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12.行商人

部屋に戻って何を作るか、何を買うかなどと考えているとあっという間に昼食の時間になったので、再び食堂へ向かう。


問題の食事内容は…

ふわふわの白いパン

数種類の野菜スープ

あとは魚を焼いたものかしら?


卵焼きがなかった。

使用人に聞くと、どうやら卵がなくなったらしい。

よかったようなよくなかったような。

これ、卵があればまた卵焼きが出てきてた可能性があったってことですもんね。


食事が終わって自室で休憩していると、使用人が呼びに来た。


「お嬢様。

先程行商人の方が来られましたので、お迎えに上がりました」


「ついに来たのね!

サラ、ジュード、行くわよ!」


「「はい!」」


応接室の扉の前でリードが待機していた。

いつもは勝手口でやり取りを行っているみたいなのだが、今回は私も一緒に話を聞くということでお父様から応接室の使用許可を得ていた。


「リード!」


「お嬢様、こちらに行商人の方がお待ちです。

事前にお嬢様が来ること、持っている商品全てお嬢様が見ること、足りなければ注文すること、は伝えておきました」


「ありがとう。

では、いざ!」


ガチャ。


「初めまして。

私アリス=バレンシアと申します。

この度はこちらの要望を聞いてくれてありがとう。

どうぞ、お座りになって?」


「は、はい!

行商人のポールと申します。

こちらこそ、いつも贔屓にして頂きありがとうございます!」


「ポール、あんまり緊張するなよ?」


「リードさん、そんなこと言われてもさすがに緊張しますよ~」


「あら?2人は思ったより仲良しなの?」


「実は、何回か話しててわかったんですが、ポールとはどうも同じ年齢のようでして、そこからは前より砕けた口調で話せる仲になったんです」


「まぁ、そうだったのね!

ポールさん、私とも仲良くしていただけると嬉しいですわ」


「あ、ありがとうございますっ!」


「な?家のお嬢様は優しいだろう?」


「それは、もう女神様のようです!!」


「ふふっ。2人ともありがとう。

では、早速だけど今持っている商品を見せてもらえるかしら?」


「はい、こちらになります」


そう言ってポールが並べた商品は見たことあるものがたくさんあった。

もちろん、この世界でも普通に売っているものもあるし、あまり見たことないものもある。


「これ、全部買いますわ!!!」


「「全部ですか!?」」


「そう、全部よ!

今から楽しみだわぁ~。

はっ、のんびりしていられないわ!

リード、私今から作るものをリスト化しなければならないの。

あとは任せたわ!

行くわよ!サラ、ジュード!」


「「はい!」」


ガチャ。パタン…。



――残された2人の会話――


「ブハッ…。あはは!お嬢様最高っ!

まさかの全部買い!

悪い、これ全部買うことになるけど、他のところは大丈夫そうか?」


「それは、大丈夫なんだが…

本当にこれ全部買うのか?しかも今の会話だとお嬢様が作るみたいだったが…」


「実は、お嬢様が料理に目覚めたらしく、早速1つ作ってみんなに振る舞ってくれたんだ。

それが最高においしくて。

だから、今回はお嬢様が直々に商品を見に来たってわけだ」


「そうだったのか。

お前のところのお嬢様はすごいな…」


「あぁ、自慢のお嬢様だ。

あ、お嬢様興奮しすぎて1つ聞き忘れてる」


「何だ?何かあるのか?」


「いや、お前が持ってくる商品を買うのもいいんだが、こういうのを売っているものお店があるなら直接見に行きたいとおっしゃっていて…」


「店ならあるぞ?

ほら、ここに地図を書いておくから」


「この店は?」


「俺が一応オーナーをしている店で、普段は俺の奥さんが店番をしている。

お嬢様のことは伝えておくからいつでも来てくれ」


「感謝する。

じゃぁ、いつもの出入り口まで送るよ」


「あぁ、助かる。

やはり屋敷の中は緊張するな」


「それじゃぁ、またよろしくな!

お店のほうにもお嬢様が顔出すと思うし、奥さんにもよろしく伝えてくれ」


「わかった。

それでは、失礼いたします」


そうして、リードは屋敷の中へ。

ポールは外へ、それぞれ別れたのだった。


まさか、この出会いがアリスの料理を広めるきっかけになろうとは、このときは誰も知らなかった。

お買い物って楽しいですよね!

しかも、見たことないものや懐かしいものは特にテンションが上がります(*≧∀≦)

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