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人それぞれのやり方で

 東沼はタブレットをパソコン室のパソコンにつなぐ。

 取られた写真はその場面が書かれたフォルダの中に入れられていく。

「住宅街から先にやろっか」

「うん、わかった。それが終わったら、桜並木や橋と川の写真だね」

 東沼の提案に西和議は乗り、作業の確認をする。

「そうしちゃう?みんなが描いてる絵もあるし、どれをやる?」

「あ、そっか。絵のパラパラ動画もあるんだ」

「やること多いから、一つひとつやってこうか」

 東沼は手慣れた手つきで画像の吸出しとフォルダを作っていく。


「すごいね、東沼ちゃん」

「慣れればできるよ。それより、画像はどんな順番で発表するの?」

「うーん……みんなと相談して決めよっか」

 自分のやることを探しながら、西和議は東沼の質問に答えていく。

「今できること、今できること……そうだ住宅街の説明の考えていい?」

「お願いね」

 西和議は日が東沼との会話を終え、パソコンに向かい合う。


 絵を描き終えた班の子たちも合流し、パラパラ動画が作られていく。

 説明文も場面の順番も話し合って決めたところで、先生が話を始める。

「そろそろ時間です。切りのいいところで作業を終えてください」

 作業にめどをつけ、大体の流れができたところでチャイムが鳴り響く。


 パソコン室から生徒が次々に出ていく。

 レインコートを着て写真を撮りに行った班もあれば、もう作り終えた班もある。

「私たちは、明日で何とか終わりそうだね」

 西和議の班は全体の半分ぐらいが終わっている。

「うん。そうだね。みんなのおかげであともうひと踏ん張りだよ。ありがとう」

「西和議ちゃん、気が早い。全部終わってから言おうよ」

「あはは、それもそうか」

 小雨がまだ降る中、西和議たちは帰る準備をする。


「またねー」

「また明日―」

 藩の子たちや東沼と挨拶をして、西和議は家に向かう。


 小雨の中、差した傘をくるくる回し、水滴を飛ばしながら歩く西和議。

「こんにちは、西和議ちゃん」

「お姉ちゃん!」

「今、帰り?」

「うん。お姉ちゃんは?」

「今日は創立記念日でお休み。だからお買い物」

 マイバッグを西和議に見せる隣のお姉さん。


「どう?順調?」

「うん。なんとか期限までには終わりそう」

「そっか。よかったね」

「でも、やっぱり魔法で終わらせてみたかったな」

「魔法は内緒だからね」

 隣のお姉さんは口の前に人差し指を当て、西和議に釘を刺す。

「それに自分の力でまずやってみる子が、私は好きだな」

 西和議はお姉さんの言葉で、決意を改めたように顔を上げた。

 元気を取り戻した西和議を、隣のお姉さんは微笑ましく見つめていた。


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