朝食前の朝掃除
――西和議家にある
掃除道具よ
意思を持って
掃除して
「お掃除ってめんどくさいよね」
西和議は魔法を使い、掃除道具と協力してせっせと清掃していく。
(もっと寝ていたかったな)
当番とはいえ、少し寝坊してしまった西和議は、あくびをしながら掃除する。
ガシャンと音がした。
西和議が音のなった場所に向かうと、メガネが床に落ちている。
急いで駆け寄り、西和議は眼鏡を拾いあげ、手に取って確認した。
眼鏡のレンズと耳に引っ掛ける部分の動く部分が折れている。
「これお兄ちゃんの眼鏡……どうしよう」
「おはよー」
私が悩んでいると、兄が起きだしてきた。
「あわわ」
私はあわてて窓を開けるとそこから飛び出し、隣の家に向かう。
「おはよう、西和議ちゃん。どうしたのこんな朝早く」
隣の家に住むお姉さんは、ゴミ袋を持って集積場に向かおうとしていた。
「おはよう、お姉ちゃん。えっとね、そのね……」
もじもじしながら、西和議はお姉さんに話しかけようとする。
「どうしたの?ちゃんと言葉で伝えようね」
西和議はおそるおそる眼鏡を見せて事情を説明する。
「お兄さんのかな?壊しちゃった?」
「うん……魔法で直せる?」
「素直に修理に出しましょうか」
お姉さんは西和議にやさしく話しかけた。
「それだと怒られちゃう!お姉さんの魔法でちゃちゃっと」
「隠していると、もっと怒られるよ」
お姉さんの発言に、西和議は言葉に詰まる。
「西和議さんのお兄さんなら、話せばわかってくれるよ」
「うーん……」
「それに魔法はもっと別のことに使うって、教えたでしょ」
隣に住むお姉さんの言葉に頷いて、西和議は重い足取りで帰ることにした。
家に帰ると兄はキッチンにいた。
予備の眼鏡をかけ。朝食を作っている。
「おはよう。僕の眼鏡、どっかで見かけた?」
西和議は魔法を使ったことは伏せて事情を説明する。
お姉ちゃんの言う通り、兄は許してくれた。
「レンズの度数も併せたいし、買い変えようか悩んでいたからね」
「えーっと、えーっと……」
「過ぎたことさ。机の上に置きっぱなしにした僕も責任はあるから」
兄はそう言うと、テーブルの上に料理を並べ始める。
「今後はお互い気をつけようね。さあ、朝ごはん食べよう。学校に遅れるよ」