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16.sideクリス

――アリスがお出掛けの準備をしている頃――


案の定、素早く準備を終わらせて、アリスのことを迎えに来たレオの首根っこを捕まえたクリスは、そのまま引きずりながらレオを自室に連れていった。


「いたっ、ちょっ、何すんだよ、クリス!」


「レオうるさい。

アリスに聞こえるだろ?」


()はアリスを迎えに来たんだけど!?」


「お前、いい加減アリスの前でネコかぶるのやめたら?」


「お断りだ。

アリスには良い印象を持ってもらいたいだろ?」


「それ、逆効果だったぞ?

今のお前はアリスに怖がられてるよ」


「はぁ!?どうしてだよ!?」


クリスは先程の会話をレオに説明した。

話を聞いたレオの顔色はどんどん悪くなっていった。


「そ、それは本当か…?」


「本当だって。

俺後ろで聞いちゃったもん」


「そ、そんな…」


「……ドンマイ」


「ドンマイじゃねーよ!

俺は小さい頃のアリスの理想の男になろうと必死でここまでやってきたのにっ…

これが逆効果だったとか、俺これからどうすればいいんだよぉ…」


こいつ本当アリスのこと好きだよなぁ…。

なのに空回りして、アリスには恐がられて。

さすがに可哀想になってきたかも…。


「なぁ、ちなみに小さい頃のアリスの理想の男ってどんなんだったっけ?」


「よくぞ聞いてくれましたっ!

あれはアリスが5歳ぐらいのときだったんだよな。

それで、そのと」


「ストーップ!!!」


「なんだよ。

まだ出だしだぞ?

そのときの“き”も言えなかったじゃないか」


「いや、それ長くなるか…?」


「いや?

1時間ぐらいしかないぞ?」


「…………………そうか。

その話はまた今度にしてくれるか?

今度はちゃんと飲み物とかも用意するからさ」


「?わかった。

別に俺はいつでもいいし、聞きたくなったらいつでも聞いてくれよ」


「あぁ…」


忘れてた…。

こいつアリスのこと好きなだけじゃなくて、アリスバカでもあるんだった…。

たっぷり飲み物と食べるもの、あと椅子もしっかり用意した状態で聞かないと身が持たない…。


「とりあえず、今からアリスとデートだろ?

そこでアリスとしっかり話し合ってこいよ」


「アリス、ちゃんと話してくれると思うか…?」


「それは…知らん!」


「はぁ!?」


「まぁ、嫌われてはいないみたいだし、普通に会話するぐらいなら大丈夫だろう」


「そうだといいんだが…」


「ほら、それよりそろそろ下で待ってないとアリスが出てくるぞ?」


「本当だ!

急がないと!

お前とこんな所で長話している場合じゃなかった!

それじゃ、おれはもう行くぞ?

またな!」


ガチャ!

バタンッ…!


レオは捲し立てるように喋ると慌ただしく出ていった。


「はぁ…。

何かどっと疲れた…」


すると何かを察したのかドアが開いてサロモンが入ってきてそっと寄り添ってくれた。

モフモフだ…。

癒される…。


「サロモン、来てくれてありがとう…

モフモフ~」


アリスが出て行ったあとウロウロしてたら何かすごい変なやつがクリスの部屋から出てきたんだよなー。

クリス大丈夫かなーって思って部屋来てみたら何かクリスが疲れてそうだったから近寄ってみたんだけど…

ここでも僕のモフモフが大活躍してない!?

えっへん。僕すごい!

僕やれば出来る子!

神様見てるー!?

僕やったよ!褒めて褒めて~!


嬉しそうなサロモンを見て、クリスは更にモフモフに顔を埋めるのだった。

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