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夢鏡〜YUMEKAGAMI〜  作者: 夢☆来渡
第一章【壱夢】
9/27

#9

 

 裕也はクレイバーと名乗った白兎と握手を交わすと、母親の方に近付く。


 母は片目に涙の跡を残し、まだ眠りについている。

 裕也が母を起こそうとすると、クレイバーがそっと止めた。

「お母様はそのままで。丁度良いタイミングでいらっしゃる」


「お母さん僕がケガしてから、毎日泣いてるんだ」


「御心配なのでしょう。親とはいつの時代でも、そういうモノです。では出発の際に、一言ご挨拶をして行きましょうか。ミスターユウヤ、こちらをお持ち下さい」


 言うとクレイバーはふかふかの手で、一つの貝殻を手渡した。

 雫型で丸みがあり、二枚殻の口は固く閉ざされ、表面は薄いピンク色と乳白色が混ざり合いキラキラと光っている。


「夢渡りの通行証のような物だと思って下さい。肌身離さず持って、決して無くさないこと。危なくなった時はこれを壊せば元の世界に戻れます」

「うん、わかったよ」

「もしも、無くした場合は夢の世界に取り残され、二度と戻れませんので、そのつもりで」

 クレイバーは強い口調で静かに言うと、裕也の手を取った。

「わかった」

 裕也が口元を固く締め、うなずく。

 クレイバーが白いふわふわの指先を高く掲げ、パチンと鳴らした。

「では参りましょう。まずは母君の夢の中へ」


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