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04

『さかな』は時折、あの悲しい匂いをさせて外を見ていた。そういう時、決まってつがいは『さかな』に寄り添って、二匹でその悲しい匂いを分け合っていた。主と『さかな』はどうやら仲間であるらしく、よく出かけては主の匂いを微かにつけて帰ってきた。そういう時、決まって『さかな』は悲しい顔をしていたから、仲間と会っているのにどうして悲しいのかと不思議で仕方がなかった。



 その悲しい匂いのまま『さかな』はまた不思議な薄いものと向き合い、黒い何かをぶちまけて、それと同時に抱え込んだ哀しみもぶちまけているようであった。どうしてそうだと思ったのかと言うと、主も同じことをしていた事があるからである。



 そして哀しみを黒い何かと一緒にぶちまけて、それで飯を食べていけるのだから『あしなが』とは本当に不思議な生き物であると思う。しかし美味い飯を食べていても、ちっとも嬉しそうではないのである。



 それもそうだ、と欠伸をしながら思う。哀しみをぶちまけて手に入れた飯が、美味いはずもない。どうせなら、喜びと一緒に黒いものをぶちまけてやれば良いものを、と思うが、世の中そう上手くは回っていないようで、今日も『さかな』は哀しみをぶちまけて溜め息を吐いている。



 私は素知らぬ顔で、遠吠えを1つ添えておいたが、それがどれだけの助けになったのかは分からなかった。



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