パラパラ動画、つくろうか
「お父さんたちは来週帰ってくるから、それまで二人で頑張ろうね」
食事を終え洗い物を終え、身だしなみをチェックした後、兄妹は家を出る。
歩いて学校に向かうと、西和議はところどころに季節を感じた。
道に。川に。橋に。線路わきに。神社に。あちこちに春がある。
西和議は季節と自然をしっかりと感じ取り、道を歩いていく。
(魔法を使うのに必要なことだから、か)
隣に住むお姉さんが教えてくれた。
魔法は自然から力を借りて使っていると。
西和議はそれまでの、暑い寒いとだけ季節を感じるのを改めた。
草花や鳥の名前も少しずつ覚えている。
(魔法は便利だから、みんなも使えばいいのに)
兄や友達にも教えてみた。
頭を撫でられるか優しい目で見られたことを西和議は思い出す。
(いいもん。私が使えればいいんだから)
道の石ころを蹴って端っこに移動させる西和議。
石ころは電信柱の横にころがったのを見届けて、西和議は中学校に向かう。
「写真で動画を作ってみよう?」
授業で先生が説明する。
「何枚かの写真を撮り、続けて動かすことで動画を作って発表してみましょう」
班ごとに分かれた西和議たちに向け、先生が話す。
「それでは、今日はテーマを話し合って決めてみてください」
先生の一言で班ごとに会話が始まる。
話し合いが終わり、班ごとに何をやるか発表が始まる。
「はい。では西和議さんの班が決めたテーマはなんですか?」
「私たちは道路をテーマにすることにしました」
西和議の発表を受け、先生は黒板に文字を書く。
「交通安全週間ですので、それも参考にしても良いと思いますよ」
黒板に書き終えると、先生は一言付け加えて、別の班を当てる。
「なんで私が班長の時にこういうことやるのかな……」
「そういうものだよ。私も大変だったし」
みんなで班長を交代してやってみよう、が先生から言われた。
席替えも毎月行われ、座席もその都度変わる。
集団生活を行う上で大切なことと先生は言っていた。
「意外に道路って怖いんだね、西和議ちゃん」
「そうだね、東沼ちゃん。自転車も車も結構通るね」
学校が終わった帰り道で西和議は友人の東沼と道を歩く。
写真を撮ろうとしては、自転車や車が来てたびたび中断する。
「どうしよう、このまま続ける?」
「明日みんなに相談してみようよ」
西和議はタブレットをカバンに入れ、今日は切り上げた。
翌日、同じ班の子も、撮影が難しかったと話す。
「昨日一日やってみてどうでしたか?テーマを変えても大丈夫ですよ」
変更するなら今日中に、と話し先生はホームルームを始めた。