#1
初投稿作品になります。携帯向けです。
中学生以上、小説の初心者を対象にしていますので難しい漢字などは有りません。気楽に読んでください。
少年は自分の容姿に自信がなかった。だから今回の事故も仕方のない事だと受け入れた。
昔からこれといって目立った事はない。極普通の、一般と呼ばれる家庭に生まれ、区内の学校に通い、くじ引きで当たった学級委員と二度目の飼育係をこなしている。
ひとつだけ挙げるならば、同じクラスの桜井由香にフラレた事だろうか。
誰にもバレないようにひそかに今年の年賀状に想いを綴り、勇気を振り絞った投函・書状内容は三日後、‘ごめんなさい’の小文字と、ほのかな彼女の部屋の匂いと共に帰宅した。
彼のひそかな勇気は見事に砕け散ったわけだが、カケラ達はしばらく一部女子の噂話のタネとなる。‘ここだけのハナシ’と‘アナタだけに’の枕詞は人間の好奇心と守秘義務の崩壊をもたらす起爆剤だろうか。一週間もあればクラス全土に広まっているだろう事は、病室のベッドの上の彼にも予想はつく。
「しまったなぁ……」
呟く少年。
なぜ卒業する六年生になるまで待てなかったのか。あと一年もあるではないか。その間、事あるごとに引き出され冷やかされるのだろう。男子とは冷徹な生物だ。
かくにも冬休みは明け、五年生最期の三学期も始まった矢先、彼は車に撥ねられた。