アクセス7〜当たり前の事、魔法〜
「ミルカ、世話になった!ありがとな。」
俺はそう言って宿屋を後にした。
と言っても多分今日もまた世話になるんだろうけどな。
「さて、昨日気になった彼処行ってみるかね。」
一人言を呟く癖なんか無かった筈なんだがなぁ。
何か無意識に呟いてたぜ。
変な癖ついちまった、なるべく早く治さねぇと。
にしても……。
「こんなに人居たんだなって、当たり前か。」
辺り一面人が見えない処がねぇ。
これが普通なのか?
「……俺おのぼりさんじゃねぇか。」
周りをキョロキョロ見ているのをクスクスと他の奴に笑われて、恥ずかしかった!
とりあえず、此処から離れてぇ!
周りを気にしながら小走りで昨日から気になっていた、小さな店らしき小屋に逃げる様に駆け込んだ。
[カランカラン]
「ようこそ魔術教練場へ。」
出迎えてくれたの赤い髪をアップにした如何にも魔法使い!ってな感じの赤と黒のゆったりとしたローブを身に纏った女だ。
そしてこの場所魔術教練場だっけか?……まぁ此処は俺の予想も当たらずとも遠からずって処かね?
きっとその筈だ!
「あー俺初めてでよく解んないんだけどさ、此処何をする場所なんだ?」
「あら、そうなんですか。此処はですね魔術を教える場所ですよ。」
教える?
「教えるって……どうやってだ?」
てっきりレベルが上がれば勝手に魔法とか覚えると思ったんだが、この話口を聞いているとなんかめんどくさい感じの事をしないと覚えれないっぽいな。
「そうですね、最初は勿論教える魔術がどんなものかを知る為に教本を元に座学ですね。その後に実際その魔術を行使する実技です。一人一人特性が違いますので、得て不得てがあります。普通はその特性に沿う魔術を教えますが、望むならばそれ以外の魔術を教える事が出来ます。唯特性以外の魔術は余り良い効果を発揮しませんのでお勧めはしませんよ。」
うっわぁ〜めんどくせぇ。
ん?でも……。
「特性って何処で解るんだ?」
「此処で調べる事が出来ますよ。調べてみますか?」
ふむ。
そりゃやってみるしかねぇだろ!
いや、だってさ覚えるのはめんどくさそうだけどそれ以上に興味があるんだよ!
魔法……魔術か?
まぁどっちでも変わらねぇだろ!
興味わかねぇ訳がないだろうが。
「頼むわ、どうすればいいんだ?」
俺が頷きながら訪ねると、透き通った綺麗なクリスタルを握らされた……何かあったけぇ。
不思議だな。
「其れを両手で握りしめ願って下さい。自分自身の特性を知りたいと。」
言われるが儘深呼吸をして、願ってみた。
(俺の特性が知りてぇ!)
少しの間クリスタルを握りしめてると、何か点滅し始めた。
「お?何だ此れ?」
「特性が解ったんですよ。まぁ……珍しい!光と闇の特性だなんて!」
驚いた様に呟いた後、俺が不思議そうにしてるのに気付いて、やっと説明をしてくれた。
……先に説明してくれてもいいよなぁ。
「ああ、すいません。何の説明もしていないのに解る訳がありませんでしたね。特性には三種類あるんですよ。それぞれが火と水、土と風、光と闇です。唯三種類あるとは言っても普通は火と水か土と風のどっちかなんですけどね。ですので光と闇と言うのはとても珍しいんです。そうですね……例えば、百人居たとしても一人いるか居ないか位の珍しさです。因みに火と水は攻撃と回復。土と風が支援補助。そして光と闇は攻撃から回復、支援補助まで出来る上、特殊な死の魔術も使えます。問題点があるとすれば初級魔術は比較的簡単に覚えられますが、中級から上級を覚えるのが他の二つより遥かに難しく、最上級と死の魔術は未だ覚えられた方がいない程困難です。」
……尚更めんどくせぇ!
俺普通の方が良かったよ!
「特性って変える事って出来ねぇの?」
出来れば直ぐにでも変える!
「無理です。特性は産まれた時から決まっているもので変更は出来ません。」
あーやっぱりそうだよなぁ。
はぁ。
「……どう致しますか?初級魔術は無料で教える事が出来ますが、光と闇ですと全部で四つありますのでどんなに早くても一週間は掛かります。」
一週間か……なげぇな。
でも魔術使ってみたいし、仕方ないか。
「それじゃあ教えてくれ。」
「はい、解りました。今日中に教材を用意しますので、明日から都合のいい時間にいらして下さい。」
「了解。明日また来るわ。」
俺はそう言って魔術教練場を後にした……明日からめんどくさい事になると解ったから肩を落としてな。
[カランカラン]
「はぁ……まぁこれ以上気にしても仕方ねぇか。一先ずは金を稼がねぇとな、最低でも一週間は宿屋に泊まれる位はって……宿代って幾ら位何だ?」
ヤバイ困った。
金を稼ぐ為には村の外のモンスターを倒せばいいというのは解るが、金の価値が解らない上、物価がそれ以上に解んねぇ。
「はぁ……仕方ない、あの百獣の王……レオだっけか。あいつに聞きに行くか。」
めんどくさがりながら歩き始めた訳だが初心者の館?……ああ紛らわしい!もう今度から初心者の小屋って呼ぶ!
……んで、初心者の小屋の前まで来たんだが、扉を開ける直前で声を掛けられたんだよ。
背中から、聞き覚えのある声がな。
まぁ、声を掛けて貰って助かった。
そりゃ物凄く。
色々教えてくれた上、色々手伝ってくれたんだからな。
何より仲間と呼べる間柄になったのが一番良かったぜ!
可笑しな点や間違い等ありましたら御指摘、御報告があると大変助かります。
自分自身でも何度も見直し確認しましたが、何かありましたらよろしくお願いします。