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1-8 ハンサムと騎士とメタモルフォーゼ






「カラープリンセスゥゥウウ!! 貴様の天下もここまでダァァアア!!!!」


 外で誰かが怒号が上げた。

 それを聞いた僕はその場で飛び上がった。

 急にそんな声が聞こえてきたら何があったのかと思いますよ。


「その声は!?」


 カラプリの誰かが反応したようだ。役割的にはパッション・レッドだろう。


「ダークプラネッツ3人衆がリーダー、ガニメデであぁぁる!! ワルモノーではらちがあかぬぅぅ!! だからこの私が直々に制裁を下してやろぉぉう!!」


 窓から声のする方を見ると、上から下まで真っ黒な装束に身を包んだガタイのいい男がワルモノーの上に立っていた。

 まるでプロレスラーである。


「さあ、ワルモノーよぉぉ!! 再起せよぉぉお!!」


 そのガニメデとやらが足元のワルモノーに指を突き刺した。

 すると、ただでさえ巨大化していた野球グローブがさらに大きくなって、倍ほどまでに膨れ上がった。


 さっきまでマラソン走り終わった小学生みたくゼーハーしてたのに、スタミナも完全回復。


「ハハハハ!! 上司の許可を得ずに勝手に現場に出たからぁぁ、ここで貴様らを確実に倒さなければ立場が危ういぞぉぉお!!」


 なんかさりげなく組織体制に対する批判が出たな。リリィが静かに頷いたのを僕は見逃さなかった。


「貴方の都合何て知らない! この学校は私たちカラープリンセスが守る!」


 パッション・レッドが大見得を切って彼らの前に立ちはだかった。


「甘い、甘いぞ!」


 正々堂々とした戦いを誰もが期待していた。しかし、彼らダークプラネッツの卑劣な攻撃は突然に始まった。


「きゃっ!」


 パッション・レッドが空中で体制を崩した。


「本気の大人の恐ろしさを思いしれ! ハハハハ!!」


 そのスキをつくように、ワルモノーがパッション・レッドに強烈な体当たりを食らわせた。猛烈な勢いで体育館に叩きつけられた。

 また体育館が壊れた。今回はここまで大丈夫だったのに。


「パッション・レッド!?」


 ファイン・ブルーが心配そうに瓦礫を見つめる。

 それに対してライヴリー・グリーンは気にする様子もなく、ワルモノーに突っ込んでいく。


「おっと、貴様の相手は俺だぁぁ」


 ガニメデがワルモノーから離れてライヴリー・グリーンの前に立ちふさがる。

 グリーンの蹴りを片手で受け止めたあと、脚を掴んで放り投げた。彼女がダメージを受けたのはやる気がよほどないときをのぞいて初めて見た気がする。


 ブルーはレッドをワルモノーから守りながら戦っている。カラプリ達が完全に分断されている。


「ちょっと……これピンチなんじゃない?」

「そうリリね☆ よかったリリ、出番ができて☆」


 はぁ……嫌だぁ!

 ハンサム騎士としてどれだけの力が与えられるのかはわからないけど、カラプリ達が勝てない相手と戦うなんて。


 ため息が混み上がってくる。憂鬱な気持ち、頭が真っ白になっていく感じだ。


「さぁ、ピンチとなれば迷ってる時間はないリリ☆」

「えぇ……ちょっと心の準備が」

「戦況は三太のお母さんではないリリ☆ 君の決断をいつまでも待ってはくれないリリよ☆」


 どこの中間管理職だぁ……。


「意を決して、ハンサム・ナイト・メタモルフォーゼと叫ぶリリ☆」

「ええ、グリーンはそんな恥ずかしいセリフは言ってなかっ……」

「叫ぶリリ☆」


 外からはガニメデの笑い声が聞こえてくる。他にもドッカンドッカンと物騒な音が聞こえてくる。

 僕の中の小さな責任感が、段々と強く胸を叩く。今が、戦うときなんじゃないかと。


「叫ぶリリ!」


 僕は意を決して、拳を天に突き上げてこう叫んだ。


「はっ、ハンサム・ナイト……メタモルフォーゼ!!」


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