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第12話『シーラとの再会』

 燃え盛る屋敷が次々と崩れていく。


「くっ……!」


 左腕は重度の火傷を負っていて動かず、燃える木材に体が挟まり身動きが取れない。


「惨めな姿だな、アオイ」

「どうしてだ!兄上!どうして父上と屋敷を……!」

「どうしてかだと……?お前に分かるか?!!天才の妹を持った凡才の惨めな兄の気持ちが?!!アオイ!これが俺が受けた痛みだ!!」

「やめてくれ!やめてくれ、兄上!!」


 兄は先端が燃えた角材拾い上げ、アオイの左目へと押し当てようと振り下ろす……。




「ああああああ!!」

「おい!大丈夫か?!」


 目が覚めるとロットが目の前で心配そうにしていた。


「う、うむ……大丈夫だ、嫌な夢を見ただけだ」

「そうか?うなされてたから様子を見に来たんだ」

「すまない……」


 アオイは自身の左目に触る。火傷した皮膚の感触と汗で濡れた感触。アオイは何もない空間に手を入れてタオルを取り出す。


「アオイ……それ、アイテムボックスか?」

「む?」


 朝食の準備をしていたロットが驚いて見ている。アオイは完全にロットが居ることを寝ぼけて忘れていた。


「日の国では不思議な術が使える者が生まれることがある。拙者も生まれつき持っていてな、何もない空間に少しだけだが物を仕舞うことが出来る神術が使えた……にしても美味いな、この朝食」


 顔を洗い、ロットが作ってくれた朝食を食べながらアオイは説明する。


「アオイ、それはスキルだな」

「スキル?」

「ああ、こっちでは魔法とは異なった魔法って言うのかな……使える人が少ない珍しいものでスキルって呼んでるんだ。アオイが使ったのもアイテムボックスっていう珍しいスキルだよ」


 ロットはガングに教えてもらったことをそのまま話す。


「隠していてすまない。この術は珍しいので人にはあまり見せるなと父に言われていたのだ」

「別にいいよ、たしかに荷物が少ないなとは思っていたけど……ほら、食ってくれよ。ロット特製野菜煮込み」

「うむ!」


 朝食を済ませてロットの村へと出発する。

 ロットは村での特産品などを話しながら歩き続ける。


「もう少しだ」

「うむ」


 しばらく歩くと大きな風車と簡易的な柵が見えてきた。


「ここが俺の村だ」

「ここがロットの故郷か……」


 見渡す限り麦畑が広がっている。風に揺れると金色と緑の綺麗な波を作る。


「良い場所だ」

「だろ?あれが俺の家だ」


 ロットが指差すと一軒の家が建っていた。


「……なんだか懐かしいな。ばあちゃん元気にしてるかな」


 ロットは扉を開けて中に入って行く。アオイも続いてお邪魔する。


「ばあちゃーん」


 リビングに行くと白い髪の女性がコーヒを飲んで座っていた。


「やっと帰って来たかい、バカ孫め」

「ばあちゃん!ただいま!」

「この方がロットのお婆さん?」


 アオイはロットから聞いていたが、本当に若いお婆さんで驚いた。

 驚いたのはそれだけではない……腰まで伸ばした真っ直ぐな白い髪。少し垂れ目だが全てを見透かしているような紫色の瞳。顔も完璧に整った絶世の美女。格好がワイシャツと黒いズボンだが、ドレスを着れば何処かの国のお姫様と言われても信じてしまう。


「やっぱりロットの仲間だったんだね」


 ロットの後ろに居たアオイを見たシーラが言う。


「やっぱり?なんでばあちゃんアオイのこと知ってるんだ?」

「新聞にあんたとその子が載ってたんだよ」


 シーラは机の上に新聞を広げると、ロットがダイケツを捕まえた写真が大きく載っていた。


「へぇ〜こういう風に載ったのか!」

「うむ」

「全くビックリしたよ。二年も音沙汰がないと思ったら急に新聞に載ってるんだからね」

「ははは……色々と事情があってさ」


 机の上に広げた新聞を仕舞い、コーヒーが二つ置かれる。


「さて、聞かせてもらおうじゃないか……その色々な事情を」


 シーラは椅子に座り足を組み威圧する。アオイは味わったことがない恐怖を肌で感じた


「うん!」


 ロットは何も感じないかのように椅子に座り嬉しそうにする。


「ふっ……偽物かと少しだけ疑ったけど、やっぱり本物のロットだね」

「え?」

「普通の人間はビビるはずなんだけど……まあ良い、さっさと話な」

「なんだよ、一体?まあ良いや。それがさ……」


 ロットは村を出てからを話し始める

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