お隣さんのお付き合い
西和議と一緒に帰ったお姉さんは、家に着くとダイニングの机にマイバックを置く。
「やっぱりこういうのはみんなと力を合わせてやるものだからね」
お姉さんが冷蔵庫に買ってきたものをしまっていると、携帯から音が聞こえた。
携帯の画面には今日の予定が映し出されていた。
「今日は西和議さんと一緒に食べるんだっけ」
時計を見るお姉さん。
「洗濯物たたんで、そのあと簡単なのを作っていこうかな」
お姉さんは冷蔵庫を占めて、洗濯物を片付けに向かう。
洗濯物をたたんでいると、洗濯ばさみが折れ、角ハンガーから外れる。
日光かそれとも経年劣化か、いろんな理由がお姉さんの頭をよぎる。
「直しとくか」
お姉さんは魔法を唱える。
唱え終えると、洗濯ばさみは元通りになっていた。
「魔法はなんでもできちゃうからね。だからこそ、最後の最後に使ってほしいな」
まるで近くに西和議がいるようにお姉さんは話す。
角ハンガーに洗濯ばさみを取り付け終えると、お姉さんのお腹が鳴る。
「お腹すいたな。早めに行っちゃっても良いよね」
お姉さんはダイニングに向かう。
お姉さんはエプロンをしてキッチンに立つ。
冷蔵庫からナスとニンジンを出し、水で洗い千切りにする。
ショウガをみじん切りにしてフライパンにいれ、ごま油で炒める。
次にニンジンを入れ、油が回ったらさらにナスを投入し炒めていく。
そのあとに鶏そぼろを入れ火を通す。
味噌をベースにした調味料を入れ、再度炒めて茄子と人参のみそ炒めが完成する。
「そろそろ行こうか」
お姉さんは完成した料理にラップをかけて、隣の家に向かう。
呼び鈴を鳴らし、しばし待つ。
「いらっしゃいお姉ちゃん。それと、こんばんは」
「こんばんは。今日は親が出張なので来ちゃいました」
「あがって。今日はなに作ってきたの?」
西和議家にお邪魔すると、西和議家の妹が案内ついでに話しかけてきた。
「ナスと人参のみそ炒めよ」
「おいしそう!私も料理作りたいな」
「これくらい簡単よ」
「でも、すぐ指切っちゃうし……」
「指より高く包丁を持ちあげるから切っちゃうのよ」
「そっか。食べ物の高さだけ持ち上げれば良いんだね」
「そういうこと。今度一緒になにか作ろうか」
お姉さんはころころと表情を変える西和議家の妹と楽しそうに約束する。
笑顔、困り顔、楽しそうな顔、くるくる変わる表情を見てお姉さんもつられて笑う。
(魔法を見られたから教えちゃったけど、いいきっかけになったな)
昔をしみじみと思い出していると、西和議家の兄もやってくる。
「こんばんは。お世話になります」
「いらっしゃい。ちょうどこっちもできたところだよ」
お姉さんが楽しそうに話して一礼すると、西和木家の兄も楽しそうに話す。