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第2話『夢幻剣と決心』

「ここは……?」


 ゴーレムに掴まれたまま大きな穴が空いた部屋に連れて来られたロットは嫌な予感がした。


「嘘でしょ……お願い、それだけはやめて……!!」

『生贄は試練を超え。更なる宝へと導かれん』


 ゴーレムは穴へと無慈悲にロットを放り投げる。


「うわあああああああああーーーー!!!」


 どこまでも落ちていく。真っ逆さまに勢いよく落ちていく。


「『身体強化!』『身体強化!』『身体強化!』『身体強化!』」


 何度も自分が使える補助魔法を何度も早口で唱える。


「『身体強化!』『身体強化!』『身体がはぁ……!!!!」


 ロットは地面に叩きつけられる。


「あ……ああ」


 激痛で動けない。ロットは死を意識する。自分がどうしてこんな目に合うのか、考えれば考えるほど涙が流れた。


「う、ううぅ……」


 薄れていく意識の中で、小さな頃にした祖父との約束を思い出す。


『俺はいつかじいちゃんみたいな凄い宝を求める者(トレジャーズ)になるよ!』

『ほっほほほ……それなら、どちらが全ての宝を手にした者(トレジャーズマスター)になるか勝負じゃな』

『うん!俺が絶対に先になってやる!』

『そりゃ楽しみだ!ハハハハハ!!』


 ロットは薄れていく意識を取り戻す。


「死んで、たまるか……!約束したんだ……!!」


 ロットは渾身の力を振り絞り、ウエストポーチ型の無限に物を収納できる魔法の鞄の中に手を入れる。


「こ、これさえ食べれれば……」


 魔法の鞄の中にある植木鉢から木の実をもぎ取り、取り出す。

 イチゴほどの大きさの木の実の名は『ライフ』と呼ばれている伝説の実である。


「あ……!」


 痛みで握力が限界の手からライフが溢れ落ちる。


「くっ……あああ……!」


 身を(よじ)らせながら落としたライフまで顔を動かす。

 砂が付いてしまったライフを口に何とか加えて無理矢理に飲み込む。すると怪我がたちどころに治り、ロットは勢いよく上半身を起き上がらせる。


「助かった……!」


 ロットは魔法の鞄から植木鉢を取り出す。


「残り一個か……」


 三十分以内に負った怪我ならば完治する果実の名はライフ。この植木鉢は1年に1つライフの実が生るダンジョンの宝だ。


「ありがとう……じいちゃん!」


 約束をしたロットの祖父『グラングド・ガング』は過去最多でダンジョンを攻略しており、ダンジョンの宝を全て手に入れた者は『全ての宝を手にした者(トレジャーズマスター)』と呼ばれる。ガングはもっとも全ての宝を手にした者(トレジャーズマスター)に近い男と呼ばれ世界中で尊敬されている。

 その祖父から譲り受けた『魔法の鞄』と『ライフの植木鉢』は伝説級の宝だ。


「それにしてもここは?」


 落ちてきた場所を見渡す。何百メートルもある広い部屋。ダンジョンには光る苔『太陽苔』が通路や部屋の至る所に生えているが、この部屋も異常な程に生えているせいで昼間のように明るい。


「一体ここはどこなんだ?」


 歩いて散策していると野菜が育っている畑がある。それに川も流れており魚も住んでいる。


「ダンジョンにこんな部屋があるなんて……あれは?」


 ロットは部屋の中央にある石板と一本の剣が祀られているのに気付いた。


「剣……?」


 石板には『夢幻剣。この漆黒の剣は鞘を所持している者の想像した形になる』と書かれている。


「夢幻剣……この漆黒の剣の名前か?」


 祀られている剣を手にする。


「重っ!」


 ショートソードよりも少し大きい剣。ロットは剣を握ったことはなく、慣れない手つきで鞘から剣を抜く。

 柄も鍔も刀身も闇夜のように漆黒だった。


「夢幻剣……」


 ロットは石板を確認し、形を変えれると書いてあるので試してみることにする。


「え〜……伸びろ!」


 すると刀身がグングンと伸びていく。


「うわっ!重い!」


 重さで剣を落としてしまうが、剣は伸びることをやめずにグングン伸びて壁にぶつかろうとしていた。


「わっ!やばいやばいやばい!止まれ止まれ!」


 ロットは慌てて剣に触れて命令すると、壁に激突する寸前でピタリと止まる。


「危ねぇー、えーっと……戻れ!」


 刀身が元の長さに瞬時に戻る。


「夢幻剣……この剣のランクはいくつなんだろう?」


 ダンジョンの宝にはランクがある。下から古代級、伝説級。幻想級。神話級。の4つに分けられる。ランクを知るためには鑑定の魔法を持つ人間にお金を払って頼まなくてはいけない。


「凄い剣を手にれたぞ!でも……」


 ロットは夢幻剣を手に入れた喜びこそあるが、やはり裏切られたことに対して尾を引いている。


「俺って馬鹿だな……」


 ロットは自分自身が情けなくなった。

 祖父との約束を果たすために街に来てみれば騙されて死にそうになった。


「俺は自分が許せない!じいちゃんに合わす顔がない!」


 剣を握りしめてロットはある事を思いつく。


「そうだ!ここで修行しよう!夢幻剣を完璧に使いこなせるようになってダンジョンを出るんだ!」


 魔法の鞄には自分の着替えの他にアイアンハートのメンバーの着替えや荷物が入っている。今思えばロットを疑わせない為に渡してきたのだろう。

 もしも服が汚れとしてもロットの生活魔法で体を綺麗にしたり服の汚れを取る『洗浄』や服の破れを直したりすることが出来る『修復』もあるので衛生面や衣類に問題はない。それに水も食料もダンジョンにあるので生活には困らない。


「よーし!!俺を騙したアイツらにをギャフンと言わせるくらい強くなってやる!」


 こうしてロットの過酷な修行が始まった。

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