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エルドラド  作者: 榊燕
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アクセス5〜初心者の館?状況整理〜

「よし!じゃあ先ずはこの世界についてから説明するぞ。」


 目の前で百獣の王が仁王立ちした。

 ……はぁ!?


「ちょ!おま!立てんのかよ!ってか立てんなら出迎える時何で立ってねぇよ!?」


 こいつ本気で普通に二本の足で立ち上がってやがるんだぜ?

 普通にふざけるなって話だろう?


「ん?……ああ!そいう言えばまだ話していなかったのだな。我が獣人族であるという事を、すまなかったな。ちなみに出迎えた時に立ってなかったのは疲れるからだ!」


 ……落ち着け俺。

 今、此処できれて話しをへし折ったら困るのは俺だぞ。

 クールだ。

 クールになれ鞘!改めサヤ!

 そう、クールにだ!


「ふぅ……なんか一気に疲れた……一先ずいいから続き説明しろや。」


 おっと、無意識化で言葉使いが悪くなっちまってるな。

 って、普段から俺こんな話し方だったっけか。


「うむ、続けるとしよう。この世界エルドラドには人が住む三つの大きな大陸と一つの小さな大陸がある。ちなみに小競り合いみたいなものはあるが、本格的な戦争は今の処無い。かろうじて三大陸それぞれが戦力差など殆ど無く、均衡を保っている為にだ。是が崩れればいつ戦争が起こっても可笑しくないがな。そして今我等がいるこの地が小さな大陸ドラドだ。この地は聖なる地と呼ばれると共に、攻めても損になる事はあっても得になる事が無い為、三大陸から攻めてこられる事が無い。この地から旅立つ異世界の者達の多くはこの三大陸のいずれかに渡り、その国に仕えたりする者が多いな。国に仕えればそれ相応のメリットがあるからな……まぁ今は説明を省くがな。ちなみに、三大陸の名前は北の大陸グランエリド、東の大陸レグランド、西の大陸ランドクラクだ。一応……南にこの三大陸を全部合わせた大きさ位の大陸があるんだが……其処はモンスターの巣窟となっている為誰一人として近寄る事が出来ない為名前も付いていない未知の大陸だ。この世界にある大陸と状況を簡単に説明するとこんなものだな。詳しい説明をすると其れこそ何日掛かるか解らなくなってしまうからな!知りたければ書物室で調べてみると良いだろう。この建物の二階にあるからな。」


 何事も無かったかのように説明を続けやがった百獣の王。

 すいません、正直説明長すぎます!

 ってかんなもん一々覚えてられっかっての。

 大陸の名前と今は何時戦争が起こっても可笑しくないって事だけ覚えておけばいいだろう?


「了解、了解。続きを頼む。」


 突っ込まれる前に次を促すことにした。

 今迄の経験上、今の状態で黙っていると解らない処が無いかどうか聞かれるからな!

 まぁ聞かれたら聞かれたで大丈夫だって応えるだけだが。


「ふむ、細々した処で解らない事があれば先程も言ったが書物室で調べるか、村人にでも聞けば良かろう。全ての人がという訳では無いが殆どの人が話を聞いてくれるだろう。それでは次の……説明に入る前にこれを渡しておかねばな。」


 そう言って手渡されたのは銀色の小さな銀の板。


「ん?これ何よ?」


 ちらちらと差し込む日差しに翳してみると日差しを綺麗に反射する程、磨きこまれた様な綺麗な銀の板だ。


「それはな、お前の今の能力やレベルを確認するためのアイテムだ。我等はドッグタグと呼んでいる。それを握り締め自分の名前を念じてみるといい。」


 俺は言われるがままに其のドッグタグを握り締め自分の名前を念じてみた。


(俺の名前はサヤ。唯のサヤだ。)


「ぬぁっ!?……っと?ん?お、おぉぉぉ!何か変わった!」


 念じた後、少しして突然手の中のドッグタグが光り輝き慌てふためいていると少しずつ光が収まってきたんで、恐るおそ〜る覗き込んでみた訳だ。

 其処で目にした光景は!

 さっきまで唯の真っ平らな銀の板だったドッグタグが、不思議な文様というか文字?が刻まれた指輪に変わったんだよ!


「上手くいったようだな。それが識の指輪だ。それを指に嵌め今度からは自分の今の状態は?と念じれば頭の中に直接其の情報が流れるようになっている筈だ。」


(ふむ、今の俺の状態はどうなってんだ?)


 言われた通りに念じてみると……。



 ・サヤの現在のステータス・


  ・Lv:1・


  ・経験値:0・


  ・体力:125・


  ・精神力:40・


  ・力:13・↑・↓


  ・知力:10・↑・↓


  ・敏捷:14・↑・↓


  ・行動力:17・↑・↓



(へぇ……頭の中に流れ込むって言うからどんなもんかと思ったが、頭の中に良く有るパラメーター画面が映るって感じだな。っと?ふむ。この画面考えた通りに動くのか。矢印が押せない……多分レベルが上がった時にサービスポイントだかボーナスポイントだかってのが入るのか是は?)


 いやぁすげぇすげぇ!

 ってか面白い!


「上手く出来ている様だな。それではその指輪にさっき渡したカードを触れさせ収納しろと念じてみろ。」


(ふむふむ、消えた。出て来い!……あれ?出てこねぇなぁ。出す時はまた別なのか。)


「消えたであろう?次に其のアイテムを出す時にはアイテムの名前を思い浮かべて出ろと念じれば出る。ちなみにアイテムを今なに持っているか解らなくなってしまった場合は今アイテム何がある?と念じれば今持っているアイテムの名前と数が頭の中にさっきと同じように流れていく。」


「お!出来た出来た。すげぇ便利なのなこれ!」


 俺は一人その不思議な現象にはしゃいでいたが、その間も説明は続いる。


「ちなみに其の指輪の中に入れられるアイテムは二十種類までだ。同じアイテムであれば最高五十個まで一種類として入れられる。ただ武器や防具、アクセサリー等の装備品や一部特殊なアイテムは、一つを一種類としてしか入れる事が出来ないから気をつけろよ。」


 なるほどね。

 便利なもんなんだなぁ。

 RPGのゲームみたいな感じって覚えておけばいいんだな。

 覚えやすくて良いぜ。


「そうだな。一つ便利な能力が其の指輪にあるのを教えておこう。装備品に関してだが、その指輪の中に入っている装備品であれば、念じただけで直接装備する事が可能になる。というとても便利な能力も付いている。ちなみにだが、例えば今お前が鎧を装備していて新しい鎧に変更しようとした場合も念じただけで装備の変更が可能だ。無論変更したアイテムは指輪の中に入れられた状態になるだけだから無くなる心配も無いぞ。」


 其の説明を聞いてから俺は先ず虹色のクリスタルを指輪に入れ、装備すると念じてみた。


「おおぅ!本当にいきなり首に現れやがった!すげぇし便利だ!」


 俺の首に若干の重さを感じるクリスタルが掛けられ俺はそれを弄りながら興奮したように叫んでいた。

 いやだってさ、仕方ないだろう?

 誰だってこんな不思議ですげぇ魔法みたいなもの初めて見せられればはしゃぐって!

 間違い無い!


「取りあえず、我が教える世界についての簡単な知識と、ドッグタグの使い方についてはこれ以上教える事が無い。……というのもドッグタグについては我等もまだ完璧に解析が済んでいないので其れ以上他に何か能力があるのかどうかが解らんのだ。解り次第発表していくがな。」


 目の前の百獣の王は少しすまなそうにそう言って俺を見つめてきた。

 いや〜こんな危険な獣に見つめられても嬉しくねぇよ。


「ふ〜ん解ったわ。取りあえずここで今受けられる説明は終わりって事か?」


「うむ、最後に餞別だ。この世界に来たばかりで武器も防具も何もないのであろう?これを持っていくと良い。」


 そう言って手渡されたのは銅の剣と革の鎧、それと緑色のガラス瓶に入った液体が五個と赤いガラス瓶に入った液体が十個。


「其の緑色のがポイズンポーションだ。毒を受けた場合それを飲めばしばらくしたら毒が抜けるようになる。ただし当たり前のことだが直ぐに抜ける訳では無いからな気をつけろよ。そして赤い液体がポーションだ。是は体力を回復させる物だな。ただ傷を治す物では無いから傷をほぅって置くと段々体力が落ちて意味がなくなるから、きちんと傷の手当てもするようにな。」


(意外とシビア何だな……てっきりこのポーション飲めば傷とかも治るもんだと思ってたし、毒も直ぐ治ると勘違いしてたな……流石オンラインゲームだ。)


 なんて考えながら先ずその革の鎧を着込み、次に銅の剣を腰に差し込んだ。

 うぉ、ずっしりくるなぁ。


「意外と重たいんだな剣って。何よりこの革の鎧微妙にくせぇ……。」


 其の上動きにくさは余り無いものの動いていたら、風通しとか全く無いせいかすげぇ蒸れて熱くなりそうだ。

 そしてこの剣。

 両手で握れば振り回す事も出来るが、片手だと上手くは扱えない。

 結構な重量があるからな。

 片手で使えば恐らく唯振り下ろすだけが精いっぱいだろうな。

 何より握り部分は分厚い布が幾重にも巻かれていて、刃の部分も切れ味っつぅもんは皆無に近いがその冷たさと無骨さが微妙に恐怖心を誘う。

 あ、飽くまで微妙にだからな。

 唯その分その重さと無骨さから頼もしさを感じるのも事実だけどな。


「当たり前だろう。銅を使った剣だぞ?軽い訳が無かろう。一先ず今日は隣の宿屋で休むといい、我が話を通しておくから今日だけはタダで泊めて貰えるだろう。ただ明日からはきちんと自分自身で稼がねば泊まる事も出来なければ、食事もできず、武器や防具、回復のアイテムさえ揃えられなくなるから頑張れよ。」


 稼がないとやばい訳だな……ってのは解ったんだが。


「どうやって稼げばいいんだ?」


 そう、其処に尽きるだろう!

 普通に考えればモンスターを倒してそいつが金を落とすとかだろうが。

 実際問題これだけシビアな世界なんだ、モンスターが金を持っている訳が無いだろうな。


「そうだな、色々方法があるが一番手っ取り早いのはやはりモンスターを倒し、其のモンスターの毛皮やら足やら甲羅等収集家が集めるような物を売る事だな。後はアルバイトだ。宿屋のベッドメイクや食事等を作ったり、客を案内したり、道具屋の売り子をやったり等色々あるから自分に合うと思った事をやればいいだろう。こちらは比較的安全だがやはりその分身入りは少ないな。今お前が出来るのはこれ位だろう。」


 ふむ、やはりそうだよな。

 モンスターを倒す事には変わり無いが収集品を集めて売りに来ないといけない訳か。

 めんどくさいが、色々わくわくするな。


「なるほどね。解った。色々サンキューな、もし何か解らない事とかあったらまた聞きに来るわ。」


 俺がそう言って話を終えた百獣の王に背を向け出口に向かい歩き出すと、背中から「何時でも来るがいい。」といった声が返ってきた。

 その返事に応える代わりに片手を上げて俺は初心者の館?から出た。

 そして外は……。


「どんだけ長いんだよ説明……。」


 すでに日が暮れて暗い帳が下りてきていた。

 いや本気で疲れたぜ……。

可笑しな点や間違い等ありましたら御指摘、御報告があると大変助かります。

自分自身でも何度も見直し確認しましたが、何かありましたらよろしくお願いします。

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