こんな日常です。
今日は厄日だ。
ヤツに出会うとは…すぐに逃げたけど。
逃げ回って、やっと自分の家に着いた、と安心した瞬間だった。
「見つけた。」
後ろから、世の女性には魅惑の、私からしたら不愉快極まりない、声が聞こえて、瞬時に身体が振り返るのを拒否した。
そして、すぐに心の中パニック状態。
やばっ、見つかった。
言い訳言い訳言い訳…
いやいや、そんなことする必要ないし!?
でも、怒ると怖…
「バカ律」
ひーっっ!!?
声が、息が、耳にかかる!!
ってか近い近い!!
「無視?」
その声の、あまりの恐怖に、恐る恐る頭だけ振り返る。
視界いっぱいヤツの顔があって、慌てて距離を取るために後ろに下がろうとしてヤツに頭を掴まれた。
「逃げるな、バカ律」
ニヤリとヤツが笑ったと思ったら、くしゃりと視界が歪んだ。
「律が逃げるから悪いんだよ」
「ざ、けんなっ…」
「律は女の子なんだから、」
「うーざいー」
「親父さんが泣くぞ」
「あんなん知らん」
「律ー尻尾出てるぞ」
「ぎゃぅ!」
尻尾触られたっ!!
「仁輝のばかぁ!」
泣きそうになりながら、ヤツを睨み付けた。
「口は災いの元。」
それはもうヤツは楽しそうに笑う。
なんで私に尻尾なんかあるのかというと、実は私…狐と人とのハーフなのです。
普通の人と同じように小中高に通っているけど、いまだにバレたことはない。
唯一知っているのは、生まれた時から一緒の仁輝だけ。
ってか…めっちゃ尻尾触られてるっ!だから、嫌いなんだっ!
「知ってる?尻尾って、せ」
「しゃべんなっ!触んなっ!変態!」
ヤツの頭を殴りつけて、部屋に閉じこもる。
そんな毎日。
ストレスで尻尾がハゲそうです…