、でも公爵令嬢が家事とかしたらまわりの目が痛くないかな?
………………ん?」
私、今誰と話した…?
ここにいるのって私とサロモンだけよね…?
サロモンをちらっと見ると目があった!
「サロモン…?」
『なぁに?アリス』
「は?えっ…?はぁ!?何で喋れるの!?今まで喋ってた!?」
『ん~?何かアリスの目が覚めたあと喋れるようになってたみたいだよ?』
やばっ、異世界物だよ!
これぞ異世界物じゃん!
『アリス、何かものすごくキラキラした目で見てくるけど、どうしたの?』
「サロモンっ!サロモンは魔獣なの!?それとも、聖獣とか!?あっ、実は人間でしたとか!?」
『アリス…。落ち着きなよ。僕は元々人間でも、魔獣でも、聖獣でもないよ。アリスがわかるように言うと精霊ってところかな?』
「精霊~!?サロモンすごいっ!え、これサロモンがいたら私何が起きても大丈夫って感じかな!?」
『何か期待してるとこ悪いんだけど、僕はさっき精霊って自覚したばかりだから人間でいう赤ん坊と同じだよ。だから、ほとんど何も出来ないと思うよ?』
「そっかぁ~。残念だけど、仕方ない!可愛いから側にいてくれるだけで嬉しいし。
サロモン、ずっと側にいてくれる?」
『いいよ~』
よしっ!
―――公爵令嬢はモフモフを手に入れた―――
「ところで、さっき家事を頑張ればって言ってたけど、家事してもいいのかな?」
『アリス忘れたの?
さっき料理することの許可取ってなかった?』
「そうだった!
それなら早速調理場に行かなくちゃ!
サロモンも行く?」
『僕まだ寝てる~。
サラかジュード連れて行くんだよ?』
「任せて!」
アリスは、サロモンとも会話を終わらせるとベッド脇にある紐を引っ張ってサラを呼ぶことにした。
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