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今まで異世界転生100タイトル以上読んできた自身の実力を発揮するショートショート集!!  作者: ノアキ光


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4/4

4 逆節分の世界

俺が死んだ理由は、交通事故でも過労でもない。


節分の豆の誤嚥ごえんだった。


「福は内〜!」

調子に乗って口に放り込んだ瞬間、むせて、咳き込んで、視界が暗転。


そして気づけば――



異世界。


目の前に広がるのは、巨大な城壁と赤黒い空。

そして玉座に座る角の生えた王が、こちらを見下ろしていた。


「貴様が新たな勇者か」


俺は震えながら言った。


「え、えっと……ここは……?」


王は重々しく答えた。


「ここは鬼ヶ島王国。

そして我は――鬼王だ」


鬼。

節分で追い払われる側。


俺の脳内で警報が鳴り響く。


(やばい、豆投げられる!!)


しかし鬼王は静かに続けた。


「勇者よ。お前には使命がある」


「使命……?」


「この世界を救え」


えっ。


俺、鬼側に転生してるのに?



城下町に出ると、異様な光景だった。


市場で飛び交うのは金貨でも銀貨でもない。


「豆、5粒でパンだよ!」

「そこの旅人! 枝豆は高級品だ!」


俺は唖然とした。


(豆が経済を支配してる……?)


鬼王に聞くと、当然のように言う。


「この世界では豆こそが最強の資源だ」


「最強……?」


「豆は鬼を殺せる」


「いやそれ節分だけだろ!!」


鬼王は真顔だった。


「節分とは、鬼にとって核兵器の日だ」


重すぎる。



俺は勇者として武器を授けられた。


渡されたのは――


巨大な麻袋。


中身は豆。


「いや武器それ!?」


「勇者は豆を投げる存在だろう?」


「節分限定の役職だよ!!」


鬼王は続けた。


「お前は選ばれし“投擲者”だ」


なんだその職業。



俺は旅に出た。


世界を救うため。


だが敵は魔王軍ではなく――


人間側の節分教団だった。


「豆を投げよ!」

「鬼は悪だ!」

「福を独占するのだ!」


狂ってる。


節分ってそんな侵略儀式だったのか。


教団の教祖が叫ぶ。


「この世界から鬼を追放し、永遠の節分を!」


やめろ季節を固定するな。



戦いの中で鬼王が語った。


「鬼とは悪ではない」


「ただ、角が生えているだけだ」


「ただ、赤いだけだ」


「ただ、節分のターゲットなだけだ」


切なすぎる。


鬼王は静かに言う。


「勇者よ……

この世界に必要なのは、豆を投げることではない」


「では何が?」


鬼王は目を細めた。


「豆を食うことだ」


「え?」


「豆を食えば鬼は死なない」


「????」



節分教団本部にて、決戦が始まる!


教祖が最後の儀式を始めた。


「無限豆撒き装置、起動!!」


空から豆が降る。


鬼たちが悲鳴を上げる。


俺は叫んだ。


「やめろ! 豆は兵器じゃない!」


教祖は狂笑した。


「節分とは制裁! 鬼は追い出される運命!」


その瞬間――


鬼王が前に出た。


そして、豆を一粒拾い……


口に入れた。


ポリ。


教祖が固まる。


「な……?」


鬼王は言った。


「豆を投げられるから鬼は弱いのではない」


「豆を食わないから鬼は弱いのだ」


そして鬼王は叫んだ。


「全国の鬼よ!!

豆を食え!!!!!」


鬼軍、全員が豆を食い始めた。


ポリポリポリポリ。


すると――


鬼たちの角が光り、筋肉が膨張し、豆のオーラが噴き出した。


「なにこれ強い」


教団、壊滅。



世界は救われた


戦後。


鬼王は俺に微笑んだ。


「勇者よ、感謝する」


「いや俺、豆投げただけで…」


鬼王は首を振った。


「違う」


「お前はこの世界の真理を教えた」


「鬼は追い出される存在ではない」


「豆を食う存在だ」


俺は感動した。


節分とは、排除ではなく共存。


そうか……。


俺は言った。


「じゃあ節分って、本当は――」


鬼王は静かに答えた。


「豆の販促イベントだ」


「オチが資本主義ィィィ!!!!!」



 完

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