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今まで異世界転生100タイトル以上読んできた自身の実力を発揮するショートショート集!!  作者: ノアキ光


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3/4

3 転生したら寒波で絶望!?


「……寒い」


それが俺の最期の言葉だった。


会社の飲み会帰り。

終電を逃し、駅のホームで凍えながら思った。


「人生、マジで冷え切ってんな……」


次の瞬間、俺は倒れた。


そして――



目を覚ますと、俺は光の中にいた。


目の前には神がいた。


白髭で、やたら神々しい。


神「ようこそ。異世界へ転生させてやろう」


俺「うおお! ついに俺も! チート能力で無双してハーレムで……!」


神「うむ。ではお前の能力を授けよう」


俺「剣聖! 魔王殺し! 時止め!?」


神「――寒波だ」


俺「……は?」


神「転生したら寒波だった件」


俺「いや、気象じゃねえか!!!」


神「安心しろ。お前は“寒波”として異世界に降り立つ」


俺「降り立つな!!!」


神「ちなみに気温は−30℃だ」


俺「世界終わるぞ!!」


神「世界を冷やしてこい」


俺「使命が災害なんだよ!!!」



異世界――王都グランディア。


その日、人々は空を見上げていた。


騎士「おかしい……雲が……黒い!」


魔法使い「まさか……伝説の!」


王「来るのか……“あいつ”が!」


空が割れた。


ズゴゴゴゴゴ……


そして響く声。


『……寒い』


人々「寒波だァァァァァ!!!!」


俺「俺だァァァァァ!!!!」



街は一瞬で凍った。


噴水が氷柱になり、パン屋のバゲットが鈍器になり、

猫が完全に四角になった。


住民A「寒波が意思を持っている!?」


住民B「しかも喋ったぞ!!」


俺「転生者だよ!!!」



俺の能力は単純だった。


・存在するだけで寒い

・魔法も凍る

・ドラゴンも風邪ひく

・勇者の心も冷える


魔王軍が攻めてきた。


魔王幹部「フハハ! 人間ども、絶望しろ!」


俺「……(−40℃)」


魔王幹部「えっ…寒っ…鼻水が…」


俺「……(−60℃)」


魔王幹部「待って無理無理無理!! 魔王城帰る!!」


魔王軍、撤退。


王「すごい…! 寒波殿は英雄だ!」


俺「災害だよ!!!」



寒波には弱点があった。


それは――


温もりが恋しい


氷の巫女「あなた……孤独なのね……」


雪女姫「私と一緒なら永遠に冷たくいられる……」


氷魔導士「あなたの寒さ、研究させて♡」


俺「ヒロイン全員マイナス気温じゃねえか!!」


誰も温めてくれない。


むしろ寒波が増幅していく。


世界が終わる。



ついに神が現れた。


神「よくやったな、寒波よ」


俺「よくやってねえ!! 世界が凍ってんだよ!!」


神「これが目的だ」


俺「は?」


神「異世界とは――」


神は微笑んだ。


神「お前が死んだ現実世界の“天気予報”だ」


俺「……は?」


神「お前は転生などしていない」


俺「え?」


神「現実世界でニュースになるために存在している」


俺「……」


神「つまりお前の人生の最終形態は」


神「異世界無双ではなく、気象情報」


俺「嫌すぎる!!!」



テレビが流れている。


ニュースキャスターが言う。


「今週末、日本列島に強烈な寒波が到来します」


視聴者「また寒波かよ〜」


寒波(俺)『俺だよ!!!!』


誰も気づかない。


ただ、世界は冷える。


そして俺は思う。


「……せめて異世界でモテたかった」



 完

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