ネトゲで恋してる
ちょうど4年前。
最近おもしろいこともなくつまらない毎日
パソコンを買い、やってみたかったネットゲームをやってみる。
いろんなゲームあるんだな~。
どれにしようかな~?
あ、これテレビのCMでよく見かける、ネバーストーリー。
キャラもかわいいし、おもしろそう。
ゲームをダウンロードしてキャラ作成してやってみる。
キャラ名は、ちるる。
特に意味はない(笑)
思った以上に楽しくて、はまってしまった
人見知りするうちは、友達がなかなかできなくて、1人で黙々と狩りをするしかなかった。
それでも何人かの友達ができ、チャットしたり一緒に狩りをしたりしていた。
家にいるときはいつも、ネバーストーリーことネバストにはまっていた。
ゲームに接続して、なぜか決まって2チャンネルにインをする。
このゲームは、チャンネルが1~10まであって好きなチャンネルで遊べるの。
今日はどこで狩りしようかな?っとまよっていた。
フォルの町でウロウロしていると、男の子が立っていた。
そう
これが彼との出会い。
かっこいいキャラだな~。
名前は、大地か。
人見知りするうちは、声もかける勇気もなく、ただ遠目で見ているだけだった。
まだどんな人かも分からないのに、恋してしまったのだ。
今ここで離れたら、もう会えなくなるかもしれない・・・。
でもいつまでもここにいたら、変に思われる。
早く離れよう。
この日は、声もかけれず、ただ見つめるだけだったけど、今度会ったときは、声かけてみよっと。
もう会えないかもだけど・・・。
次の日。
今日はどこで狩りしようかな?
アクアいってみようかな。
海の町。
水の中だから、狩りをするのは、大変だけど、暇つぶしにクエストやろうかな。
敵を狩っていると、な・・・なんと、昨日の彼がきたのだ。
あ~昨日の人だ。
その人も、うちに気づいて立ち止まった。
なんで立ち止まったのだろ?
話かけるチャンスじゃん。
「あの、昨日、フォルにいましたよね?」
「ああ、いたよ。君もいたよね?」
覚えててくれたんだ。
「はい。偶然ですねw」
「だなw」
なんかもっと話しないと。
友録しようって言ってみようか・・・。
いや、ダメだよ。
昨日あったばっかりなのに。
「あ、じゃあ俺、急いでるから」
「あ、はい」
あ~あ
行っちゃった・・・・。
でも少ししゃべっちゃったw
なんか嬉しい。
偶然でも会えちゃうんだな~。
それから、毎日インしてるけど、彼には会えなかった。
やっぱりチャンネル多いのと、世界が広すぎるのよ~。
今日は、いちご神社で、狩りしようかな。
クエストをやりながら狩りをしている。
そこになんとまた、あの彼がきたのだ。
「あ」
彼がうちに気づく。
「ども」
もっと話してたい。
でも周りは敵ばかりで、落ち着いて話してられる状況じゃない。
「あ、そだ。これ良かったら使って」
と、彼は武器を3つほど落とした。
「え?いいんですか?」
「うん、いいよ」
「ありがとうございます」
きゃ~~彼からもらっちゃったよ~。
すごく嬉しい。
あまり話してると死にそうだった。
狩りしながらの、チャットは大変。
「じゃあ頑張ってね」
「あ・・・はい」
あ~あ。
また言えなかった・・・。
今度こそ録したかったのに。
おまえらが邪魔なんだあああああああ。
と言いながら、狩りを始めた。
偶然の出会い。
2回目。
偶然ってあるんだな~。
また会えるよね。きっと・・・。
「ちるるc」
「ん?」
友達のまさとが、チャットしてきた。
「俺のとこのギルはいるか?」
ギルっていうには、大きなグループみたいなもので、ギルの中で、クエストしたり、チャットしたりもできるの。
「もちろんはいるw」
まさとは、女好きで、とっても優しい。
実はうちも少し好きだったりして(笑)
まさとにギルにいれてもらい、また狩りをした。
そういえば、大地k、ギルはいってなかったな~。
友達たくさんいるんだろうな?
レベルも高かったし、結構やってるんだろうな~。
次の日は、ぺりの町でぼ~っとしていた。
何をするでもなく、ただぼ~っと。
「何してるの?」
「あ、こんにちは^^」
「こんw」
あの彼だった。
「この前は、武器ありがとうございましたw」
「いえいえ、頑張ってつけられるレベにしてなw」
「は・・・はい^^;」
そう、まだレベ低くて、装備できなかったのだ。
よし、今日こそは。
「あの」
「ん」
「良かったら、録しませんか?」
「え?」
「あ、無理ならいいんですけど・・・」
「無理とかじゃないんだけど、俺友達とかいなくて」
「そうなんですか?」
たくさんいるように見えたのに、びっくりしてしまった。
「じゃあ、うちを1人目にw」
「www」
こうして、彼と録をした。
あ~幸せ。
これでインしてるとき分かるし、どこにいるかも分かるもんね。
「ちるるcじゃん」
「あ、まさと」
「友達?」
大地kが聞く。
「うん。同じギルだしね」
「なになに?ちるるcの彼?w」
「ま・・・まさと!」
「違いますよw」
否定しなくても;;
「今、録したばっかりなの」
「ナンパ?w」
「ち・・・違うよ。偶然で3回会ってるんだよ~。すごくない?」
「へぇ~、それはすごいね。うちのギル入る?」
まさとが、大地kを誘ってる。
「いいんですか?」
「大歓迎w」
こうして、大地kも同じギルになり、近い存在になった。
今日から、大地kと狩りしたり、チャットしたり幸せな日々が続いた。
そうそう。
まさとに由里cって彼女がいるんだけど、なんでも大地kのリア友で、家が大地kの前とか。
なんてうらやましいの><
由里cから、イケメンってのと、もてるよ~ってことを聞いたんだよね。
やっぱり格好いいんだ。
うちよりも10歳年下で、社会人。
リア彼女もいるみたい・・・;;
うちだってリア彼はいるけどさ~。
もっともっと大地kのこと知りたくなっちゃって。
それから2ヶ月が過ぎた。
「大地k、あのね」
「ん?」
「うち大地kのこと好きになっちゃったの」
「え?」
「ネバストで付き合ってもらえないかな?」
ふられるのは、分かっていたけど、気持ちを伝えたかった。
「俺、ここでは、誰とも付き合う気がないんだ」
「そか;」
「ちるるcが、嫌いとかじゃないからね」
「うん」
やっぱりふられちゃった。
それから、うちもネバストの中で、彼ができ、別れての繰り返しをしていた。
「ちるるc、俺、今度結婚するんだ」
「え?」
「指輪目的なんだけどさ、相手は、ぼんsのリア奥さんなんだけど」
ぼんsっていうのは、大地kとうちの友達。
その人も、うちらのギルはいってるんだよね。
「そうなんだw彼女できたんだねw」
「彼女ってわけじゃないけどねw」
指輪目的なら、うちでもいいのに・・・。
少しショックだった。
確かに、うちには彼いたし、このキャラ結婚もしてたけど、大地kのことは、ずっと特別に見てきたもん。
告白してふられてもずっと・・・。
「おめでとwうちをふって、彼女作るとか、後悔するんだからねw」
「別にそういうんじゃないからさw」
良かった。
これがリアじゃなくて。
画面のむこうで。
もし目の前に、大地kいたらこんな顔見せられないもんね。
言葉では、祝ってて、顔は寂しげな顔なんて見せれない。
それから年月は経ち、大地kからまたまたショックなことを聞かされることになる。
「ちるるc」
「ん?」
「俺 今度さ~、結婚することになったんだ」
「え?リアで?」
「うん」
「そうなんだ~wおめでとうw」
「ありがとw」
結婚かぁ~。
大地kの奥さんってどんな人だろ?
ずっと一緒にいられていいなぁ~。
大地kは、優しくて一途だから、幸せにしてもらえるんだろうな~。
このときは、ほんとにうらやましかった。
うちの、リアがあまりよくいってなかったから、余計に。
でも、大地kは、結婚しても変らずに、インしてうちと一緒にいてくれる。
それだけでも嬉しかった。
もちろん、ゲームの中で、本気で好きになって恋してた。
それはリアと変らない。
いい加減では、付き合いなんてできないし、特にうちは、不器用だから、ネトゲはネトゲ。リアはリア。な~んて考えできないもん。
でもなんだろう?
今まで、ここで付き合ってきた人、何人もいたけど、みんな大地kにも報告してたけど、大地kはずっと特別だったんだよね。
なんでも話ができて、一緒にいられる、そう、年下だけどお兄さんの存在。
「ちるるc?」
「あ、ごめんw」
大地kとチャット中だったんだった。
「どうかした?」
「ん~、うちってさ~、大地kのことずっと好きじゃん?w」
「うんw」
今まで、何回も自分の気持ち言ってきたから、大地kはわかってくれてるんだよね。
「うちさ~、たまに考えるんだ~。大地kに告白して、ふられて、でもまだ好きで、なんでなんだろ~ってw」
「またそういうこと言う~^^;」
ふられたこと言うと、いつも困った風にする大地k。
「あ、違うの。大地kといて、居心地いいっていうか、なんでも話できてさ~、落ち着くんだよね~w」
「そうか?w」
「うん。それがなんでかな?って考えてて、大地kはうちのなんなのか、分かったのw」
「おおwなんだったの?」
「うちのお兄ちゃんw」
「お兄ちゃんってwww」
「大地k、年下だけどさ~、なんか大人っぽいとこたまにあって、たまにだよ?w」
「たまには余計だw」
「そんでもって、子供っぽいとこもあって」
「それは、ちるるcにだけは言われたくないなw」
「なによ、それ~;;」
「だってちるるc、子供だし、なんか危なっかしくて、守ってあげたくなっちゃうw」
少しドキッとしてしまった。
「妹みたいだからなw」
「だから、大地kは、ここではうちのお兄ちゃんw」
「そうだな。ちるる」
「やだ~、呼び捨てとかてれるううううううううww」
「なんだそれww」
こうして、大地kを、お兄ちゃんとして見ちゃえば、余計な気持ちが、芽生えないはず。
ここでの出来事は、リアにはありえないこと。
そんなのずっと前から分かってる。
だから無理にでも、お兄ちゃんにして、自分の恋の気持ちを隠そうとしていたのかもしれない。
でも、やっぱり、リアで大地kみたいな友達ほしいな~。
なんでも話できて、相談できて、一緒にいて落ち着く人。
あ、彼がほし~いか。
4年前に、大地kと出会って、今までずっと、大地kのことは、冷めたり熱したりしずに、変らない気持ちで、好きだったこと、誰にも知られず、ネトゲで恋したこと、うちはきっと忘れないんだろうな。
ネトゲでも、起こっていることは、リアとは変らない。
でもネトゲの世界は、リアにはなれなくて・・・。
この気持ちは、永遠にネバストの中に、しまわれる。
いつか、ネトゲを卒業する日がくる。
でも、うちは忘れないよ。
ネトゲで出会った人達の事、起きたいろんなこと、喧嘩したこと。
うちの中では、すべていい思い出になってる。
大地kと出会えて、ほんとに幸せ。
ネトゲで恋なんてばからしい、ありえない、なんて言わないで。
顔を知らなくても、人を好きになることだってできる。
どんなに外見に自信がなくても、こうしてネトゲの中でも、恋できるんだもん。
人は、外見なんかじゃなく、中身なんだって、改めて思ったよ。
ネトゲで本気な恋してみませんか?
うちの片思いは、静かに幕をおろした。