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#8
「どなたから紹介を受けたかは存じませんが、余程熟知された方からのようですね。安心しましたよ」
彼は白いふかふかした手で、ほっと胸をなで下ろした。
「あなたの事も聞いたよ。名前は確か……」
裕也は昼間の、まだ新しい記憶を辿る。
「うさおさん。」
兎は崩れ落ちた。
「ちがいますっ!」
裕也は驚き顔のまま、
「えっ?〈タキシードうさお〉じゃないの?」
「全っ然ちがいます!!」
「ピッタリそのままだったからすぐわかったのに……」
「そのまますぎるでしょう!あ、その安直な呼び方には覚えがあるミス・ヒイラギの紹介ですね!?まったくあの娘はっっ!!」
立ち上がりつつ、彼は再度襟と耳を正した。
「私の名はクレイバー。夢世界の住人にて、夢渡りの案内者……以後お間違いなきよう!」
語気を強め、ふふんと鼻を鳴らした。
裕也は少し気押されながら頷きを返す。
「わかったよ。よろしく、クレイバー」




